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第十一話:違い

え〜、前置きがかなり長い小説なのですが(すいません、本当に…)次の話から戦闘やプシュケが出てきます。今後ともよろしくお願いします。

 時雨達が異世界にきて一週間程たったある日、事件は起きた。

 その日は朝から城中が慌ただしく、空気も張り詰めていた。

「何の騒ぎだろう?」

「うん、そうだね。何か皆慌ただしいよね」

 葵の言葉に反応する華音。

 朝食を終えた、時雨達は廊下を歩いていた。

 すると、一人の兵士が走って来たのだ。

「あの!ヴァロン王からの伝言を預かって参りました。今すぐに、謁見の間に来てほしいとの事です!」

「ヴァロン王がですか?」

「はい!皆さんにお伝えしたい事があると」

「…分かりました。すぐに向かいます」

 少し考えた後、鷹紀は言った。

(多分、この騒ぎと関係があるんだろう。…嫌な予感がする)


 謁見の間に着いた四人はすぐにヴァロンに話しかけた。

「ヴァロン王、僕達を呼んだ理由はなんですか?」

「…ふむ…だいたいの察しはついとるようじゃの。鷹紀よ」

「…えぇ、まぁ」

「そうか、なかなか良い勘をしとる」

 ヴァロンは顎の髭を摩りながら笑った。

「…もうすぐ、戦争が起こる。早ければ、明日にでもじゃ」

『!!』

 その言葉に時雨を除いた三人は驚いた。

「隣国のアーマスと言う国の王とその息子が、カティアを嫁に欲しいと言ってきてのぉ。始めは断ったんじゃ。あの国の悪態の酷さは噂には聞いていたからのぉ。だが、何度もしつこく言ってきたんじゃ、娘をよこせと…。わしは断った、貴様らのような連中にやる娘などいないと。」

「そうしたら、戦争を仕掛けて来たと?」

「…そうじゃ」

 鷹紀の言葉に苦笑するヴァロンだった。

「それでじゃが…」

 ヴァロンが何かを言おうとしたその瞬間、謁見の間の扉が勢いよく開いた。

「報告します!!敵軍の軍勢がここから数十キロ先の方で確認しました!数にしておよそ百万だそうです!!」

「…そうか、分かった。また何か分かったら報告を頼む」

「はっ!」

 兵士は敬礼をし、部屋を出た。

「話とはの、この先の事じゃ。早ければ、明日にでも戦争が始まる。そうなれば主らの命の保証は無い…じゃから今のうちに遠くに逃げるんじゃ」

「…いえ…ですが…」

「もし、ここに残りたいと言うのならば構わん。どうするかは主らで決めてくれ…話は以上じゃ」

 ヴァロンは席を立った。

「わしはこれから会議がある。すまんの…」

 部屋に取り残された四人は呆然とした。


「どうすんのよ!一体何なのよ!!」

「あ、葵ちゃん、落ち着いて」

 鷹紀の部屋に集まった四人は早速話し合いをし始めた。

「まず、決めなきゃいけないのは僕らがどうするかだ」

 鷹紀の声が嫌に響く。

「あたしは…正直逃げたいけど…だけど!お世話になったのもあるし、何よりカティアの友達の助けになりたい」

「わ、私も同じ意見です。何が出来るのか分かりませんけど、私達をこんなにも温かく迎えてくれた、この城の人達の為にも」

「うん、僕も二人と同じ意見だ」

 三人は強く頷くと同時に時雨を見た。

「時雨、あんたも同じでしょ?」

「……」

「時雨君?」

「……バカらしい」

「は?ちょっと、あんた」 時雨の言葉に驚く三人。

「バカらしいって何よ!!あんた、ここの人達の為に何かしようとは思わないの!!」

「あ、葵ちゃん」

「落ち着いて、葵君。…時雨君、君はこの城の、ヴァロン王達の為に何かをする気は無いのかい?」

 少しの間があり、時雨は口を開いた。

「…無いな。確かに世話にはなったが、その為に命をかける理由は無い」

「で、でも、命をかける必要は無くても、何かお手伝いは出来るんじゃないですか」

「そうよ!命をかけなくてもいいから。何かしら、しようとは思わないの!!」

「…思わん。そもそも、こんな事に深入りする気など始めから無い。やりたければ、貴様らだけでやれ」

 そう言って、時雨は部屋を出て行った。

「何なのよあいつ!!」

「仕方ないさ、やりたく無いって言っている事を無理強いする訳にもいかないからね。僕らだけでもやろう」

「は、はい、頑張ります」

「分かり…ました」

 華音は焦りながらも返事をし、葵もまた、渋々納得した。


 次の日、葵達はそれぞれの場所へと行った。

 葵はラルラの所へ、鷹紀はクラルトと共に会議室へ、華音は医務室へと。


「ふぅー」

 葵は一息ついた後、ラルラの部屋のドアを開けた。

「お、来たな。王から話は聞いた、こっちだ」

「あ、はい」

 ラルラに連れられるがまま、葵は部屋を出た。

 そして、ラルラの部屋から少し進んだ先のドアの前で止まった。

「ここだ」

 ドアを開けた先には無数の武器や鎧、盾などがあった。

「じゃ、お前の装備を整えるか」

「はい!!」


「失礼します」

「…失礼…します」

 クラルトの次に鷹紀がゆっくりと入って来た。

 そこには、ヴァロンを筆頭に各隊の隊長や副隊長が、数十人いた。

「おぉ、来たか。そこに座っとくれ」

「あ、はい」

 ヴァロンに薦められるがまま、鷹紀は椅子に座った。

「でば、作戦会議を行おうなの。早くせねば、始まってしまう」


医務室

「…あの」

 医務室のドアをゆっくりと華音が開けた。

「ん?あんたか、王が寄越したっちゅうんは」

「は、はい」

 中にいたのは白い白衣を来た一人の女性だった。

「ウチはアズ、ベティル・アズや。よろしくな」

「あ、深嶋華音です。よろしくお願いします」

「華音か、ええ、名前やな。ほな、こっちに来な、教えるわ」

「はい!」


 そして、その頃時雨は一人町に来ていた。

(…戦争が始まるせいか、町も前に来た時より空気が張り詰めてるな)

 辺りを見回しながらそう考えてる時だった。

《…を……求め……れに…》

「…っ゛!」

 突然の声と共に強烈な頭痛が時雨を襲った。

《…呼べ…我……を、我は……り!》

「…がっ!?」

 あまりに強烈な痛みに時雨はその場に倒れた。

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