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王妃専属ガーデナー  作者: 瑛美(あきみ)


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44/53

閑話~或る小説が出来るまで

気付けば、前回の更新から二ヶ月近く経っていました。

すみません。

「あ、メアリさん。いらっしゃい」

 お父さんが参加している商店主の会合(新年会)に差し入れを持って行って戻ると、メアリさんがいた。

「クララ、メアリさんのお相手お願いね。では、メアリさん、急いで準備しますのでお待ちいただけますか?」

「アンナさん。そう、お急ぎしなくても大丈夫です。“本日中”にお渡しできればよろしいので」

「分かりました」

 そう言って、お婆様は奥の部屋へと引込んでいった。


「今日はお一人なんですね」

「はい。こちらに届け物をするついでにお休みをいただきました。『ゆっくり、お話してきなさい』と」

「ローズマリー様からですか?」

「いいえ。マリー様は今、伯爵家(ご実家)に戻られています。本日は、王妃様とエドワード様からです」

 王妃様は毎年、新年にお菓子やお酒を贈って下さる。では、エドワード様は?

「まだ公にはされていませんが、王妃様がこちら(デイジー)の皆様にはお話しても構わないとのことで、アンナさんとラナさんには先ほどお話したのですが、・・・エドワード様がご婚約されます」

「・・・・・・ええ~~!!あ、あい、あ、お相手の方は・・・?」

 動揺して、どもってしまった。わたしたちに話すってことは・・・。

「はい。マリー様、ローズマリー様です。正式に発表されるまでは内密に」

「うわ~~!おめでとうございます!」


 だからお母さん(ラナ)はご機嫌な様子で商品の配置換えをしていたのか。

「ヴェニディウム伯爵領の商品をさりげなく目立つところに・・・」

そう、呟きながら・・・。



「それを踏まえて、クララさん、ご相談が」

「はい、何でしょう?わたしができる事ならば」

「では、口裏を合わせてください」

「は?」

 メアリさんの言葉に理解が追いつかない。

「実はですね、お二人をご婚約させる(・・・)に当たって色々ありまして・・・」


 王妃様立案の計画によって、お二人がご婚約されることになった経緯を説明された。


「その時にクララさんの名前を出しましたので・・・」

 そう言えば、以前、リズさんか誰かにサイラス様とローズマリー様のデートの様子を話したことがあったっけ・・・。その時のサイラス様の切なそうな表情は、見ていたこちらも切なくなってしまうものだった。


「サイラス様のご希望で、サイラス様は王妃様にお願いされてお芝居をしたことになっています。私達も一応それに乗っかったという事にしていますので、もし、マリー様に尋ねられたときはうまく誤魔化してください」

「了解!」

 たぶん無いとは思うけど、もし聞かれたときは、「何のことですか~?」と、とぼけることにしよう。


「王妃様もサイラス様のお気持ちにお気づきだったんでしょうか?」

「サイラス様にとっては、少し酷な計画でしたが、こうでもしないと一生お気持ちを秘めたままだったのではないでしょうか?私は王妃様がサイラス様に機会をお与え下さったと思います。昨日お会いした時にはスッキリとした表情でしたよ」


 あの時のサイラス様の切ない表情が蘇える。


「サイラス様の想いも伝わって欲しかったです・・・」

 ローズマリー様とエドワード様がご一緒のところは一度しか見ていないけれど、すごくお似合いだなとは思う。メアリさん達から聞いた話でも、お二人が想いあっているのは感じていた。

 けれど、わたしはサイラス様のあの表情を見てしまったから、サイラス様を密かに応援していた。

「クララさんのお気持ち、分かります。そこで、再び相談なのですが・・・」


・・・・・・・・・・・・・・


「それでは、クララさん。先ほどの件、お願いしますね。私の次回の休みに伺います」

「分かりました。話はしておきますので、その時に詳しく」

 メアリさんは、お婆様からエドワード様からのご依頼の品を受け取り、帰っていった。


 

 それから一ヵ月後。

 王宮の侍女さん達の間で回し読みされる一冊の小説が出来上がる。(非売品)

 もちろん、サイラス様がモデルの主人公がヒロインと結ばれる内容だ。(ヒロインはもちろんローズマリー様がモデル)


 小説を書いたのはテレサだが、彼女には、“メアリさんの友人が働いているお邸のお嬢様のお話”と、いう事にしてある。

 わたしとメアリさんで色々と設定は変えてあるものの、内容はそのまま話した。

 そして、

「親友のために自分の本当気持ちを『お芝居』だと偽った彼を主人公に、ヒロインと幸せになる小説を書いて」

と、お願いした。

 出版できないのは残念だが、テレサも快く承諾してくれた。


 侍女さん達の間では、大人気だったそうだ。

 数ヵ月後には何故か王妃様の目に留まり、王妃様監修の元出版することになった。

 ローズマリー様の目に留まるのは、御成婚の数ヵ月後だった。 

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