表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シールの魔女は婚約破棄されたので、魔女業に専念することにしました!  作者: 江本マシメサ
第四章 皮膚シールを作ろう!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/55

アデールとナゼル

 アデールからすぐに返事があり、三日後に会いたいとあった。

 ユベール様も同行してほしいとあったので、スケジュールを調整するようにお願いする。

 三日後――私とユベール様はオーベルジュ大公家の別邸に向かった。

 前回とは異なり、今回はアデールとブルジェ伯爵が揃って出迎えてくれた。


「ナゼル、お前もいたのか」

「いやー、なんかアデールに話したいことがあるとか言われてねえ。すぐにでも聞きたかったんだけれど、ユベールとメーリス嬢が来ないと話せないって言ってさー」


 アデールはまっすぐ私を見つめ、淡く微笑んでいる。

 おそらくイビル・フェアリーの呪いについて、打ち明ける勇気が出たのだろう。


「メーリス、お会いしたかったです」

「私も」


 アデールと手と手を取り合って微笑む。

 早く彼女に皮膚シールについて報告したかった。

 そんなやりとりをしていると、ブルジェ伯爵がいてもたってもいられない挙動を取り始める。


「わ~~~~、話ってなんなんだ!! 気になって、夜しか眠れないよ!!」

「きちんと眠っているではないか」


 ユベール様の指摘も耳に入っていないようだった。

 早く打ち明けたほうがいいだろう。

 客間に案内してもらい、お茶とお菓子が運ばれたあと、アデールはすぐに本題へと移った。


「今日はナゼルに、結婚できないと言ってしまった理由について、打ち明けようと思いまして」

「はあ……アデール、やっと話してくれる気になったんだ」

「ええ」


 アデールは神妙な面持ちで話し始める。


「実はわたくし、十一年前に妖精の呪いを受け、背中に火傷のような痕ができてしまいましたの。それがあまりにも酷い見た目で、この体でナゼルと結婚するわけにはいかない、と思ってしまい……」


 結婚式の背中が開いたドレスを目にした瞬間、アデールはその気持ちが高まって、結婚を取りやめたいと言ってしまったと告白する。


「まさかそれが理由だったの?」

「ええ」


 ブルジェ伯爵は頭を抱え、「は~~~~~~~!」と盛大なため息を吐いた。


「他に好きな人ができたとか、俺が嫌いになったとか、結婚がどうでもよくなったとか、そういうことじゃなかったんだ」

「ええ、本当にごめんなさい。あなたへの気持ちは、今も昔も変わりませんわ」


 そんなアデールの言葉を聞いたブルジェ伯爵は、ハッとしたように顔を上げる。

 瞳が潤んでいて、今にも泣きそうだった。


「アデール、ずっと辛かったんだろう? なんでもっと早く言ってくれなかったんだ?」

「あなたはわたくしの苦しみも、自らの苦しみにするような、優しいお方でしたから」


 同じ苦しみをブルジェ伯爵に与えるわけにはいかない。アデールはそう考えていたという。


「それに、ないとはわかっておりましたが、あなたに嫌われることも怖くて」

「嫌うわけないよ! アデールのすべてを愛しているのに!」

「でしたら、呪いごと、愛してくださるのでしょうか?」

「そのつもりだよ!」


 互いに想い合うお似合いの二人だ。話を聞きながら思ってしまう。


「アデールが嫌だったら、結婚式なんてしなくてもいいんだよ」

「その件ですが、メーリスが解決してくださるそうで」

「メーリス嬢が?」


 ここでブルジェ伯爵に皮膚シールについて打ち明ける。


「アデールの呪いを隠せるかもしれない、皮膚シールの作成に成功しました」


 まだ試していないのでわからないが、きっと上手くいくだろう。


「もしも、皮膚シールで呪いを隠せるのならば、当初の予定通り、背中の開いたドレスで結婚式を挙げたいと思っていますの」

「アデール、いいの?」

「ええ」


 まずは試してみないといけない。

 そんなわけで、ブルジェ伯爵とユベール様には退席してもらい、侍女達を部屋へ呼び寄せる。


 アデールのドレスを寛がせてもらい、皮膚シールを貼ってみた。


「いきますよ」

「はい、お願いいたします」


 アデールの背中に、そっと皮膚シールを貼る。

 魔法陣が浮かび、輝きに包まれた。


「――!」


 どうか上手くいきますように。

 そんな願いと共に瞼を開く。


「まあ!」

「素晴らしい!」


 アデールの背中は、シミ一つない、美しい状態になっていた。


「成功です! 成功しました!」


 侍女達が合わせ鏡を作り、アデールにも背中の状態を見せてくれた。


「ああ……なんてことでしょう……!」


 アデールは涙を浮かべ、私を振り返る。


「メーリス、ありがとうございます!」


 私達は抱き合い、感動を分かち合ったのだった。



 それから一ヶ月後――アデールとブルジェ伯爵は結婚式を挙げる。

 二人とも本当に幸せそうで、結婚っていいものだな、と思ってしまった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