↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ではありませんでしたが、聖騎士様に溺愛されそうです  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
95/142

94:もしかして私は……

「あの、もしかして私、人型をとる魔物、魔物の四天王(ダークキング)であり、“最厄”と呼ばれた残酷な魔物<クルエルティ・ヴィラン>が、本当の姿だったりします? もしくはクルエルティ・ヴィランが父親で、母親が人間……とか」


 特に後者であれば、自分が捨て子だった理由が、よく理解できる。

 母親はショックだったはずだ。

 できれば生まれてこないでくれ……と思ったことだろう。

 でも私は生まれてしまった。

 魔物の子供なんて、育てる気にはなれない。

 そこで私の出生の秘密をにおわす、シャドウマンサー<魔を招く者>が作った「ナイト・スカイ」のペンダントと一緒に、私を捨てたのでは……?


 馬車の中は静寂に支配され、ガタゴトと動く車輪の音。

 扉が車体に当たる音。そういった音しか聞こえない状態になった。


 ロキは完全に固まり、でもランスは懸命に口を開く。


「冷静になりましょう、アリー様。クルエルティ・ヴィランは人型をとると言っても、男性です。あなたは女性ですから。それは……何度か魔物と戦う時、確認しています」


 そう答えるランスは、目が開けられないほど輝いている。

 彼がここまで興奮しているということは。

 私の胸の中に、何度か倒れこんだ時のことを思い出している。

 思い出さないで! 恥ずかしい!と思うけれど。

 確かに、私は……女性の体をしていると思うし、ランスやロキとは、明らかに体格が違う。


「それに確かに魔物が見え、引き寄せることがあるかもしれません。ですが自分の生命力を感知しても、アリー様は消滅していませんよね?」


 そうだ、確かにそうだ!

 あんな至近距離でランスの生命力を感じたら、瞬殺されているはずだ。もし私が魔物であるならば。


「魔力を持つ人間と、遭遇したことはないので、正しい反応が分かりません。それでも自分の生命力を目の当たりすれば、影響はゼロではないと思うのです。でもアリー様は、全く問題がない。よって、魔力を持つ人間とも違うと、自分は思います」


「そう言われると、確かにそうだ。それにシャドウマンサー<魔を招く者>が魔力を込めたペンダントをつけると、魔物が寄ってこないというのもおかしな話だ。魔力に、仲間である魔物が引き寄せられる方が、妥当だと思う。そうなるとそのペンダント自体が、本物を似せて作られたフェイクの可能性だってある」


 ようやくロキも口を開き、ペンダントがおかしいのではと、言ってくれた。


「では私は魔物ではない。両親が魔物と人間である可能性は低い……と考えてよいのでしょうか?」


 ロキとランスの顔を、順番に見る。


「アリー様が、魔物や魔物を父親に持つ人間のはずがありません!」


 強く光を発したランスが、私を抱きしめた。

 ロキは驚きつつも、何も言わない。


「今だって自分の生命力で、アリー様は消滅することも、具合が悪くなることもないですよね? 心優しいアリー様が、魔物と関りがあるはずはありません。それにそのペンダントを作った宝飾品店も、判明しています。店は王都にあり、名前はファブジェ・ジュエリー商会。店舗も存在し、営業しているので、今から」


「ランス様、それはダメです! ご自身が今日、どんな状態にあったのかを思い出してください」


 私がそう言うと、ロキも援護してくれた。


「そうだ。完全に毒が抜けていない可能性があるお前が動いても、足手まといになる可能性がある。いざとなった時『体が痺れてきた、ロキ、アリー様のことを頼む!』なんてなったら、アリー様のことは俺がもらうぞ!」


「な、ロキ、貴様っ!」


「だからお前は屋敷で安静にしていろ。せめて今日一日は。そのファブジェ・ジュエリー商会には、俺とアリー嬢で足を運んでみる」


 ランスはその深みのある水色の瞳を悲しそうに潤ませ、私を見た。その表情を見たら、ぎゅっと抱き寄せ「ランス様も一緒に行きましょう」と言いたくなってしまったが、そこはぐっと気持ちを引き締める。


「ロキ様の言う通りです。ランス様はそのままお屋敷にお戻りください。夕食に間に合うよう、お屋敷に戻るようにしますから」


「アリー様……」


 ランスのとんでもない甘い声に、ロキまで体がビクッと反応している。きっとランスが出すこんな声、ロキも初めて聞いたのだろう。顔が赤くなっている。


 ロキがそうなのだから、私は顔も体も真っ赤なはずだ。それでもなんとかランスに告げる。


「ランス様が私を心配するのと同じぐらい、私もランス様が心配なのです。ですからランス様は、今日はもう、無理はしないでください。禁書でちゃんと情報を拾ってくださいました。今日はそれだけで十分ですから! また明日、私を助けられるよう、今日は休んでください」


「……分かりました」


 捨てられた子犬のようにしゅんとしてしまうランスに、私の心は非常に揺すぶられることになる。「やっぱりランス様も一緒に行きましょう」と何度も言い出しそうになり、必死にこらえた。


 でも屋敷に到着し、そこでランスをおろし、ロキと二人、ファブジェ・ジュエリー商会に向かうことになった。


 ランスはそのサラサラの美しいホワイトブロンドを揺らし、見えなくなるまで馬車を見送ってくれた。


。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。