9-28 岩男
「ほら」
「(どうも)」
赤鬼に協力して貰って、辺りに散らばった阿修羅が使っていた武器を回収する。
数えて14の武器。
腕ごと吹っ飛ばす度に新しい武器を地下から引っ張り出してたから、もう少し数が多い気がしたけど……まあ、こんな物か。
「集めたのは良いがどうするのだ? 持って帰るのなら手を貸すが?」
真っ当な優しさが沁みる……これで顔が怖くなきゃなぁ……。
まあ、持って帰るのも一苦労だし、いつも通りにサッと収集箱にぶち込めば良いんだが……赤鬼が居るんだよなぁ……。
いや、でも、もう良くない?
【全は一、一は全】で大量の武器を出したり引っ込めたりするの見せちまったし、色々今更じゃね?
「なんだ?」
もう良いか、考えるのも面倒臭い……。
赤鬼に収集するところを見せて何か問題があれば、その時に考えるべ。
とりあえず集めれた武器に触れて行く。
『【ビヒーモスアックス Lv.70】
カテゴリー:武器
サイズ:大
レアリティ:A
所持数:1/20』
『【ネプチューンの槍 Lv.72】
カテゴリー:武器
サイズ:大
レアリティ:A
所持数:1/20』
『【破魔弓 Lv.52】
カテゴリー:武器
サイズ:中
レアリティ:A
所持数:1/20』
『新しいアイテムがコレクトされた事により、肉体能力にボーナス(効果:中)』
おお、おお、予想通りにレアリティAがゴロゴロしてらっしゃる!
これこれ! こーゆーのを待ってんですよ俺は!!
『条件≪レアリティA以上の射撃武器を3種コレクトする≫を満たした為、以下の派生スキルが解放されました。
・スナイパー』
『【スナイパー】
攻撃対象から離れれば離れる程、ダメージ、命中精度にプラス補正。
カテゴリー:魔法・天術にはこのスキルの効果は適応されない』
おっとー、スキル解放ありがとうございます!
これ、強スキルじゃない? だって、【全は一、一は全】にも乗るでしょこれ? 俺は安全な所からぶん殴ってれば、ダメ補正が入って敵ボッコボコって事でしょ? 超強くない? っつか、卑怯じゃない?
よしよし、ええ感じです。
これは良い流れじゃない?
…………と思ったが、他10個は見かけ倒しのレアリティCとDばかりで、最後に残ったのは1番凄そうな雰囲気を出している大剣。
クリスタルのような透き通る刀身と、どこか幻想的な雰囲気の柄の装飾。
うむ、行ってみよう!
『【ヴォーパルソード Lv.101】
カテゴリー:武器
サイズ:大
レアリティ:★★
属性:神聖/暗黒
装備制限:身体能力値100以上
所持数:1/1』
『新しいアイテムがコレクトされた事により、肉体能力にボーナス(効果:大)』
はい来た! 来ました唯一武器!!
しかも★2個!
ってか、ヴォーパルソードって……ジャバウォックの詩に出て来る断命の剣か……?
随分詩的で御洒落な武器使ってたじゃねーの、10年前の戦士さんは。
『レアリティ★のアイテムを獲得した事により、特性:【星の加護を持つ者】のレベルが16になりました』
『レベルアップにより、特性:【星の加護を持つ者】の効果が解放されました』
『【星の加護を持つ者 Lv.16】
カテゴリー:特性
レアリティ:★
能力補正:全能力(効果:大)
付与スキル:タイムアクセラレータ
効果:属性“虹”を解放
アクティブセンサー
全耐性
???(レベルアップで解放)
備考:通常経験値ではレベルアップしない。
レアリティ★のアイテム入手でレベル上昇』
『【全耐性】
特性装備者を対象にした全ての属性攻撃のダメージを2分の1にします』
おっ、防御能力! しかもむっちゃ強力!!
アクティブセンサーの使い勝手の悪さのせいで、【星の加護を持つ者】は【全は一、一は全】発動中にしか装備出来ないけど……これはオイシイ。
元々【全は一、一は全】状態は防御力増し増しになってるのに、それに加えてダメ2分の1って……俺、もうダメージ食らう事ないんじゃね?
