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大団円② 後日談及び明日に向かって

「あの後の話だが、翠風院様が上手く取りなしてくれたらしいよ。」

 寂明さんがいろいろと仕入れた話をしてくれた。豊原は背任の罪に問われるところだったが、この件のすべてを表沙汰にしたくなかった翠風院様が裏から手を回して、豊原の「自己都合による退職」ということで話をまとめてくれたそうだ。何でも、翠風院様が直々に金洛堂の社長と面談して話をまとめたらしい。多額の金銭が動いたようでもある。

 中藤は、豊原に脅されていただけなので、退職はかわいそうだということになり、豊原から受け取った金銭を会社に弁済したうえで、部署異動という形で落ち着いたらしい。

 由美さんも、翠風院様に説得されて、監禁されたことをなかったことにしたそうだ。

 この話の流れを知った黒焔院が翠風院様に面会を求めて金銭の補償をしようとしたらしいが、ピシャリと断られたらしい。ただ、伝言で「あまり出過ぎた行動はするな」と灸を据えられたと聞いている。これで、少し「祈仙術」にまつわる動きが落ち着いてくれればいいなと思った。

 あと、金洛堂の吉山課長補佐であるが、翠風院様の執事が「お見舞いに行く」という形をとって吉山課長補佐の元を伺い、「術具」の「古代医術の巻物」を使って豊原にかけられた呪いを解くことができたそうだ。近々職場復帰するようである。ちなみに新商品の発表も吉山補佐が携わることになるらしい。まあ、これで万事解決という感じになった。

「でも翠風院様ってとんでもないお力をお持ちのようね。」

いずみが感心したように言った。

「そうだよ。翠風院様が本気で動いたら日本が変わってしまうとまで言われる力をお持ちのようだからね。」

寂明さんが同意するように言った。

「よく、そんな方が私たちに会ってくれたわね。」

 俺も同じくそう思った。用件だけならあの執事さんで十分だったのに、ご当主様自ら俺たちの応対をしてくださったのだ。人格的にも相当できた人なんだなと思った。

「あとは、あの壺の行方よね。」

 いずみがボソリと言った。そういえば忘れていた。豊原が妖魔を召喚するのに使った『魔召の壺』の行方だ。聞くところによると意思を持った『魔召の壺』は別名を「災いを呼ぶ壺」というぐらい、災いを好むらしい。それで、禍々しい匂いのするところに自ら姿を現わしに行くらしい。すぐには無理だが、あの壺は早めに処分しないといけないなと思った。

 また、どさくさに紛れて黒焔院達は豊原が使っていた「術具」を持ち去ってしまっている。また、悪い用途に使わなければいいが・・・。こうして考えてみると、万事解決という訳ではなく、災いの種はいくらか残っている気がする。でも、今は気にしても仕方がないのでまた、事が起これば考えるとしよう。

「柊太、何を考えていたの?」

いずみがいぶかし気に聞いてきた。

「うん。何だかいくらか問題が残っているなと思ってね。」

俺は今考えていたことをいずみに話した。

「そうね。でも今は考えても仕方がないし、今日はそんなこと忘れて飲みましょう。」

「そうだよ。柊太君。これからは我々が団結して事に当たることもできるしね。少し堅苦しい話にはなるが、これから、柊太君といずみちゃんには、まだ覚えていない「術」の伝授や覚えた「術」のおさらいなどもしていかないといけないね。それと、必要な「術具」も常磐教授なんかに作ってもらわないといけないな。」

寂明さんが真面目に言った。

「そうですね。黒焔院が使っていた「忘却の粉」は必要だと思いました。あと、「蜻蛉の火影」なんかも欲しいですね。」

 もし、次に何か「祈仙術」に関する事が起こった時に「忘却の粉」がなければ、「祈仙術」の存在を拡散させてしまうことになりかねない。

「まあ、今日のところはその話は置いといてしっかり飲もうよ。せっかく作った料理も硬くなってしまうよ。」

ヒロさんが笑いながら言った。

「賛成!」

こうして賑やかな笑い声が響く中、「パープルナイト」の夜は更けていった。


 〈完〉


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