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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
東の大国編
60/263

第59階 天才と剣で

一瞬...一切の音が死んだ

まるで私とマテハの視線だけが

音を奏でているかの様だった


東の大国の終わりを告げるかの様に

静寂が支配する

それは波が海に返って行く

あの期待感ともの悲しさに似ている


私達は剣先で語り合った

指先で鼓動を表現しているかの様に

微かに旋律が動く

そして躍動する切っ先が

相手を制する為に首へ向かう

一切の迷い無しに


ガキンッ!!

ガキッ!!

ガギギギッ!!!


私の剣と

マテハの刀が

激しくぶつかり合う音が

嵐の様に響き渡る

緊張感を撒き散らしながら


直後、互いに後方へ下がり距離を取る

地面を踏む音が重なり合い

刃が空を切る音が共鳴する


剣としての才は遥かにマテハが上

しかし私は最強(私の父)を知っている

対応力は十二分に持っている


私は剣を交わせ、繋げる事を

この戦いに込めた


今持っている思いは違うけども

分かり合える、何かはあると

形で示したかった


横からの薙ぎ払いと

横からの薙ぎ払い


上方からの振り下ろしと

上方からの振り下ろし


下方からの振り上げと

下方からの振り上げ


まるで同調しているかの様に

交じり合う戦意


戦いは力を持つ者同士の聖域だと

私は痛感する


来る....

私は感じた

マテハの二刀目が

私に振りかざされる


ギンッ!!と鈍い音と共に

一刀流から

二刀流へ、極自然に変化した

マテハの会心の斬撃は

恐ろしい程に滑らかだった


「錫杖!?」

思わず声を上げたマテハが

打ち消すかの様に握った刀に

更に力を込めるのが

私の武具"マホウノランプ"に

しっかりと伝わって来ていた


ギチ!ギチッと重なり合った部分が

鈍く鋭い悲鳴を上げて擦れてゆく


これがマテハ...

私は感心しながら

フッと笑った


マテハの表情が一瞬真顔になるが

戦いの表情に瞬時に変わる


私は"楽しかった"

マテハの強さが

父には及ばないけども

真っ直ぐで力強い

まるで大波の様な

猛攻で私に迫って来る

したたかさが


空気を切り裂き震え響く

空気の音が規則正しく

大きくなって迫り

私を擦れ擦れで駆け抜けて行く


私は迫る音を汚さぬ様に

自身を音の通り道から

微かにずらす


私は海の声を聞く様な心地良さに

酔っていた

そこに私の剣を添えるとまた

音が形を変えて重なり合って響く


「.......」

マテハの眼光が鋭く

私を覗く


「......」


無言という語り合いが

一時の静寂を支配し


マテハの息遣いと

私の呼吸が交じり合う


「ハツミ...私は強くなる!

絶対に!!!!

そしてハツミが変えられ無かった事を

私が変えられる様に成る!!!」

そう言ってマテハは

剣を振りかざすと同時に

距離を一瞬で詰めた


そうだね

私は心の中で呟いた

見事な集然に剣技


普通なら貴方のその一刀は

誰にも受け止められ無い

そう思ってしまう程の

鋭利さと残酷さ故の美しさを

放っていた


私は決着をつける為に

白いゲイスダリゲードで

迫っていたマテハの

ジュウゼンジュウビを

弾き飛ばした


マテハの思いを裂く様に

二刀は無言で空を舞った

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