ついでにログをスクロールさせる。
『【魔王 Lv.34】の特性レベルが上がり【魔王 Lv.35】になりました』
魔王の特性レベルも順調にレベルアップしてるし、言う事無しだわね。
「ほお、アイテムが消えるのは不思議な光景だな? 興味本位で訊くが、消えたアイテムはどうなっているのだ?」
「(いや、俺も分かんない)」
「分からないのに使ってるのか……」
「(まあ、そう言う物だろうし)」
「“そう言う物”とは、どう言う物だ……」
そう言う物はそう言う物だろ。
考えるな、感じろ! 的な奴だよ。
「用事が終わったなら、そろそろ戻――――む!?」
赤鬼が何かに気付いて慌てて振り返る。
それとほぼ同時に、俺の中でバチンッと意識のスイッチが、非戦闘状態から警戒状態に切り替わる。
何か――――何か、後ろに居る!?
臭いがしない。だが、背中を押されるような圧力がすぐそこに居る!
赤鬼に一瞬遅れて、俺も振り返る。
岩だった。
なんのこっちゃと思っただろう?
俺も現在進行形でそう思っている。
大小様々な岩。
丸いの。角張ったの。大きいの。小さいの。四角いの。三角の。
色んな岩が合わさって、2m近い人型になっている。
うん……なんじゃこりゃ?
敵……敵か?
いや、敵だろ。どう贔屓目に見たって、これが味方って事はねえだろう……。
そもそも、分類分けが何だ? 人間じゃないのは見れば分かる。じゃあ、魔族かっつーと……それも何か違くない? 魔族だって異形ではあるけど、最低限は“人型”だ。だが、これはどう見たってその枠に入ってない。
「なんだコイツは……?」
「(殴ってみる?)」
「敵ではない可能性もあるのではないか?」
「(いや、ねえだろう……だって、岩だし……)」
2人で対処に困っていると、岩の塊の天辺……人で言う頭の部分の丸い岩が動いて、喋り出した。
「なるほど、アクアの言っていた通りだ」
野太い男の声。
赤鬼と2人で歌でも歌ったら、良い感じにハモれそうな感じ。
岩の男……つまり、ロッ●マンか……。
ぶっちゃけ、ロッ●マンって言いたかっただけだ。
いやいやいやいや、そんな馬鹿な事考えてる場合じゃねえって! 今、この岩男、アクアっつった?
アクアと言えば、海の上……幽霊船を沈めた後に出会った水女で大精霊の……。
って事は、もしかして……。
「(もしかして……お前も大精霊か?)」
「うむ。そう名乗った覚えはないが、人は我等をそう呼ぶ」
アクアの時と同じ返し……。
返答したって事は、この岩男は当然のように猫の言葉を理解しているって事だ。
なるほど、確かにそうらしい。
俺が納得している横で、驚いている赤鬼。
「大精霊……!? 存在しているとは聞いていたが、実際に見るのは初めてだな……」
まあ、普通に会えるような類の人達じゃないしねぇ……。ってか、人じゃねえけど。
岩男は、赤鬼の事に目もくれず、俺に向かって名乗った。
「人の言葉で言えば、我は“地の大精霊”。そして、我が王より賜りし名はテラ。雄大な大地を示す名だ」
テラ……。
テラフォーミングとかのテラだよな?
「(なんでこんな所に大精霊が居る? もしかして、俺達の事を見張ってたのか?)」
俺の言葉に、赤鬼の腕がピクッと反応する。
地の大精霊の答え如何によっては攻撃も辞さない、と言う事らしい。
そんな赤鬼のポーズにビビった訳ではないだろうが、角張った岩の両腕を俺達に向けて「敵対心は無い」と示して来る。
「我がここに居る理由を問うのは間違いだ。そもそもここは、遥か昔より我の寝床である。そこを人や魔族が勝手に踏み荒らしていると言うだけの事」
周囲を見渡せば、天災でも通り過ぎたかのような戦争の痕。
ここが寝床……。
いや、違う。テラの言葉が真実だとすれば、コイツの寝床で人と魔族が戦争でドンパチやってたって事だ。




