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魔皇の魔法とハツミリア ~名のない帝国の花々~  作者: 道草 遊者
東の大国編

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48/414

第47階 食料交渉

「悪人は殺さねば

ならないのでしょうか?」

マテハからの最もたる質問でもある


「悪の具合にもよるわ

でもね、人を著しく傷付ける

素養を持つ者は徹底的に追い詰めて

二度と悪行が行えない様にして

切り捨てた方が

自分の大切な者達を守る術になるわ

そこを履き違えてはダメよ

それを怠った地球の人間達は

泣きを見ているわ

人の味を覚えた熊を殺さなかったのね

でもね、貴女を崇拝していて

その"才能"をコントロール

出来るというならば生かす価値はあるわ

でも今回は違う、もう殺し過ぎている

東の大樹海に現在東の大国を

支配している者達が攻め込んだ時に

およそ1500人の現地住民が

死んだとされている

それに従属させる為や力の誇示等で

更に1500人にのぼる

現地住民が殺されている

東の大国は今や発展に発展を遂げて

30億人が住む大国家

徴兵制度や軍事科学の発展に注ぎ込み、

金は力と言わんばかりに奴隷産業や

薬による家畜村なんてのも

あるらしいわね?」


「うぐ...」

マスカリアは不意に口を噤んだ


書庫に出入りしていたマスカリア

だから東の大国の大まかな

情報は頭の中に蓄積されている筈


「......」

マテハは静かに口を噤む

可能性を人の可能性を

模索している様だった


「でもね、3000人殺そうが

1人殺そうがあの殺し方では

私は東の大国を滅ぼすわ

間違いなくね

もしフォアローゼズの

誰かが1人だったら?

善も悪も関係なく関わった

全てを皆殺しにしてあげるわ

私はそれぐらいの気概を

持って生きている

だから数なんて関係無い

その行いが人にとって

今後も続いて欲しいかどうかよ

私相手では権力も暴力も全て

黒で染めて差し上げるだけよ」

私は一旦部屋を後にした

全天さんの所に飛ぶ為に


力を持ち過ぎた以上

私もあの子達も狙われて

しまうだろう

でも私はこの世界の

水と油でもあり竜虎相搏つとまで

恐れられ激震させた

全天さんとアルテンさんの

協力を得られるのだから

そう簡単には手出し出来ない筈


「という事で?

食べて頂けるかしら?」


全天さんはパチクリと目を見開いて

大きな瞳をパチパチさせている

ここまで来ると愛着が湧くものねぇ


「フッハハハハハ!!!

人間の味はどうなのかしらなんて

人族にも見える

エンシェントルーラエルフの

アオナが何を言いだすかと思えば

忌み嫌われる禁忌の人食に

誘われるとわ!!片腹いたいわ!!」

全天さんは腹を抑えながら

爆笑に打ちひしがれていた


「あのぉ?大丈夫?」

ゼーハーゼーハーと全天さんは

息を切らしている

もう年なのかなぁ?

力は衰えて無さそうだけど


「いや、すまん

めんこい顔してそんな事

言われるからなぁ、シュールでなぁ」

私はふふふと笑みを零し


「えぇそうね

でも良いのよ、強者である

巨鬼がトラウマになる程の

地獄の中で死んで頂いた方がね」

私の表情はとても冷たかったみたい

全天さんの表情が殊勝なものに

みるみる変わっていったから


「人食いは基本"禁忌"としている

人に滅ぼされる可能性を無くす為にな」

そうね、人族は弱そうに

しておきながらとても強い

もしかしたら星一族でも

危うい事もあるのかもね


「でもね、食べ方は上品で

無くて良いのよ」

私はたっぷりと笑みを創った

これ以上無く笑っているのが分かる

綺麗な者が壊れる姿が楽しいと

悪人達は言うけれど

私は絶望の人生に

更に絶望がのしかかって

何も希望も持てずに殺されて

行くのもとても清々しいと思うわ

だって死と暴力と罵倒を散らつかせて

いつも強者気取り

殺しを持ち込んだ時点で弱者だわ

誰も捕まえられない

誰も裁けないと

余裕の笑みが

焦りと怒りで滲んで行くのは

とてもとても滑稽で愚かで

物凄く笑えるもの

その悪の心をプチっと潰す

あの感触が忘れられない

全てを脅かす悪人を

支配する感覚がねぇ

そして私は光の世界で

全ての誉れと栄誉と栄光を手にする

それが勇者でもある


「我等は粗いぞ!!!」

全天の声が耳に清く響いた


「えぇ、恐らく1億人は下らないはずよ?

楽しみにしていてね」

私と全天は笑みを抑えきれず零し合い

ガッチリと熱い握手を交わしたのだった

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