利知の覚悟
古賀は、憎かった。
フォバルナエタ会が。
憎くて憎くてたまらなかった。
世界は巡る。
それは、至極当然に。
世界にはたくさんの人間がいて、その全てはその流れに取り込まれている。
その中で最も不幸な人間は誰なのだろうか?
古賀はそんなことを考える。
決して自分ではないだろう、しかし自分が幸福というワケでもない。
フォバルナエタ会の奴らを皆殺しにしてやりたいとここ最近常日頃から彼女は苛立っていた。
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利知は結局学校に行って古賀と会うことが出来なかった。
なので、一度帰宅→就寝→もう一回登校をした。
「おはよ」「利知、なんか久しぶり」
今日は、古賀が朝早く登校してきたので、会うことが出来た。
「利知」古賀が、突然利知の手を引っ張ってずんずん進む。
「ちょ、ちょっとまって」反射的に言う言葉を無視しずんずんと。
そして、人気のない「これ以上上立ち入り禁止」の階段のところまで
利知は古賀に引っ張られた。
「利知」肩に手を置いて、古賀は利知に迫る。
その瞳に狂気をはらんでいる。
利知は、似たような瞳を見たことがある。
__白紙 錐 __
彼女の復讐心を持った瞳と一緒。
アカネが利知に逃げることを勧めた。
今の古賀が、何かおかしい。
正直、あんまりかかわっちゃいけない雰囲気を出している。
だが、利知は古賀を見つめ返す。
彼は錐のことを後悔していた。
利知は彼女のことを全くと言っていいほど知らない。
なぜ、自分をかばって死んだのか、なぜフォバルナエタ会に潜入捜査をしていたのか
細かいことは知らない。
関わるのが、怖かったから。
だから、何度も何度も考える、もっと錐の事に踏み込んでいれば何か変わったんじゃないかと。
そうしたら、彼女はあんな結末にならなかったんじゃないかと。
だから利知は。
___もうフォバルナエタ会だとか何もかも忘れていきたいと感じていた利知が____
「何が……」あった? そう聞こうとした。
_____お前のせいで死んだんだ!__
脳裏にあの夢が浮かぶ。
夢とは腦の見せるもの、利知は心のどこかで自分のせいであの三人が死んだのではと感じていた。
でも、自分がもっとしっかり関わっていればあの人たちは死なないのではとも感じていた。
利知は、古賀を突き飛ばす。
「俺には!」関係ない、と叫ぼうとした。
古賀はまた利知につかみかかってきて唾が飛び散るのもお構いなしにまるで罵声を浴びせるかのように
低く暗い声を利知にぶつける。
それからは、利知にとっても古賀にとっても誰にとっても楽しくなんてないクソ見たいな時間だった。
「アンタが、フォバルナエタ会と敵対関係にあるのを私は知ってる」
利知を壁に押さえつけて、睨む。
「友達でしょ……?頼むから、私の復讐の手伝いをして」
そういって古賀はメモを利知のズボンのポケットに突っ込んでくる。
どこかの住所が書いていた。
そこに来い、そう暗に言っているようだった。
事情くらいちゃんと話してくれと利知は思うが、何となく察せるので言わなかった。
きっとフォバルナエタ会に家族だのを殺されたから
復讐するよ、あの会と戦っている利知に力を貸してほしいということだろう
文脈からそのくらい推察できる。
利知は答えた
「悪いけど……フォバルナエタ会に復讐するんだったら協力できない」
奴らに復讐しようとして何もできず死んだ人を知っていた。
「フォバルナエタ会に復讐したい理由は知らないけど」
奴らの怖さも知っていた
「だいたい、俺に協力できることなんてない」
自分の無力も知っていた。
だが、古賀は認めない。
ぼそぼそと恨み言のようにつぶやく
「……赤い化け物を殺す力があるクセに」
利知の体中が一気に冷める、ミノリを殺したことを人に言及されたから。
そして、そのつぶやきの直後
叫ぶ奴がいた「危ない!」アカネの警告とほぼ同時に
古賀は、利知を階段から投げ飛ばした。
「がはっ!」床に叩きつけられ、もがくようにして立ち上がり古賀に向けて構える。
アカネが警告してくれなければ利知はもっと痛い怪我をしていただろう。
骨折ですんだから、もう怪我は治りつつある。
「ほら、できる あなたには できる 怪我 治ってる」
狂気を見た。
古賀に今は何を言っても無駄。
そう、利知は悟った。
―――周りを信用しろ―――なんだか、ヨモギの言葉を思い出した。
キンコンカンコンと、予鈴がなる。
「……あ、授業始まる、朝休み終わる」
古賀はその予鈴で、何もかもなかったように
教室にとててと走って戻った。
利知の横を通るとき、メモに書いた住所に来てねと
耳元で古賀は囁いた。




