第５階 そして新しい始まり
この世界のみんなはまず
セイクリッド・エレガント・ザナドゥに
加え各地で作られた
メイユールの配下の居城を全て破壊した
恐怖の象徴として立っていた
城々の崩壊に
ミリカンテアの皆は喜んでいた
それから私はというと
メイユール配下を
満身創痍に追い込み
私が創った世界から生まれた
マスカリア
マテハ
マユナ
イムの４人と合流した
私は彼女達に協力して頂いた人物達に
お礼も兼ねて会いに行くつもり
「ねぇ、お姉ちゃん
本当に行ってしまうの？」
私は１番最初にある特別な
場所に来ていた
「えぇ、そう、アオナ
ごめんね
あなたとても良く頑張ったのに」
アカナは笑っていた
「良いの...私は..止められる」
私は歯軋りした
「ううん、これが約束だから
神降ろしをしたら凄い力と
引き換えに生命は急速に燃え上がる
これが神の世界のルール
でも、ただで死んでやらないって
決めたの」
アカナは笑みを飛びっきりの
笑みを浮かべて泣いていた
ボロボロ泣いていた
「...」
私は悔しかった
アカナに少しでも
現実を生きたいという
強さが残っていれば
でもアカナの強さは...。
「ハツミリフィと決めたの
沢山の少女達がこの戦争によって
今回の戦争によって惨たらしい
目にあったのを見て来た
私の心も頭もかき乱されて
苦しくて痛くて...でも私よりももっと
あの子達の方が痛くて苦しくて辛くて
それがね、涙が滲んでるんだよ
もう生きてないのね
残酷だよね、涙だけはキラキラ光って
人だったって分かるんだよ...」
何が言いたいかの分かる
きっと殺されかただろう
多分、上の年齢も下の年齢も
自分と同種に近しい女性達が
死を受け入れたくなくても
受け入れさせられた現実に
直面したのだろう
とても少女に耐えられる現実じゃない
正直私は無理だ
それを見つめ続けた結果
アカナは死を受け入れようとしていた
心身ともに疲弊し
すり切れ世界に
絶望している目が
私を１つの行動に移らせた
人々の運命や宿命のシナリオを
描いているのは神々だ
人の生き死になど神々の作る
英雄譚を彩るスパイスでしかない
...その事をまじかで感じると
私はイラッときていた
アカナを悲しませたのが
神々の娯楽なら私もその娯楽を
もっともっと面白くする様に
彩ってあげればいいと思う
例えば童話赤ずきんでは狼は赤ずきんを
殺せず猟師に殺されるけど
神々の作るサーガでは全く違う
赤ずきんは見事に食い千切られる
それがこの戦争の結果だというなら
...私は神々が最も興味のある
"地球"に１つだけ
劇薬の様な魔法を加えた
私が使う最高峰の能力
白いゲイスダリゲードと双璧を成す
黒いカゲードを地球の人間として
転生させた
私は神々が創る世界に飽き飽きしていたところ
私がもっと面白くさせてあげる
「私がこの世界をもっと望む世界に
してみせる
それでまた、生きたいと願うなら
私のハツミリアの名を呼んで」
アカナは驚いていた
「えぇ...そうする」
アカナは涙を流していた
「アカナ・エカルラートの妹である
アオナ・エカルラートは
このミリカンテアの地で待っている
だから、少しの間だけ旅立っておいで」
私は笑顔で送り出すつもりだ
世界を修復する為に
自らの命を世界に分け与える選択をしたハツミリフィとアカナは旅立つ
私は本心では一つも
納得できてはいないけれども
アカナ・エカルラートと
ハツミリフィで決断した
心を捻じ曲げたくない
無理に留めさせる為に
力を行使する事も確かに
可能だけれども
大切な人が選んだ道に
私は反する場所にいたくはない...
間違っていると分かっていても
私は母が無理にそうしなかった様に
「ハツミリア...
なんだか懐かしい響ね
ねぇ...もういくね...ありがとう
私の..大切な...家族..........」
私は選択を誤ったのかもしれない
私の感情を最優先するべきなら
無理言って止めるべきあったはずなのに
行ってしまった...
そして後ろから懐かしい声が
背中を叩いた
「ミリア...なのか？」
悲愴の表情を見せる彼...
「久しいね、ミリム」
玄武教皇ハツミリム
四神の１柱で神々でも強力な
神力を持っている
学友の１人だ
私の知らないところで
２人がとても親密に
世界を共に創造していた事は
顔を見ていれば描いてある
「私がしてあげられる事は
この私の大切な
アカナ・エカルラートの
依り代をミリフィが
この地に帰ってくるまで
未来永劫守護し続ける事よ
神々に時は無用の長物でしょう？」
私は強い力を受けた
雷の力を
「ふふふ、随分と
人間らしくなったものね
愛する人を失って取り乱すなんて」
右肩に受けた私は無傷だった
「神は人間よりも遥かに高等な
精神状態を持つだけだ
理解出来ない訳じゃない...！！！」
ハツミリムに雲が集まっていく
「気持ちは分かる
ミリフィはあなたと創った
この世界が深く傷付けられて
傷付いた
これを守る力があなたにはなかった」
私は１つ魔法を使った
この空間を強化させた
そうでもしないとミリムは
破壊神となって
このミリカンテアを焼き尽くすだろう
それは永遠に
アカナとミリフィが帰る
居場所が無くなる事を意味する
「ミリア！！！！どうして！！！！
力を貸してやらなかった！！！！」
強力な雷の槍が私目掛けて降り注ぐ
宇宙の１つや２つ壊しそうな勢いだ
冷静さを欠いている為
本来の力をまるで出しきれていない
強力だけれども
まるで私には通用しない
「私はあなた達を信用し
信頼し委ねていた
それにできれば私はこのミリカンテアが平和と緑で溢れていて
のどかな旅行で終わりだと
そう信じていた！！！」
私の想いにミリムは
悔しそうな表情を見せた
更に強大な魔力がミリムに集まる
メイユールを軽く凌駕するだろう
「力ずくでもミリフィの
手を引いて欲しかった！！！」
私に夥しい量の雷が向かう
「ミリフィの気持ちを
私は無下にしたくない
だっていじめられようとしていた
私を何の見返りも無しに庇おうと
してくれる程優しい神様なんだよ」
目の前で雷はサラサラと消していった
「それは分かっている！！！！
ミリフィのそんな所が大切だと
俺はいつも.....いつも.......」
ミリムは泣いていた
大泣きしていた
最早私に飛んでくる雷に力はなかった
「確かに無理やりなら出来るよ
精神操作したり支配したり
力ずくでなんて簡単に
確かに可能だけども
でもそれをミリフィが望む？
私は出来ないよ
私のたった２人の友達に
そんな事したくない...」
私も訳分かんない程
泣いていた
「うわあああああああああ！！！」
ミリムは叫びながら泣いていた
「でも私、ただ消滅させた
訳じゃない
手はうっている」
私は涙を拭いた
「本当なのか？...」
ハツミリムの表情が明るくなる
「えぇもちろん！
強いミリカンテアを創ろう？
そしたらいつも
ミリフィも一緒に
笑っていられる！！！」
私はミリムに手を差し伸べた
ミリムは静かに
私の手の上に手を置いた
