山坂利知の日常に女子が多い
麻は死に、錐は死に、利知はミノリを自分で殺した。
そして引きこもっていたのだが。
利知は、一週間ほどして家から普通に出た。
ヨモギや古賀といった友達たちに急激に会いたくなったのだ。
友を何人もなくした利知は、友というものの大切さが痛いほどわかるから。
そして朝
ヨモギは彼女の友達である 惨祭 鏡 (さんさい かがみ)
というやや無口な少女と談笑していた。
だから、利知は何となく古賀を待つことにした。
ちなみに、鏡の髪色は水色 DNAに異常があるそうだ。
利知は、麻とミノリの席を見る。
やっぱり誰もいない。
自分の見たものが全て幻で本当は利知の頭がおかしくなっていただけで誰も死んでいない優しい世界だった。
そういう結末を利知は心の奥底で望んでいた。
古賀を待つ間、やることがなく
利知は眠りの世界に行くことに、決めた。
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暗い、暗い世界。
これは夢なんだと利知はわかった。
目の前に、錐とミノリと麻がいる。
この前も似たような夢を見た。
利知は誰よりもわかってしまう
自分は狂ってなどいない、この夢こそ虚像。
ミノリの姿をしたものが「利知くんがいなければ私は死ななかった」と言う。
錐の姿をしたものが「あなたがいなければもっと私は上手くやれた」と言う。
麻の姿をしたものが「お前のせいで沢山不幸になったんだ」と言う。
夢の中だからか利知は叫びたくても叫べなかった。
ただ、そんな姿をしてそんなこと言うなと自分の脳が見せる夢に必死で伝えようとした。
無意味だった。
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目覚めた。
利知は最近、悪夢しか見ない。
自分のせいで死んだ人になじられる夢だけでなく、自分のせいで死んだ人に殺されたり
バリエーション豊かな悪夢を見る。
だが、利知はもう現実のほうが悪夢より惨いのではと最近感じるようになった。
古賀と話そうとして、寝たのだった。
しかしすでに一時間目が終了していて利知は思ったより寝てしまったことに驚く。
一時間目に来た数学教師はとても厳しく、自分はたたき起こされるはずなのになぜこんな時間まで眠れたんだということもおかしかった。
その理由は簡単だ
幸運なことに利知の席は後ろの方にある。
つまりやってきた教師は利知が睡眠中なことに気づかなかったのだ。
利知は珍しく幸運であることに喜ぼうとして
あることに気づきやっぱ不運じゃねーか!と叫びそうになった。
二時間目は体育。
そして女子の着替えはクラス移動を行わず行われる。
そう、女子の着替え真っ最中の教室に利知はいた。
そのことにまだ女子は気づいていないが
いることがバレたら変態という称号をゲットしてしまうのは確実だった。
古賀と話したかっただけなのになぜこうなったと利知は文句を言いたくなった
言う相手はいないけれども。
今すぐ教室から走って逃げ出したかったがそうすれば目立ちバレる。
どうしたものかと利知が考えあぐねていると
話し声が聞こえてきた。
「顔だけのヘタレ蛆虫君、すごい困ってるね」女子がひそひそ話してる
「うん、本当馬鹿だなあ」利知の方を見ながら話していた。
利知は、自分が女子の着替えのまっただ中にあり困っているということを彼女たちが話していることに気づく。
彼女らは
特に、利知がいることに驚く様子もなく何というかそこら辺に落ちてる石ころを
見るような目で見つめてくる。
利知は、気づいた___あっ、俺大した人間として見られてないな____
そこらへんを飛んでる蠅に着替えを見られても特に気恥ずかしさはない
利知は、そんな下等な存在という認識を受けていた。
その認識を喜んでいいのか悲しむべきなのかわからないが、利知は堂々と教室を出た。
出る瞬間、利知はヨモギの着替えを見た。
いや、その行為に性に関するものは絡んでいない。
ただ
利知は怪我し続け他人の怪我にも敏感になっていた。
だからヨモギの体、ところどころについた痛々しい痣がどうしても目に入った。
利知君は顔がめちゃくちゃいいですが、それが得につながることは基本ありません。
損につながる事ならありますが。