第1話 NC-1801
新作よろしくお願い致します。
俺はクロウ。
昔の名前は、NC-1801。
今は——猫カフェに住んでいる。
都内の小さな猫カフェ。
店長の真壁が、静かに鍵を回す。
扉が開いた瞬間、
2人の若い女性が入ってきた。
常連だ。
それを見た黒猫が、すぐに駆け寄る。
見上げて、小さく鳴いた。
「きゃー、クロウちゃん!」
女性が座ると同時に、膝へ。
丸くなり、喉を鳴らす。
甘えるのは嫌いじゃない。
——相手は選ぶが。
カウンターの奥。
真壁が、じっとこちらを見ている。
クロウも気付いている。
だが、目は合わせない。
閉店後。
静まり返った店内。
クロウはカウンターへと歩く。
「依頼は?」
真壁は帳簿を閉じた。
「……クロウさん、明日来る予定です」
「判った」
それだけ言って、クロウは奥へ消える。
翌日。
店内は賑わっていた。
女性客の笑い声が響く。
その中に1人、空気の違う男がいる。
若い。
だが落ち着きがない。
初めてだ。
真壁が声をかける。
「こちらへどうぞ」
店の奥へと通す。
男は座っても、落ち着かない。
視線は、クロウに釘付けだ。
クロウはゆっくりと歩み寄る。
「内容は?」
男は一瞬、言葉を失う。
「……本当に、ここでいいんですよね?」
真壁は表情を変えない。
「辿り着いたのでしょう」
男は息を飲む。
「……あのサイトに」
黒い画面。
白い文字。
——何を求む?
「書き込んだら……返信が来て」
「ここに来いって……」
クロウは何も言わない。
ただ見ている。
男は覚悟を決めたように口を開いた。
「……父が」
「父が、殺されたんです」
空気が変わる。
「敵を……取ってほしい」
クロウは、わずかに目を細めた。
「……いいだろ」
男の表情が崩れる。
安堵。
だが——
「すぐには動かない」
「2日後、また来い」
男
「え……?」
「確認する」
短い言葉。
男は戸惑いながらも、何度も頭を下げた。
「お願いします……!」
そのまま店を出ていく。
扉が閉まる。
静寂。
クロウは振り返らない。
「……ブラン」
呼び声。
奥の暗がりから、犬が現れる。
白と黒の毛並み。
ブランだ。
「聞いてたよ、NC」
「その呼び方はやめろ」
「はいはい、クロウさん」
軽い声。
「で、あの依頼だろ?」
「ああ」
クロウは短く答える。
一拍。
そして——
「調べろ」
ブランは口元を歪めた。
「任せな」
そのまま影へと消える。
クロウは目を閉じる。
——ここは、猫カフェだ。
読んでいただきありがとうございます。
今後もよろしくお願い致します。




