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ゲームのモブ達

たくさんのブックマーク登録、評価、有難うございます♪

更新遅くなってスミマセン(-_-;)

風邪をひいて、未だ治らずのところに、花粉症が……( ;`Д´)


ハニンソ皇国は宗教国家という事も一因なのか、白色の建物が殆どを占める。


ゲームではマップが出るから迷う事はなかったけど、こうして直接同じような建物が並ぶ様を見てみると、何の力もなければ迷っていただろうと思う。


実際、初めて来たらしい皆はキョロキョロしている。


何度か来た事があるアレックスやマイクですら、主要な通りくらいしか分からないようだ。


迷いなく歩く俺に、仰望の眼差しを向けてくる皆。


俺は何度もゲームで道は覚えているし、望めば俺にしか見えないマップが目の前に浮かぶ。


いってみればズルをしているそんな状態で、迷いようがない。


まずは市場を見てみる事にした俺達は、賑やかな方へ向かう。


市場の様子は、どの国も違いはあまりない。


売っている物が違うくらいだ。


威勢の良い声が飛び交い、活気に溢れている。


ロデリックとメイド達が品物を見定めている様子を見ながら、目的地を定めずに歩いていく。


コクミック王国と比べて、少し物価が高いのもゲームと同じ。


だけど、品質はゲームの時より劣る。


全体的にレベルが低いのも関係しているんだろうか?




(特に買いたい物はないかな?)


ロデリック達が食品を買っているくらい。


(やっぱり炉が欲しいな。)


鍛冶をするには、どうしても必要。


この世界の武具の脆さを考えると、オーダーメイドを頼む相手がいない。


炉はイベントリにあるから、設置すれば良いだけ。


ただ、家自体の防火耐性が強くないから、それらの対策を施してからになるが。


城にかけられていた防壁ですら弱いものだったから、やはり全体的にゲームよりかなり劣ると考えていた方が良さそうだ。


そんな世界に、レベルカンスト以上の俺が来させられた理由は何だろうとも思う。


小説や漫画などで良く見る“死んで異世界やゲームの世界に転生”っていうのとは違うし、召喚ものでもないだろう。


この世界の人達だけでなく、魔獣のレベルも低くなっているんだから、俺みたいな人外な力は必要ない。


そもそもが、このゲームは色んなジョブで遊べるっていうのがメインだったから、ジョブごとのイベントがあるだけで、何年続けなきゃいけないとか決まりがなかった為、ある程度満足したら始めからって感じで終わらせる事が多かった。


“戦死するまで”“殺されるまで”が次点で、寿命を全うするまでが二、三回。


ある程度イベントをこなしたら、満足していた。


そんな、プレイスタイルはプレイヤー任せのゲームだったのに、今の俺の力はバグも良いところだろう。


このステータスを与えられた理由はあるんだろうか?


……泣き寝入りする必要がないのは、俺にとっては有難いが。




(そういえば最近、日本で過ごしていた頃の自分と比べなくなったな。)


“こんな風に考えなかった”“今のように思わなかった”って、自分の言動を客観的に見て色々思っていたけど、最近は特に何も思わなくなった。


俺の意識が変わったって事だろうか?


自分ではよく分からない。


──現状、そのように思ったところで意味はないと理解出来たからだろうか?


今ではそんな風に思うのは時間の無断だとしか思えない。


……今すぐしなきゃいけない事もないし、時間はたくさんある筈なんだけどな。


初めは護衛役の二人を鍛えようと思っていたけど、子供達が自立しようとしているから、今はそれを邪魔したくない。


予定が狂った訳だけど、こういう変化なら構わない。


実害は、する事がない俺が暇になったってだけ。


他の奴隷を買う事も考えたけど、今のところ必要じゃないし、鍛えるならアレックス達にした方が、今後の彼等の仕事にもなる。


元・騎士団長や元・パーティーリーダーだった二人は、教えるのが下手という事はないだろう。


俺は……懐に入れる前の奴等に興味がないから、教えるのは“面倒”でしかない。


騎士などの戦いに身を置くジョブの派生ジョブになる“指南役”のスキルもあるにはあるが……俺自身、誰かに何かを教えるのは性に合わない。


精々、簡単な事を教えるくらいだ。


戦い自体、俺はした事がないからな。


実際に剣を持った事はないけど、全く抵抗なく剣を振れるのは剣術のスキルがあるから。


このバグっているステータスとスキルに頼りきった剣を、誰かに教えるのは無理がある。


教えるとしてもスキル頼みでしかない。


それでも良いかも知れないけど、スキル頼みは、何かに身体を操られている感じがするから抵抗がある。


身体が最適化した動きをとるだけだからな。




突然、ざわめきが大きくなった。


騒がしい方へ視線を向けると、此方を指差している宗教関係者らしき奴等がいた。


路上で布教活動でもしていたのだろう。


だが途切れ途切れに聞こえてくる言葉からして、悪い予感しかない。


どうやら奴等の目的は、ドラゴンのソドムらしい。


(そういえば、ドラゴンを崇めている宗教もあったな。)


だけどゲームでは、コイツらと関わる事はなかった。


召喚士ジョブの時でも、従魔を出したままじゃなかったからだろうか?


