運命が裏で、絡み合って。 それから利知は。
今回は、主人公の利知、菜野、矢田はほぼ出ません。
世界は彼らだけで回っているわけではアリマセ―ン!
「……」菜野は、墓参りに来ていた。
ちょうど一年前刺されて亡くなった祖父のため。
手を合わせて感傷に浸る。
白紙錐は、矢田に接触していた。
突然捜査が打ち切りになり困惑している彼に_____それでも捜査を辞めようとせず
時間を作って単独で調べまわる矢田に
興味を持ったのだ。
歩道橋の下。
菜野がDDW送りにした女、彼女の名前は朝倉 葵。
葵は、ふらふらと歩いていた。
涙は何度も流して枯れた。
自殺未遂も何度もした。
それでも、それでもなお、元の世界に帰りたいという
執着があった。
風は吹かず、虫一匹もいない世界で体感的には数百年以上過ごした彼女は
もはや心が折れていた。
殺そうとした菜野や利知にも会いたいと思った。
だが、どこまでいっても何もない、だれもいない。雑踏が懐かしくなる。
苦手なはずのゴキブリですら
もし会えたら、狂喜乱舞するだろう。
それほどの変化を孤独が彼女に与えた。
だから。
「いた」
その言葉を聞いた時、泣きそうになり
音の元へ
駆け寄ろうとする。
その二文字に明らかに冷たさしかないこともわからないほど彼女は錆びていた。
橋の下、歩道橋の下を彼女は走り抜けようとした。
必死で。
この辺りで声がした。
誰なんだ会いたいと。
パン。
虚しい音が響く。
銃の音。
「あの化物の体液を塗り込めば銃弾も効くのね」
「な・・・・・・なぜ」葵は頭から血を吹き出し、倒れてゆきながら
視界の端に少女を見た。
「意味なんてない。」そう少女が答えるとほぼ同時に
葵は絶命した。
_______現実________
放置されていた葵の体は
死に、ドロドロに溶けてゆく。
そしてそれは、ミクロの粒子となって
葵がDDWで死んだ場所へと意志をもつかのように飛翔し。
「目」の形を作っていく。
これが、DWやDDWの死。
魂が死ねば、死ぬ。