006_もう無理!わたし会社辞めるから!
「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな?」
「そう思っていただいても結構です。」
「普通の女と思っていたけど……」
「普通じゃないことが起きたので。」
「いや信じられる?なに?ゲームのキャラが突然現れて!?」
「それが事実なんです……」
「クソッ!計画は順調だったのに……」
「なんの計画ですか。」
「年度末の決算。」
「社長。来年の話をすると鬼が笑いますよ?」
「いや今年だが?そこボケなくていいから。」
「で、社長。さっさとこの辞表を受理してください。」
「いや、こういうの突きつけられても困るんだよね……」
「なにか問題でも?」
「お金だよお金!生きていくにはお金が必要でしょ!?」
「だからYouVibeで稼ぐんですよ。」
「それに対して俺は首を縦に振れない。一時的な収入だからだ。」
「いやだから大丈夫ですって。プランもいくつかご用意しております。」
「営業トークしなくていいから!俺は心配なの!」
「何が心配なんですか?」
「YouViberの業界も厳しいでしょ!?楽して稼げるなんて夢物語……」
「楽をするつもりはありません。ちゃんと命のリスクありますから。」
「むしろそれだからダメなんだって!命のリスク?君は冷静じゃない。」
「いたって冷静です。辞表のたった一枚でビビらないでくださいよ。」
「いやビビってるわけじゃ……いやビビったよ。」
「リンネヴェールちゃんですからね。」
「……!他社の製品の名前を出すな……!」
「いや同業じゃないでしょう。カッコつけないでくださいよ。」
「いやこういうのは言っておこうと思って。相手が君だし。」
「私のことは遊びだったんですね?」
「人聞き悪いな!そういう関係じゃないだろ!?」
「でも私は人生を弄ばれました。」
「じゃあこうしよう。君の趣味は尊重する。」
「は?趣味?」
「その上で上手に半休を使ってもらって……」
「あの社長。まず土曜も出勤っておかしくないですか?」
「ぜんぜん普通だよ?人手が足りないんだよ!」
「じゃあお給料上げたり休日増やしたり……」
「どんどん若い子が辞めていくし!」
「パワハラ野放しにしてて上層部腐ってるからですよ。」
「やっぱりコミュニケーションが足りないからか……」
「仕事がきつくて給料が安いからです。」
「みんなのために教育や個人面談を充実させるから!」
「話になりません。もっと社員を大事にしてください。」
「大事にしてるよ?社員は全員俺の家族みたいなもんだし……」
「社長はご自分の家族をこの会社に入れられるんですか???」
「めっちゃ入れてるよ!本部長とか専務とか役員とかはガチ家族!」
「……聞きたくありませんでした。最悪です。」
「本当にさあ、何が問題なわけ?不満でもあるの?」
「不満がなかったらこんな事態になっても会社は続けたと思います。」
「じゃあ続けてよ。」
「社長さん……受け取ってください。私の最期の辞表。」
「あ、知ってるそれ。JOJOでしょ?うけるー。」
「本当に社長は人の神経を逆なでするのが上手ですね。」
「心を掴めなかったら社長には成れないよ!」
「最悪です。もういいです。それ受け取ってください。」
「ちょ、待てよ!」
「そのネタ古すぎて私の世代じゃないんですけど……」
「飲み会であれだけ笑ってたのに!?」
「おじさん用のミームも勉強しなきゃいけないのが本当に嫌です。」
「あれ演技だったの!?」
「まさか本当に面白いと思ってたんですね……」
「給料倍にするから!ね、給料倍に!」
「倍率は?」
「0.95倍にするから!」
「減額してるんじゃないですか!」
「……当たり前だよ……こうやって俺の時間を奪ってるんだから……」
「ふふふ、ついにあらわれましたね……本性が。」
「くくく……絶対に辞表は!受理しない!」
「受理しないも何も!届け出の時点で!法的には有効!」
「だがこうやって!見なかったことにすることもまた可能なのだ!」
「貴様!労働基準監督署が怖くないのか!」
「女神の加護は我々にとって害悪でしかないのだよ……」
「おのれ、お前は……お前らは最低だ!ブラック企業め!」
「なんとでも言うが良い!目的のためには手段など!選んでいられない!」
「だからお前らは悪なんだ!辞表をもってしても救えない!」
「救われる?赦される?そんなキレイごとはとうに捨てた!」
「貴様……!」
「今ここにいるのは!貴様が今相対している存在は!」
「……?」
「コンサルタントの傀儡に過ぎない……」
「……」
私は会社を辞めた。後悔はない。
はあ、あんなしょーもない奴の下で働いていたとは……
私はお弁当屋でチキンボックスを6箱買った。
リンネ、ライア……お姉ちゃんもそっちに行くからね。
なんで「こう」しちゃうのかなあ……
まあいっか☆




