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シールの魔女は婚約破棄されたので、魔女業に専念することにしました!  作者: 江本マシメサ
第四章 皮膚シールを作ろう!

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後日談・前編

 後日、シール堂にブルジェ伯爵とアデールがやってきた。


「いらっしゃいませ!」


 私の顔を見た瞬間、アデールが抱きついてくる。


「メーリス、本当にありがとうございました! おかげさまで、結婚式でドレスを着ることができました」


 それを聞いてホッと安堵する。


「婚礼衣装を纏ったアデールは、本当におきれいでした」

「ありがとうございます」


 皮膚シールも問題ないようで、ホッと胸を撫で下ろす。


「驚きましたわ。本物の自分の皮膚のように、違和感がなくて、手触りも自分の肌とまったく同じで」

「自分で剥がそう、という意識がない限り剥がれないので安心してくださいね」

「それを聞いて安心しました」


 新婚旅行に行ってきたようで、お土産をいただく。


「メーリスさんにはこちらの香水と、真珠の髪飾りと――」

「ユベール、俺達完全に存在を忘れ去られているねえ」

「しばらく大人しくしておけ」

「はーい」


 新婚旅行を思う存分楽しんだようで、何よりだと思った。


「今日は、シール堂でお買い物もしようと思いまして」

「ありがとうございます。ごゆっくり、ご覧になってくださいね」


 シールを置くトレイを持ってきていたら、ユベール様が店内の商品について説明していた。


「これは〝虫除けシール〟で、いっさい虫が近寄らない効果がある」

「うわー、新婚旅行の前に欲しかったよ! 森に散策にいったら、虫がすごくてさー」


 あっという間にトレイはシールでいっぱいになる。

 効果がわかりやすいよう、説明入りのシール帳に貼ってからお渡しした。


「ありがとうございました」

「また、来ますわ」

「いいお店だから、みんなに宣伝しておくね」


 願ってもない話である。


「あと、これも!」


 ブルジェ伯爵が懐から出したのは、小切手だった。

 そこには金貨百枚とある。


「こちらは?」

「オーダーメイドした、皮膚シールの代金だよ」

「このような大金、いただくわけにはいきません!」


 皮膚シールは今回製作できる量と素材集めの労力、時間を考え、価格は金貨三枚程度にしようとユベール様と話し合っていたのである。


「メーリス嬢がアデールのために根気強く話を聞いて、ユベールもそれに協力して皮膚シールを完成してくれたんだ。感謝の気持ち込み込みなんだよ」


 どうしよう、と思ってユベール様を振り返ると、「アデールやナゼルの好意だ、受け取るといい」と言う。


「これからもシール堂を続けてほしいからさ。投資的な意味もあるんだ」


 たしかに、これだけあればユベール様にも給金を払えるだろうし、お店のメンテナンスにも使えるだろう。


「よろしいのですか?」

「もちろん!」

「受け取っていただけると、嬉しく思います」


 そこまで言われたら、お断りするのも失礼だろう。


「ありがたくいただきます」


 そう答えると、アデールとブルジェ伯爵はにっこりと微笑んでくれた。


 ◇◇◇


 状況が落ち着くと、今度はユベール様が私との婚約お披露目パーティーを開きたいという。


「二回目だから、面倒だろうが」

「いえ、その、実はマケールとは婚約式をしていなくて」


 婚約式をするくらいならば、挙式を豪華にしたい。

 そう望んでいたらしく、父が婚約お披露目パーティーの資金を渡してしまったらしい。

 婚約破棄後、父がそのお金を回収しようとしたようだが、マケールは「そんな金など知らない」の一点張りだったそうだ。


「あの男は……本当に呆れる」


 しかも、基本的に婚約お披露目パーティーの費用は男性側が負担するようだ。

 初めて知った。


「そんなわけだから、費用については気にしないでほしい」

「よろしいのですか?」

「ああ、任せろ」


 両親や知人を呼ぶだけの、ささやかなものだと思っていたのだが、王宮の大広間で行うと聞いて仰天してしまった。

 

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