↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ではありませんでしたが、聖騎士様に溺愛されそうです  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/142

88:何が目的?

「クリフォード団長、ランスは……エルンスト伯は本日、王立図書館に行かれました」


 王立ローゼル聖騎士団の団長クリフォード・ヒュー・シアラーと会った瞬間。ロキからはいつものふざけた感じが消え、応接室のソファに座る頃には、すっかり聖騎士になっている。


 背筋がピンと伸び、言葉遣いも丁寧、所作も落ち着いていた。


「ああ、分かっているよ。ロキくん。エルンスト伯の禁書の閲覧許可を出したのは、この私なのだからね。私がここに来たのは、アリー・エヴァンズ嬢に会うためだ。彼女は聖女候補だったはず。でも聖女として認められず、村の修道院へ戻されたはずだ。どうしてエルンスト伯爵家の別邸にいるのか……気になってしまってね」


 クリフォード・ヒュー・シアラー。

 王立ローゼル聖騎士団の団長であり、年齢は45歳。たった一つの称号であるマスターナイトを持ち、聖剣、聖槍、聖弓そして聖旗を授けられた、聖騎士の頂点に立つ人物だ。


 聖女候補として神殿でも見かけたが、45歳とは思えない、若々しい風貌をしている。髪はプラチナブロンドで、肩までの長さ。切れ長の瞳で、その色は淡い紫色。高い鼻に薄い唇。すらっとした細身である点は、ランスに似ている。


 着ている服は一見、軍服のように見えるが、おそらく団長専用の服なのだと思う。何より色が真っ白なのだ。軍服でさすがには白はないだろう。どうしたってすぐに汚れてしまうだろうから。


 詰襟には、左右に月桂樹と剣を模した黄金のバッジ。飾りボタンには、王立ローゼル聖騎士団の紋章が刻まれていた。黄金の飾緒、沢山の略綬と、彼の活躍ぶりがよく分かる。


 先代聖女が病に倒れた時。

 彼女の悲願だった四天王(ダークキング)で最悪と言われた、吸血蝙蝠型の魔物<ブロッド・バット>を討伐したことで、一気に副団長、団長へと上り詰めた人物だと、ランスから教えてもらっていた。


 ブロッド・バットが最悪と言われた理由は、人間の魂を喰らう代わりに、吸血を行ったのだ。勿論、吸血された人間は死に至る。一晩で村が全滅する勢いで吸血するブロッド・バットは、まさに悪夢だ。しかも数が多い。これを最終的に、指揮官として率いた聖騎士の精鋭たちと共に倒したクリフォードは、この国の英雄と言われている。


 ちなみに、ビースト・デビルベア、セント・ポイズンを立て続けに討伐しているランスは、若きカリスマと、ニュースペーパーでは騒ぎ立てられていた。


 そのクリフォード団長が、この屋敷を訪ねた理由は、ランスではなく私。


 私がランスのところにいることは……廃城討伐に来ていた聖騎士から漏れた可能性が高い。別に口止めをしていないし、婚約する予定ということで、私とはプラトニックな関係である。……魔物を討伐する時をのぞき。いや、魔物討伐の時にランスと私が何をしているかなんて、皆、知らない。よってその件はさておき。


 ランスが聖騎士を辞めるつもりでいると知り、その理由が私だと知ったクリフォード団長は、どんな気持ちになっただろう? 聖女でもない、村の修道女に過ぎない私と結ばれるため、若きカリスマと呼ばれるランスが、聖騎士を辞めることを、クリフォード団長は……快く思っていないのでは?


 もしや。


 私とランスの仲を裂くために、ここ来たのでは……?


 なぜ私がここに滞在しているのか。それを誰かに私から話すことになるなんて、想像していなかった。


 どう、答えたらいいのかしら? ランスと口裏を合わせた方がいいと思う。ただ、彼は廃城に共に向かった仲間に、私のことを「いずれ婚約する相手」と紹介したのだ。だったらそれが正解なのでは?


「クリフォード団長、私は聖女ではないと分かり、ランス様に村まで送っていただくことになりました。ランス様はお一人で、従者兼御者兼護衛として、村の修道女に過ぎない私に尽くしてくださりました。そんな彼のことを私は……修道女の身でありながらも、好きになってしまったのです」


 クリフォード団長は、フラワーリースが描かれたティーカップとソーサーを優雅な手つきで持ち、聖母のように微笑んだ。


「なるほど。エヴァンズ嬢はエルンスト伯と恋に落ち、彼もまたあなたを好きになってしまったと。これは困りましたね。彼は将来有望な聖騎士なのに」


 この言葉にドキッと心臓が反応する。やはりランスと私のことを反対するために、ここへ来たのね……。隣に座るロキも、膝に乗せた両手をぎゅっと握っている。


「ただ……どうだろう。聖騎士は民のため、国のため、そして聖女にその心身を捧げるが、一人の人間であり、男だ。個人の幸せを捨てることが美徳……というのもヒドイ話だ。エルンスト伯が聖騎士であることよりも、一人の人間として愛する人と結ばれたいと言うのなら、それを止めることはできないだろうね」


 これは……。

 思わずロキの顔を見てしまう。ロキの顔も驚きを隠せない様子だ。

 てっきり反対されると思ったのに。反対するつもりはない……?


「しかしまだ聖騎士の身分でありながら、エヴァンズ嬢を自身の屋敷に住まわせているのは驚きだ。まだ君は修道女の身。そして婚約もしていない。何より彼は聖騎士なのだから。風紀の観点からも見逃せないね。正当な理由がなければ」


 クリフォード団長が、自身の淡い紫の瞳を私に向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。