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嫁にプロポーズしてみた

 とりあえずラザが起きない。このままお持ち帰りしたいが、流石に拉致疑惑が出かねないので無理だろう。しばらく行方不明になっていたしね。


「いつまで抱っこしているつもり?」


「起きたら降ろすつもりだったのですが……」


 起きない。ネタというわけでもなさそうだ。


「はっ!」


「あ、起きた」


「クソ姉上」


 ラザって、意外と口が悪いかも。


「何よ」


「とんでもなくいい夢を見ました。あのローラ様が私を嫁と認めてくださった……!」


「ええ……とりあえず、後ろを見なさい」


 マリー様は呆れたご様子だ。夢じゃないというべきかと迷っていたら、後ろを向いたラザと目線があった。


「あ、えーと……」

「きゃああああ!?え!?ちょ、なんで僕旦那様の膝に乗ってるんです!?」


 まあ、そりゃそうだよな。それは驚くだろう。というか、うちの嫁って悲鳴も可愛いな。美少年だとキャーって悲鳴も許されるんだな。


「話の途中でラザが気絶したからずっと抱きかかえていただけだよ」


「気絶……?あれ、夢じゃない……?え?ど、どのくらい気絶してたんです??」


「一時間ぐらいかしら。床に転がしておいていいわよって言ったけど、ローラが降ろさなかったのよね」


 流石に王子を床に転がしておいて話なんてできないし、うちの嫁、軽いので膝に乗せても苦ではなかった。


「流石に床で寝かせるのはちょっと……まあ、そこそこ鍛えてますから殿下一人を膝に乗せるぐらいは問題ないです」


 ラザが真っ赤になった。


「あーーー!旦那様かっこいい!そして、なんで旦那様はさりげなくホールドしてらっしゃるんですかね!?痛くないけど全く抜けないんですが!」


「それは、ここで逃がすとしばらく会えない気がするからだな」


 根拠のないカンなのだが、結構当たるのだ。そして、うちの嫁、抱き心地最高。


「まあ、そうね。こいつ超内弁慶だしローラにだけはいいカッコしたいから、しばらくこの失態に悶えて逃げ回る可能性が高いわ」


「マリー様も協力してくださるそうなので、今後についても話したいから不快かもしれないが少し我慢してくれ」

「いや、それはかまわないし逃げませんけど落ち着かないのでせめて椅子!椅子に座らせてください!!また気絶するか鼻血がでるか、最悪両方になる未来しか見えないです!!」


 嫁が涙目で懇願するので渋々開放した。嫁なんだしさー、旦那の膝は定位置だと思うんだよ。


「せっかくだから、お父様に婚約報告しておけば?このままだとお父様と騎士団長が残った貴族の子息に片っ端から声をかけちゃうわよ?」


「え」

「どういうことだよ!?」


 あ、嫁がキレた。怒った顔も奇麗だなぁ。


「だって、ローラは美少年の嫁がほしいのでしょう?」


 死にたい。


 もうお酒は飲まない。本気で禁酒する。私は本気だ。手始めに、家に貯蔵してある酒をすべて処分……するのはもったいないので飲み納めに全部飲むか……。

 はっ!ラザがすげえ怖い顔をしている!!


「ええと……もうラザがいるのでお腹いっぱいです……」


 ちょっと文法がおかしいような気がしないでもないが、とりあえずラザがいれば満足であることは伝わったらしい。


「旦那様……」


 ラザが喜んでいる。よかった、よかった。


「では、陛下にお伝えしましょうかね」




 謁見申請をしたらアッサリ許可がおりた。ラザと共に謁見の間に行こうとしたら、マリー様もついてきてくれた。


「なんで来るんですか、クソ姉上」


「面白そうだからよ、愚弟」


 この姉弟は仲良しなのだなぁ。ちょっとほのぼのしつつノックしてから部屋に入った。



 部屋には、美少年がたくさんいた。



 ラザが脊髄反射でドアを閉めてくれた。手遅れだったということだろうか。


「旦那様、蹴散らしてきますのでしばしお待ちを」

「待て待て待て待て!!集められた人たちに多分罪はないだろう!」


「あはははははは!お父様ってば仕事が早いわ!」


 マリー様、笑い事じゃないからね!?どうしよう、どうする!?結婚する気はないと示しつつ、ラザを嫁にくださいと伝えるには……。


「旦那様!?」


「ラザ、しっかりつかまっていなさい。まあ、多少暴れても落とすようなヘマはしませんが……これならわかりやすいでしょう」


「あははははは!確かに!あはははは!」


 そんなわけで、私は謁見の間に突撃したのだった。

 ローラ、逝っきまーす!

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