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シールの魔女は婚約破棄されたので、魔女業に専念することにしました!  作者: 江本マシメサ
第四章 皮膚シールを作ろう!

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不可解なこと

「叔父上、その流行病とやらについて詳しく――ッ!」


 ユベール様の体がぐらりと傾いたので、とっさに支えてしまった。

 ズシ、と重たくてびっくりしたが、コゼットも手伝ってくれたので、なんとか倒れずに済んだ。


「ユベール様、大丈夫ですか?」


 少しぼんやりしているようで、様子がおかしい。

 回復シールや浄化シールなど、状態をよくするシールをユベール様に貼ってみる。

 すると、瞳に光が戻ってきた。


「私は何を――!?」

「旅で疲れているのかな? 少し休むといい」


 果たしてそうなのか。

 魔王討伐の旅から帰ってきたときも、ユベール様は疲れている様子なんて見せていなかったのに。

 ひとまず、別室で休ませてもらおう。

 セザムさんの案内で、客室まで案内してもらった。


「お茶とお菓子をご用意しますね」

「それよりもじいや、聞きたいことがある」

「なんでしょう?」

「フロンティエールで流行したという病について、詳しく知りたい」

「ああ、〝目眩病〟のことですね。わたくしめも罹ったのですが」


 目眩病――初めて耳にする病気である。


「症状は実にシンプルで、くらくらと目眩を覚え、前後の記憶が途切れ、考えていたことも曖昧になるようです」


 先ほどのユベール様の症状と似ていた。まさか、目眩病を発症してしまったのだろうか?

 もう少し詳しく聞いてみる。


「目眩病を治す薬は存在せず、ひたすら療養するばかりになります」


 ゆっくり休んでおけば、一ヶ月程度で症状は緩和するようだ。


「ただ、後遺症もございまして、ときおり強い目眩を感じる他、食べても食べても太らない体質になるようで」


 記憶力も低下するので、セザムさんは毎日欠かさず日記を付けるようになったのだとか。


「先ほど、ユベール様にも目眩のような症状が見られまして」

「なんと!! 大丈夫でしたか!?」

「ああ。とっさにメーリスとコゼットが支えてくれたから、倒れずに済んだ」

「それは大変ですね。すぐにでもお医者様をお呼びしましょうか?」

「必要ない。効果的な薬はないのだろう?」

「ええ、そうなのですが……」


 目眩病が発病したような症状を聞き、いてもたってもいられないのだろう。


「父はなぜ、目眩病について私に言わなかった?」

「ユベールお坊ちゃまは大切な跡取りでしたので、敢えておっしゃらなかったのかもしれません」

「箱入り息子のような扱いをしてからに」


 十一年前に来て以来、オーベルジュ大公はユベール様に領地へ行くように言わなかったようだ。もしかしたら目眩病に罹らないよう、遠ざけていた可能性がある。


「目眩病についての調査書及び報告書の写しがありますが、読まれますか?」

「ああ、頼む。あと、十一年前に行った晩餐会の参加者リストも持ってきてくれ」

「承知いたしました」


 セザムさんがいなくなったあと、ユベール様は深く長いため息を吐いた。


「目眩病なんて、初めて耳にした」

「ええ。しかし、どうして私は罹らなかったのでしょうか?」

「それは、竜族の守護かもしれない」


 竜族の守護――なんでもそれは、竜族と親和を結んだ者に現れる、鉄壁の守りだという。


「コゼットがいることで、私は目眩病に罹らなかった、ということでしょうか?」

「おそらく」


 不思議そうな顔で私を見上げるコゼットを抱きしめ、ありがとうと感謝を伝えた。

 そんな話をしているうちに、セザムさんが目眩病の調査書、報告書の写しと十一年前の晩餐会の参加者リストを持ってくる。

 セザムさんは下がっていいと言われたので、深々と頭を下げて退室していく。

 ユベール様は報告書を読み、私には調査書を見せてくれた。

 双方の情報は似たようなものだという。報告書は集約された情報のようだ。

 ぱらぱらとページをめくりつつ、目眩病についての調査を読み進めた。


 早々に報告書を読み終えたユベール様が、私に質問を投げかける。


「どう思った?」

「その、ただの憶測なのですが、目眩病は病気ではないのでは? と感じまして」

「同感だ」


 奇しくも、ユベール様も同じことを考えていたという。


「目眩病は、魔力の枯渇状態に似ている」

「ええ。推測ですが、目眩病というのは、魔力をじわじわと奪われるような状態なのではないでしょうか?」

「私もそのように考えていた。幼竜コゼットと魔力を共有するメーリスが倒れなかったのも、豊富な魔力を所有しているからだろう」

「魔力を、共有、ですか?」

「なんだ、知らなかったのか? 竜族との契約はそういうものだ」


 コゼットにそうなのかと聞いても、小首を傾げるばかりだった。

 まさか知らぬ間に、竜であるコゼットと魔力を共有していたなんて。

 竜の魔力は無尽蔵だと耳にしたことがある。

 たしかにそのような状態であれば、いくら魔力を取られていても、気付かないだろう。


「最初の目眩病の患者が出たのは、十一年前」


 偶然なのか、晩餐会が行われた翌日だという。


「アデールが接触したフェアリー・リングが無関係とは思えない」


 ユベール様の言葉を聞いて、ハッとなる。

 そうだ、そうだった。


「でしたら、目眩病というのは妖精族の仕業なのでしょうか?」

「その可能性は否めない」


 一度調査しなくては。

  ユベール様と一緒に、屋敷の裏庭にある湖へ行くこととなった。


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