1、100の偉業
魔王城─
??
「…魔王の死亡を確認。終わったぞ。」
???
「はい。こちらからも確認取れました。お疲れ様です。」
??
「あぁありがとう。じゃあいつも通り転送を頼む。」
???
「もうしてますよ。無事で何よりです。」
天界─
??
「仕事が早いね。…まぁ100回ともなると手馴れてくるか。」
???
「はい。この事務的なやり取りも100回すれば飽きてきますし。」
??
「よし、じゃあさっさと定期報告だ。俺の方は魔王討伐が100回を超えたってことくらい。あとはまたあの野郎だった。以上。」
???
「…そうですか。私からは特になにもありません。なので早くご自身の部屋で休んできてください。きっと秋葉も待ってますよ。」
??
「…それは悪い報告か?」
???
「…好かれてるんですよ。良かったじゃないですか。」
??
「…目を逸らすな。」
自室─
秋葉
「あ!アルだ!おかえりー!!!今回の世界はどうだった!?何があったの?面白いことあった?というか傷だらけじゃん!またソロで討伐したの!?」
アル
「…はいはい、後でな。手当と風呂が先だ。頼めるか?」
秋葉
「撫でんなー!むぅー!まず手当から!上脱ぐ!ベットに横になる!はい!早く!」
アル
「…頭が撫でやすい位置にあるからな。頼む。」
秋葉
「あちゃー…今回も傷だらけだね〜?特に背中。闇討ち?裏切り?奇襲?」
アル
「全部。」
秋葉
「あらら。そりゃキツイ。アイツ性格悪い。搦め手対策しないの?」
アル
「してる。でも想定外なことが多い。」
秋葉
「例えば?アルの影から急に出てくるとか?」
アル
「…俺の影から出てきた奴が閃光弾持ってて、一瞬怯んだ隙に全方位から魔法攻撃された。」
秋葉
「…それ逃げ場どこ?」
アル
「…ないよ。とっさにシールド展開して周りの攻撃防いだけど影はその内側に居たからな。普通に切られた。」
秋葉
「痛そー…よし!治療終わり!お風呂湧いてるから入ってきて!」
アル
「ありがとう秋葉。いつも助かってる。」
秋葉
「いえいえ〜お代はこれから貰うから!」
風呂場─
アル
「…この前、冬乃さんに怒られただろ。バレないなら良いんだが…」
秋葉
「ふふん!今回はバレないよ!自分の部屋にダミーを置いてきたからね!」
アル
「…そう、まぁ…、うん。持って2分とかかな?」
秋葉
「うん?なんで撫でるの?頭がちょうど良い位置にあるから?」
アル
「…子供は知らなくていいことだよ。」
秋葉
「もう!そうやって子供扱いして!私だってもう100歳超えるんだからね!」
アル
「そうか。秋葉ももうそんな年齢か。でもなぁ…」
秋葉
「…?どうしたの?そんなに見られると恥ずかしいよ?」
アル
「お子ちゃま過ぎるんだよなぁ…冬乃さんくらいの身体になったら大人と認めてやろう。」
冬乃
「呼びましたか?」
アル
「げっ…ふ、冬乃さん?お風呂に入ってくるなんてハレンチ〜…」
冬乃
「…明日、最後の世界に転送します。さっさと上がって支度をして寝てください。それと…」
秋葉
「な、なに?」
冬乃
「今日は私と寝ましょうね。秋葉。」
秋葉
「…で、でも私…アルと寝たいっていうか…冬乃と寝たくないというか…」
冬乃
「あ・き・は?」
秋葉
「あ、アル…たすけて…」
アル
「部屋まで運ぶの手伝おうか?」
秋葉
「アルのバカぁぁぁ!!!」
翌日─
冬乃
「お身体の調子は?」
アル
「万全。流石秋葉だな。」
冬乃
「では、ただいまより101回目の転送の説明をいたします。」
「まず、最終目標は変わらず魔王の討伐。飛ばされる世界は日本です。…他はいつも通りですので省略致します。元日本人のアルの方が知ってることは多いでしょう。それでは質問をどうぞ。」
アル
「いやまぁ日本人だけど…。て言ってもなぁ…日本で過ごしたのなんてたった20年だしなぁ。あ、今の日本はどの時代?2020年代だと嬉しいんだけど。」
冬乃
「2030年ですね。貴方が死んでここに来てから10年ほど経った日本です。」
アル
「じゃあ大丈夫かな。俺の知ってる日本と相違点はある?」
