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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
魔界観光編
70/263

第69階 光の精霊

魔物の国での食事を終えた私達は

寝室に案内されていた

そして何となくついて来た

狐の石像の玉藻前さんに

私は話しかけられた

玉藻さんとは

一戦交えた仲でもあった

良いか悪いかは別として


「グリモア様とネクさんでと

いう事かしら?」

フンっと鼻を鳴らしそうじゃと一言


「お茶汲みはマリアンヌが

するからノォ...」

何処か寂しげではあったけれども


「ネクさんが貴女を買っている

風には思えるけども?」


「儂はミコンを気に入っておる」

偽りなき笑顔、そんな風に感じられた


「それで?何かあるのね?」

コクっと頷いた玉藻さん


「不本意ではあるが

お主は次元を逸脱して強い...

だからこそ、今回の件に

手を貸して欲しい」


「場所を移すわ」

時空を切り替える


「グリモア様と同じ以上の力じゃな...

うむ、感心している場合では無かった

...して亜人の王国には絵画が無いんじゃ」


「石像には分かるという事ね?」

コクっと玉藻さんは頷く


「亜人の国は便利な物を

作るという事で

その地位を保って来た

現状の拮抗というのは

そこに起因がある

何処の国にも同様の物を

売っている」

技術レベルを亜人族に

頼っているのが現状か


「して、今の魔獣軍じゃが

確かにあいつらは

魔界の覇権を狙っていると

言っても過言では無い...

だがあやつらは誇り高い、やるなら

トーナメント制の大会でも開いて

魔界の真の王を決めるじゃろう

そうしなければ星王に消される」

確かに現状のエルフ国に

侵攻するというのは

全天さん率いる星一族軍と

真っ向からぶつかるという事を

意味している


「して本題じゃ」

玉藻さんは一呼吸置いた


「亜人族の猫の獣人の

母子が行方不明なんじゃ

魔獣相手に商売をしておったな

それに今は亜人の国は

閉鎖されておる」

魔界を暗躍している影ね


「魔獣軍は総出で猫の母子を

探しているのね?」

コクっと玉藻さんは頷いた


「それで貴女も疼くのね?」

コクっと深く頷いた


「母子が行方不明になって

どのぐらい経つかな?」


「人換算で4日じゃ」

玉藻さんは間髪入れずに答えてくれた

攫われた場合は通常生きている

可能性は無い

ただし魔獣軍が総出でという事は

相当に美しい母子なのだろうと思った

ただこういう場合、美醜など関係なく

危険なのは明白である


亜人の国を閉鎖したという事は

まだまだ物資を運ぶという事

という事は残り3日程度で

決着をつけなければいけない

私が魔界に入ってから

何かが死んだとかそういう

負のエネルギーは感じていない

一つ不安があるとすれば

明日で間に合うのかなぁ、

それと"悪人"に良い思いを

これ以上させておくのも

面白くないしね


夜襲で阿鼻叫喚の中

焼き殺すというのも面白い


カツカツ...

私は寝室を離れ階段を降りた

フォアローゼズには

話をつけてからだと思う



かちゃん..


「ハツミ?今スマンけど

取り込み中だよ?」

ばっちゃの表情が硬い


「魔獣軍の重役の方で

宜しいでしょうか?」

ハァ......とネクさんの

物凄い溜息が聞こえた


「すまんのぉ、ネク

儂も獣なのでなぁ

猫の手さえも借りたい気分じゃ」


玉藻さんはしてやったり

という表情を咄嗟に隠した


「グリモア様?

私が話をさせて頂いても

よろしいでしょうか?」

うむ任せようとばっちゃは

返事一つで了承した


「まずは魔獣軍の

最悪夢(ゼムリャトリャセェーニエ)

様が代表で来て頂いている」


「私の事はゼムとでも

呼んで貰って構わない」

とても柔和な笑みからは

自信があふれていた


「そして今回、この女の子は

グリモア様の召喚で呼び出した

光の精霊だ

"ミリカンテアの英雄"にあやかって

アオナと現状名乗って貰っている」

よろしくとゼムさんは軽く吠えた


流れる流星の様な体毛

犬の様な親しみやすさと

狼の様な凛々しさを放っている


そして私は光の精霊か

まぁ、こういう場だしね


「玉藻前は下がってくれ

事情は飲み込めた」

ネクさんの声に玉藻さんは

コクっと頷いて部屋を後にした


多分、現状を知ったら

直ぐにでも飛び出しそうな

勢いだったのだろう

今の私みたいに


「今夜、亜人の国に夜襲を

魔獣軍は仕掛けるそうだ

...悪くないと私は思うがね

黄金王だけには伝えていない

他の王は了承し黙認する様だ」

ネクさんが淡々と喋る


「人族の技術とどう戦うのかしら?

聞かせて欲しいわゼム様?」


驚く面々


「何故人族だと分かった?」

私はゆっくりと歩いて席に着いた


「東の大国893が星王と

戦争をして滅びたわ

その王族を打ち取ったのは

星一族の王子だそうね?」

コクっと頷く面々


「遠征軍がいたのよ

次元を渡れる」

要するに"海賊"

東の大国は異界との

繋がりが強かった

滅んでいれば

魔界へ行く事は明白だった


「龍髭は"異界"の者共

という事か!?」

ゼムさんもネクさんも驚く


「えぇ、この魔界のレベルでは

太刀打ち出来ないでしょうね」

私は苦笑いを浮かべた


「それが本当なら

手の施しようが無い!」

ゼムさんは強く荒く吠えた


「もし内密に協力頂けるなら

龍髭を殺してみせましょう」


私の言葉にネクさんは無言だ


「光の精霊よ

魔獣には魔獣の戦いがある

気持ちは有難いが

魔獣の誇りを貫くまでだ

今夜魔王グリモワールが

了承を出し次第攻め込む」

ゼムさんの目には怒りが滲んでいた


「ダメじゃ!!それでは

魔王グリモワールとして

了承は出来ん」


「亜人族に何かあれば

どうするのだ!!」

ゼムさんも強く吠える


「ゼムよ、我等が主である

グリモワール様は

"それでは"と申した、

異界が絡む以上

魔獣達を突っ込ませるのは

魔王グリモワールの名で

断ると言っている」


「それではいかにして...」

焦りと怒りで苦痛の表情を滲ませる

ゼムさん


「光の精霊は伝説上の

九尾の狐より遥かに強いとだけ

言葉を置いておこう」


ゼムさんの私を見る目が変わる

ネクさんとゼムさんの信頼関係は

かなり熱い様だった

突飛な話にも取れる事を

飲み込んでいる


「分かった、背に腹はかえられぬ

光の精霊に協力を仰ごう」

ネクさんはコクっと頷いて

ばっちゃの目を見る


「良かろう、ただし

精霊は他に4人おる

光の精霊に導かれるままにしなさい

それと精霊を危険な目に合わせたら

魔獣軍とミコン!!

わたしはあんたらを

滅ぼすからね!!!!!」

ばっちゃの魔力は狂気の様に

膨れ上がっていた


凄い....玉藻さんが勝てない訳ね


「「御意......」」

ゼムさんとネクさんの声が

重なっていた


ネクさんは自分も同行する事が

決まってシクシクしていた

私を任せて貰えるなんて

ばっちゃにかなり深く

信用されていると心底思ったのは

内緒にしておいた

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