(……そういや、ドラゴン系統の従魔を買い取ってくれるって聞いた事があるな。)


召喚士は従魔の世話がある為、金がかかるとも言われている。


ゲームでは週に一度、諸雑費としてかなりの金が引かれていた。


それで金がなくなり、従魔を手放す人も多かったらしい。


俺も初期の頃は手放す事もあったが、他のジョブである程度レベルを上げて、お金を貯めてから召喚するようにしていた。


レベルが低い時の稼ぎなんて、大した事がないからな。


従魔を手放す際、ギルドで売るのが一般的だったが、今思うとあれは討伐した魔獣を売るのと同じだったのだろう。


つまり、従魔を殺して売ったって事になる。


ドラゴン系統の魔獣を買ってくれるところは、ギルドより割高で買ってくれるって話だったが……売り先は奴等ドラゴンを崇める宗教団体だったのかもな。




「突然のお声掛け、御無礼申し上げます。ご相談なのですが、私共にそのドラゴンを売っては貰えませんか?料金の方は勉強させて頂きますし、──」

「断る。」


男の言葉を遮る。


俺には聞く価値もない。


幾ら積まれようとも、俺がソドムを売る気はないのだから。


「無礼者めが!教祖様の慈悲を無にするつもりか!?」


にこやかな笑みを浮かべたまま固まった初老の男が教祖らしい。


取り巻きの男が怒りを露に怒鳴ってきた。


「“慈悲”だと?従魔を売れと言われる事の、何処が慈悲だと言うんだ?俺がソドムを売るつもりはないと言っているだけだろう?それの何処が“無礼”だと言うんだ?お前らの集めたはした金で、ソドムを買えると思っている事自体が無礼極まりない。今の姿で誤解したのかも知れないが、連れ歩く為に小さくなって貰っているだけだ。周りへの配慮として、強者覇気を遮断しているだけだ。……卵から孵ったばかりの子供だと思って侮っているようだが、お前らの持つ隷属の飾りでは、どうやってもソドムを支配下にはおけないぞ?」


崇めているくせに、隷属の飾りで支配しようとか、あり得なさ過ぎだろう。


宗教上、シンボル的なものが欲しいのかも知れないが、それなら自分達でドラゴンを捕りに行けって話だ。




『矮小な人族風情が、我を支配するだと?烏滸がましいにも程がある。ドラゴンの祖の種、古代竜と知っての狼藉か?我の咆哮一つで心の臓が止まる弱者が、随分と舐めた口をきいてくれる。』


ソドムが激怒。


まあ普通に考えて、人族がソドムに近寄れる訳がない。


周りに余波がいかないように、おっさん連中込みで防壁を張り、ソドムにかけている覇気の遮断を消す。


次の瞬間──おっさん連中は糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。


『咆哮をするまでもなかったな。』


「レベル差を考えたら、強者覇気だけでこうなるのは必然だろう。」


ソドムには気配遮断や魔力探知不可などのスキルがない。


俺はそういったスキルもあるから、周りに恐れられる程度で済むが、ソドムではそうはいかない。


しかもコイツらはレベルが低過ぎ。


召喚時に咆哮をあげながら現れると分かっていたから防壁を張ったけど、普段から覇気遮断の結界をかけていて良かったな。


何もしていなかったら、こんな風に周りの人が倒れていくんだろう。


民達は総じてレベルが低く、レベルを上げている人は極僅かだからな。




賑やかだった周りが静まり返っている。


(店が建ち並ぶ中に、死体を転がしていたら邪魔だな。)


一瞬で燃やして、熱や臭いを消す為に浄化もかける。


これで大丈夫だろう。


「~~っ、ひ、人殺しだ!」

「逃げろっ!殺される!!」


静かだったのに、一気に騒がしくなった。


俺から逃げていく人達。


店主達は逃げられないからか、青褪めて視線を外している。


……怖がられても、今更何とも思わないが。


それに今回は、俺が殺した訳でもない。


アイツらがソドムを買いたいと言っていたくせに、常時発せられている強者覇気に耐えられなかったってだけ。


身元も口にしなかったし、開口一番ソドムを売って欲しいと言うような奴等、居なくなっても俺が困る事はない。


そんなモブに、気にかける事はない。

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