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第二十五話 【監視砦】

 馬車での旅は続き、日も傾き始めたころ、

「なにかが焼けたようなにおいがしますにゃ!!」

 ミシャが突然、何らかのにおいを感じとった。


「そうか? 俺は何も感じないが」


「確かに感じますにゃ! においの元がこの先に確かにあるはずですにゃ!」

 猫耳(テト)族の嗅覚は人族の数万倍もあると言う。

 ならば、俺が感じないのも当然か――。


 そして馬車はしばらく走り、一〇分ほど進む。

 すると俺たちの視界に、丘の先から立ち登る煙の姿が飛び込んできた。


 俺は咄嗟(とっさ)にサシャとミシャの顔を見る。


 すると、二人は黙って頷いた。


 俺は、荷台の中を御者(ぎょしゃ)の後ろまで移動し、

「あの煙の場所には何が?」

 御者(ぎょしゃ)にそうたずねる。


「あの先には騎士団の監視砦が……あるはずですねぇ……」

 御者(ぎょしゃ)は自分の発言が何を意味しているのか悟ったのか、途中から声を震わせてそう話した。


 先のはぐれ魔物(モンスター)の件もある。

 念には念を――。

「馬車はここで停めたほうがいい。俺たちが様子を見てくる。二人ともいいか?」


「「もちろんですにゃ」」


 俺たちは馬車から飛び出し、煙の出所へ向けて走る。


 しばらく丘を駆け登ると、御者(ぎょしゃ)の話していた監視砦がその姿を現した。


 それとともに俺の目にはオークの集団の姿も飛び込んできた。

 その数は二〇体。監視砦を取り囲んでいる。


 そして、監視砦を守る騎士団は防戦一方。

 監視砦に詰める騎士団は五人程度。それに監視の任につく騎士は引退間際の老騎士が多いという。


 数的不利を覆すのは困難だろう。


 ――まずいな。


「あいつらは俺が何とかする。サシャ、ミシャは馬車の護衛と索敵を頼む。他にもオークがいるかもしれん」

 俺は二人にそう頼むと、監視砦へ向けて駆け出す。


 そしてオークたちを射程に捉え、すかさず、

「【宝貴創造(クリエイトコッファー)】」


 ◇◇◇◇◇◇


宝貴創造(クリエイトコッファー)】が発動。

宝貴の箱(ストレージコッファー)】の素材〈火打石〉×二〇と〈魔石(C)〉×二〇を使用し、

 〈爆裂罠(中)〉×二〇を生成しました。


 ◇◇◇◇◇◇


 大量の宝箱を生成した。


 魔力と素材さえあれば、宝箱を複数同時に生成することも出来る。

 魔力の消費が通常よりも割高になるゆえ、あまり使わないが――。


 そして生成した大量の宝箱はオークたちの頭上に出現し、自由落下した宝箱はオークの頭に直撃。

 瞬間、閃光が辺り一帯を包み込む。


 爆音とともに灼熱の熱風が辺りに広がった。


 一つ一つの威力は抑えたが、二〇もの爆発による熱風はオークたちの喉を、肺を焼いていく。


 喉を抑え、苦しむオークたち。


 ――もう一発!


「【宝貴創造(クリエイトコッファー)】」


 ◇◇◇◇◇◇


宝貴創造(クリエイトコッファー)】が発動。

宝貴の箱(ストレージコッファー)】の素材〈アイアンインゴット〉×二〇を使用し、

 〈鉄の槍〉×二〇を生成しました。


 ◇◇◇◇◇◇


 先ほどと同じく、オークたちの頭上に宝箱を生成。


 そしてさらに、


 ◇◇◇◇◇◇


宝貴創造(クリエイトコッファー)】が発動。

宝貴の箱(ストレージコッファー)】の素材〈火打石〉×五と〈魔石(C)〉×五を使用し、

 〈爆裂罠(中)〉×五を生成しました。


 ◇◇◇◇◇◇


 生成した鉄の槍の宝箱の上部に、さらに爆裂罠の宝箱を生成。

 そして爆裂罠の宝箱に石を投げつけ、衝撃を与えた。


 瞬間、再び閃光につつまれる。


 そして、爆裂罠から発せられた爆風が、鉄の槍の宝箱を包み込み、


 ズドン!!