冬乃
「…分かりません。深く見ようとするとノイズが走ります。どうせあの人が邪魔しているんでしょう。」
アル
「あのクソ魔王も懲りないな。100回も死んでたら諦めたくもなるだろうに。…まぁでもこれで、この世界で最後なんだろ?」
冬乃
「はい。他の世界は観測されていません。あの人はもう逃げることが出来ません。」
アル
「ま、なるようになるか。それで、今回は同行するの?」
冬乃
「はい。私と秋葉の両方が同行いたします。」
アル
「…秋葉も?大丈夫なのあの子…」
冬乃
「魔王の完全な消滅が最優先です。こちらも最高戦力を持っていくのがよろしいかと。」
秋葉
「そうだよ!今回で最後なんだから最高戦力で一気にズドン!だよ!」
アル
「たしかに。じゃあさっさと行こうか。」
冬乃
「それとあと1つ、アルには大学に、秋葉には中学校に入れさせます。」
アル、秋葉
「「…なんで?」」
冬乃
「今回は日本ということ以外情報がございません。情報源は多い方が良いでしょう。」
アル
「なるほど。まぁ…日本じゃ働くか学校行くかしないと肩身狭そうだしな。賛成だ。」
秋葉
「アルがそう言うなら私も賛成!その…ちゅうがっこう?って教育を受ける場所なんだよね?アルが昔言ってた気がする!楽しみだな〜!」
冬乃
「では転送致します。」
秋葉
「はーい!よし!頑張るぞー!」
アル
「まぁ頑張るか。」
日本─
冬乃
「転送完了致しました。お二方お疲れ様です。」
秋葉
「わぁ〜…ここが日本!?なんか…変!」
アル
「変か…まぁたしかに。1面を埋め尽くす砂、しかもこれだけ星が綺麗に見えるってことは周りに光が無いって事だ。恐らく鳥取県だろう。行ったことなくても分かるところで助かったよ。」
「しかも…こんだけ開けてる場所だったら攻撃も見やすいしな。」
カキンッ!
秋葉
「攻撃されたね〜!囲まれてるし転送位置も仕組まれてたのかな?」
「まぁ…私には関係ないけどね!」
《天と地に住まう神々よ、私が生かし、私が罰し、私がその頂きへと至らんことをお赦しください。例え聖者が道を違えなくとも、例え愚者が正しい道へと向かおうとも、私が全てを無に帰そう。…》
アル
「冬乃?秋葉飛んでったけど、あの詠唱から推測するにもしかしてヤバい?防げる?」
冬乃
「久しぶりの外でテンションが高いのでしょう。あの子には後で注意しておきます。ではアル、こちらに近づいて全力で防御してください。」
アル
「巻き添えか…シールド3枚で足りるか?これ…」
冬乃
「シールドじゃ足りませんよ。早く詠唱しないと間に合いませんよ。」
アル
「…マジかよ。」
《悉くを防ぐ偽盾よ。それは技を防ぎ、力を防ぎ、あらゆる攻撃を消滅させるだろう。人類の叡智を以て最高の盾とせん。》
秋葉
「…アセント・パードン」
アル
「悉くを阻む物」
???─
????
「あはは!これは無理だ!まだまだ見誤ってたよ!」
???
「…これ無理じゃない?あの子供にも、あのお兄さんにも勝てる未来に見えないけど。」
????
「そりゃそうだよ。勝てるなら100回も死んでないんだから。」
???
「…策はあるの?」
????
「…どうだろうね。でももうストックもないしやるしかないんだよ。」
???
「ふーん…まぁその時になったら呼んで。それまで私は人間生活に忙しいから。」
????
「冷たいね〜。母親譲り?それとも父お…」
???
「…それ以上言ったら殺す。」
ジャキンッ
????
「怖〜…うわ!首から血出てるじゃん!大事な命なんだよ!危ないだろう!?」
???
「じゃあな。堕天野郎。」
????
「じゃあね〜猫ちゃん。」
「いや〜怖い怖い。危うく地獄に行くところだった。メモしとこ、えーと…猫ちゃんは父親の話をすると怒る、と。あれ?もうメモされてるじゃん!しかも3回も!忘れてた!じゃあいいや。ぽーい。」
「今回は勇者に加え、女神と天使だなんてキツすぎるよ〜。上手くやらないとなぁ〜。」
テレビ─
「一夜にして鳥取砂丘にクレーターが出現しました。原因は現在大規模な調査が行われているとのことです。」




