↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖女ではありませんでしたが、聖騎士様に溺愛されそうです  作者: 一番星キラリ@商業ノベル&漫画化進行中


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
88/142

87:じわじわ自覚し、悶絶

 セント・ポイズンの討伐を終え、ようやく屋敷に戻ることができた。

 でもしばらく、ランスは身動きがとれなくなる。

 何せあのセント・ポイズンを倒したということで、それはニュースペーパーの記事にもなったし、騎士団に対しては勿論、国王陛下への報告も求められた。さらにアトラス大公国も使者を送ってきて、彼に話を聞きたがった。


 勲章も授与され、アトラス大公国主催の舞踏会も催され、朝から晩まで、ランスは動き回っていた。舞踏会には一緒に行かないかと誘われたが、現役の聖騎士であるランスが自ら令嬢を伴えば、注目を集めてしまう。普段から女性を同伴する聖騎士ならまだしも、そんなことが一切なかったランスでは、分が悪い。


 それに私は、まったくダンスができない!


 できないと言えば。


 私を見て、ランスは瞳をトロンとさせることも、できなくなしまった。

 それは当然だ。国王陛下に謁見し、他国の大使と会うのだ。

 デレデレしている場合ではない。

 その一方で。

 ランスが冷静になると、今度は私が少しおかしくなる。

 セント・ポイズンに襲われた時。

 私はいつもの私ではなかった。

 大の苦手のムカデ型の魔物。

 なんとしても倒したいと思い、ランスにとんでもない口づけをしてしまった――ということをじわじわ自覚し、悶絶することになる。

 恥ずかしくて、顔を合わすことができない!と。

 だが実際、ランスと顔を合わせる時間が、本当にもてなかった。

 その結果、幸か不幸か例の口づけの件も「あれは魔物討伐のために、必要不可欠だったのだ!」と自分を納得させることに成功した。


 こうしてセント・ポイズンの討伐から五日後。


 すべてが落ち着き、ランスは休暇をもらえた。

 休暇と言っても、連続した二日間の休暇に過ぎない。

 それでも連日動き回っていたのだ。

 ゆっくり休んでもらおう、フルーツたっぷりのケーキでも焼いて食べてもらおう……そう思っていたら……。


「アリー様、お待たせいたしました。今日、王立図書館に行き、禁書に目を通してきます。留守の間はロキを護衛につけますから、安心してください」


 そう言って微笑むランスは、聖騎士として王立図書館に赴くため、休暇中だが、隊服姿だった。一方の私は、彼の商会が作った美しいローズ色のドレスを着ている。スカート部分の三段ティアードが実に美しいドレスだ。


 ランスはせっかくの休みなのに。

 体を休めることなく、王立図書館に向かう彼に対し、私は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


「ランス様、せっかくのお休みなのに、私のせいで王立図書館に行くことになり、申し訳ないです……」


 恐縮する私にランスは、こんな言葉をかけてくれた。


「アリー様と結ばれるためには、聖騎士を辞すことが必要です。でもアリー様のペンダントの謎を解くには、聖騎士でいる方が、都合がいい。……もしかするとアリー様の両親を探すのも、聖騎士という身分が役立つかもしれません」


 それだけこの国では、聖騎士という身分と存在が持つ影響力が、大きいということだ。


「身分を利用するのは……いいことなのかと問われると悩みますが、悪用しているわけではないので、そこは不問として。でも聖騎士である限り、自分はアリー様と婚約すらできません。アリー様と結ばれるためには、ペンダントの謎を解き、ご両親について調べ、聖騎士を辞める必要があります。よって、今日、王立図書館に足を運ぶのは、アリー様のためであり、自分のためでもあるのです」


 こんな風にランスに言われてしまうと、ますます彼を好きになってしまう。


「ではお屋敷に戻ったら、ランス様とお茶を楽しめるよう、フルーツケーキを焼いてお待ちしています」


 するとランスの顔は勿論、体全体が明るく輝いた。

 笑顔のランスは、ホワイトブロンドの髪をサラリと揺らせ、私の両手をぎゅっと握った。


「アリー様……それはとても嬉しいです。あの宿で食べたバタークリームのカップケーキも、とても美味しかったので。あのバタークリームはとても濃厚な味で、あれはまるでアリー様と交わしたキ……」


 突然ランスが強く輝き、私は目閉じる。

 そこへ「おーい、ランス、アリー嬢!」とノックなしで入って来たロキが叫ぶ。


「おい、ランス! キスはまだダメだ! お前、まだ聖騎士なんだからな!」


 シャンパンゴールドのセットアップを着たロキが、ランスの手を私から引きはがす。


「ロキ! 自分はアリー様に、キスをしようとなんてしていないぞっ!」


「そんなに顔を赤くして、嘘をつくな! アリー嬢だって、目を閉じていただろうが!」


「そ、それは誤解だ……!」


「あ、あの、ロキ様、私はちょっと立ち眩みがして目を閉じただけですから、ランス様は何も悪くありません。それにそろそろランス様は、お屋敷を出る時間です」


 この言葉でなんとかロキが落ち着き、ランスをエントランスまで見送ることができた。


「さて。私はこれからランス様のために、フルーツケーキを焼こうと思うわ。ロキはどうするの?」


「それは勿論、俺は大好きなアリー嬢のそばにいるよ。厨房でアリー嬢がフルーツケーキを作る様子を眺め、味見をさせてもらう」


 ロキはなんだかんだで私に張り付いてくれるけど、ペンダントをつけている限り、魔物は寄ってこない。マイとは縁が切れているし、もう彼女が襲ってくることもない。こんなに護衛、頑張らなくても大丈夫なのに。


 そんな風に思いながら厨房に向かい、調理人のみんなと一緒にフルーツケーキを作り始めたら、バトラーが慌てた様子でやってきた。


「アリー様、先ぶれが来まして、クリフォード・ヒュー・シアラー様が、こちらへ向かっています」


 どこかで聞いたことがある名前だわ。でも……誰かしら?


「えっ、団長!?」


 ロキが目を丸くした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページやタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●9/2発売●
バナークリックORタップで書報ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに
『悪役令嬢に転生!婚約破棄で推しと家族が闇落ち!回避したいだけなのに』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』は
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●宿敵の皇太子をベッドに押し倒し――●
バナークリックORタップで目次ページ
宿敵の純潔を奪いました
『宿敵の純潔を奪いました』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●妹の代わりに嫁いだ私は……●
バナークリックORタップで目次ページ
私の白い結婚
『私の白い結婚』

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●現実世界の恋愛物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。