 爆風により吹き飛ばされた鉄の槍が、オークたちの頭に突き刺さった。


 ほどなくしてオークたちは、その場に力なく倒れ込んでいった。


 ☆


 オークたちが倒れたことを確認したのか、砦から騎士たちが姿を現した。

「いやあ、助かった。ここにはおいぼれしかおらんから、どうなることかと思ったが」

 この監視砦の長らしき老騎士が俺に頭を下げた。


「それにしても、はぐれ魔物(モンスター)がこんな大群で現れるなんて初めてじゃのう」


「そうじゃそうじゃ。ここに残ったやつらで一番割程度かのう?」


「あんな戦い方は初めてみたが、あの冒険者強いのう。全盛期のワシに劣らぬほどじゃ」


「なにを言ってるんじゃ、お主は騎士団でもドベじゃったろうが」

 その横では、他の老騎士たちが興奮気味にそう語る。


「……一割? それは本当か? ……残りはどこへ??」

 俺は老騎士長にそうたずねる。


「いや、わからんのじゃ。彷徨うようにどこかへ行ってしまってな」


 どこかへ?

 二〇〇近いはぐれ魔物(モンスター)が未だ野放し、ということか。


「そうか。監視砦には連絡用の魔導具が備え付けられてあるはず。王都への連絡は?」


「ああ、もちろん使用を試みた。じゃが……どうやら故障してしまったようなのだ。今朝の定時連絡までは普通に使用できたのじゃが……」


 ブラックウルフやミノタウロス……それにナタリー姫の監禁。

 すべてリカルド国王が王位についてから起きたことだ。


 それに今度は、はぐれ魔物(モンスター)の出現に加えて、連絡用魔導具が都合良く故障……か。


 たまたまか……はたまた、それとも……。

 俺の思い過ごしであればいいのだが……。


「それで狼煙(のろし)を?」


「ああ……他の監視砦に上手く伝わっているのかはわからんが。かれこれ三〇分は上げているが、反応はないのう….」


 それほどの時間があれば、他の監視砦が異変に気付き、王都に連絡を取っていてもおかしくはない。だが、そうであれば、転移の間を利用して騎士団の援軍が来ているはずだ。

「三〇分か……となると、狼煙(のろし)が伝わらなかったと考えるのが妥当だな」


「いずれにせよ、王都と連絡する必要があるのう。どこかへ消えたはぐれ魔物(モンスター)の件も伝えなくてはいかんしのう」


「冒険者ギルドなら冒険者ギルド同士の連絡を取り合うために連絡用の魔導具が設置されているはずだ。それを借りてはどうだ?」

 連絡用の魔導具は大規模な仕掛けが必要で、騎士団のほか、冒険者ギルドや商業ギルドなどの大規模な組織の施設にしか設置されていない。


「……ここからならミズイガルム村が一番近いのじゃが、この砦の早馬でも丸二日はかかってしまう。我らの老体ではさらに時間がかかってしまうじゃろう。そこでお願いなのじゃが――」

 老騎士長は何かを言いたげな瞳で俺を見つめてそう話す。


「ああ、わかった。俺が行こう。ミズイガルム村の冒険者ギルドには多少、顔も利く」


 老騎士長はニヤリと笑いながら、

「――すまないのう。冒険者はこんなときに頼りになるから助かるわい。後処理にはなるが、冒険者ギルドに特命の依頼書も出しておく。お主の名前は――?」


「ヒュージ。ヒュージ・クラインだ」


 こうして俺は一人、先行してミズイガルム村を目指すこととなった。

数多くある小説の中から、こちらの小説を選んでいただきありがとうございます。


また、話の続きが気になる! 面白かった! など、少しでも読者様の心を揺さぶることが出来ましたならば、ブックマークや、広告下の【☆☆☆☆☆】より評価していただけましたら、大変大きな励みとなります。


なにとぞ、なにとぞ宜しくお願いします!

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