第58階 893を築いた"天王人"
非常に残酷極まり無いので
読む時はお気をつけて下さい
オレ様に弱い風が水飛沫の様に当たる
腕と足が動作を作る
これを走るという
これが中々に面白い
二足歩行の人類が生み出した
知恵だろう
星一族たるオレ様は
動作を緩める
それと同時に風は静かな呼吸へと
移って行く
時を駆ける星一族にとって
地上を走るなど
未体験だ
やはりこの男は面白い
このオレ様と走ろう!だと?
強過ぎて孤高である
初めての友かもしれんな
近頃、顔を合わせる機会が多い
仮面は信頼している人から
貰ったそうだ
オレ様達はコクっと頷き合いながら
馬鹿でかい門を無理矢理変形させ
穴を開けて入る
勿体無いかもしれんな
この建物は荘厳だった
オレ様の住んでいる城の
100億分の1ぐらいな!
オレ様達は絵画が並べられ
動物の剥製がおいてある
長い長い通路をただ真っ直ぐに歩いた
不倶生世が歩く音だけが
微かに心地良く響く
オレ様達はガヤガヤと
人の発する音が微かに聞こえて来る
大きな扉の前に立った
そして扉を開けた
「御苦労だった...」
時を重ねた人間の男の邪悪な声が響く
目の前のガキ共が
カラッと揚げられた様な
人間の頭を持って
目をフォークで抉っていた
その動作を一旦やめ
オレ様達を睨んで来る
かちゃん...
スプーンやフォークが
無造作に投げ捨てられ
殺気が矢の様に降り注いだ
ハツミの言っていた通りだった
893の中核を担い
自らを天王人と名乗った
人の皮を被った人
その者達は"人"を食っていた
前世界において極刑とされた
一族が世界に残した遺物
それは食人の可能性を世界に
紐付けたという事だった
オレ様達星一族とはわけが違う
共食いという禁忌がそこに在った
断ち切れぬ連鎖の紐は
人類が考えつく
正義と悪の範疇の
遥か外輪にある
世界においては全てが等しく
正しく流れて紡がれてゆく
食人が悪かと問われれば
神に思考があればそれは
備えられた事と説くだろう
だが人類という視点で見れば
どうであろうか?
食は根幹を成す欲求であるが為に
より美味しい更に美味しいを
求めて歯止めが効かなくなる
欲求は得てして
凶悪犯罪や戦争を創り上げた
それがこの有様だ
死んだ人間の頭が
魚の頭を使った料理と
非常に似通った状態で盛られ
それは大小様々だ
白くきめ細やかな肌とも言える
綺麗な色をしている生の様な肉を
中央の鉄板に晒して焼いている
希少部位とか声が聞こえていた
ものの数秒前の話だった
家畜村とは食人用の
人間だったという事か
オレ様が事態を把握するよりも
事は動いた
どうもあのハツミに貰った
輝きは拒絶した様だった
ぐちゃっとオレ様の目の前を
髪も生え揃っていない様な首が
飛んで来た
オレ様はそれをぐちゃっと
捻り潰した
赤い鮮血が気持ち悪く
右手にこびりついていた
倶全に続きオレ様も
この宴に参加した
命が喚き叫び悲鳴が
今宵を盛り上げていた
主賓は倶全
オレ様は盛り上げ役がせいぜいかな!
素手で胸を貫き
腕をもぎ
足の指を踏み付け
太ももを踏み潰した
子供も大人も関係無かった
殺しながら分かったが
どいつもこいつもが
人殺しを経験し過ぎている
赤子の脳内もそうだ
食=人殺しぐらいの
勢いで紐付いていると
倶全がそう囁いてきた
成長しても、人殺しが辞められる
可能性は極めて無いそうだ
脳を機械にでも改造しない限りと
付け加えていた
物好きも含めて1000人ぐらい
2人で殺した
後は倶全に任せればいいそうだ
あぁ、今は不倶生世だっけか。
まぁ、色々複雑な"友"だぜ




