第43階 交渉
「面目無いです、九尾様.....」
ウシトラさんのお母さんの声が
消え入りそうである
なんせ自分達が崇めていた
九尾の巨鬼様が目の前に
現れたからだった
「のぉ、ウシトラ...
趣味が悪くてすまんのぉ?」
非常に怒気が含まれた謝罪と
見て取れた
「いえ!!!滅相も
ごじゃいましぇーん.....」
ウシトラさんは口を
パクパクさせながら焦っていた
「九尾様!あの小娘は同胞を
皆殺しに....
九尾様もお力添え頂ければと」
ウシトラさんのお母さんの声に
九尾は首を振った
「!!!」
怒りとも取れる眼差しを
瞬時に抑えたのが見えた
本来無礼な行為に値するのだろうけど
人命ならむ巨鬼命が関わった事なので
お咎め無しとなった模様である
「だが、ハツミリア・ルイデよ
この地は二度と踏めんぞ?」
九尾さんはお怒りだ
最も今は尾が一本しかないのだけれど
「私は2つ言いたい
1つ目、九尾に戻しても私は倒せない
2つ目、私は協定を結びに来たの
ウシトラさんを仲介に
よって...出来れば見抜いて欲しかったわ
九尾さん?底が知れてるわよ?」
ウシトラさんが歩み寄って来る
「姉さんの速さはこの世界の
法則からして明らかにおかしい
よって時に関する、わいら巨鬼では
全く見抜けない程の技量を
お持ちのようだとわいは推測する
ならば親父とおっ母を退け
兄弟達の攻撃に対して何らかの
対策を講じれる全ての合点が行く
1秒に満たない間にな!」
ニコッと微笑むウシトラさん
微笑みはキザ過ぎるとしても
今回は助かった
お調子者ではなくて
頭の回転がとても速いのね
「えぇそうね...その通りだわ」
細かく言うと全く違うけれど
それなら意味は伝わるので
私は口裏を合わせる事にした
この件に関しては
ドサッ!ドサッドサッ!!
私は別世界に移動させた
一億もの巨鬼の雑兵達を
私が立っている今在る世界に繋げた
「お!お前達!!」
ウシトラのお母さんは
とても驚いていた
「「「ウラキモン様!!!
お力になれず
申し訳ございません!!!!!」」」
一億の軍勢の怒号が嵐となって響く
「無事で何よりだ、お前達...」
私はウシトラさんのお母さんの
気が緩んだところで隙を突き
首元に白いゲイスダリゲードの
刃先を突き付けた
死を悟った様な女巨鬼の強い
燃える様な眼差しと
殺意を飲み込む様な圧倒的な空気感が
異様に立ち込めた
九尾さえ衝動を抑え込まざるを
えないのだから
他の巨鬼達が出れる筈も無い
それに実力差は否が応でも先刻
示した通り
「姉さん...敗北した頭首の首が
必要という意味は十分理解出来る
だがしかし譲歩して頂きたい点が
ありましてなぁ
必ず代表の首を姉さんに渡すさかい
そやな御指名が無ければ
キモンもしくはウラキモン
わいでも構わへんよ?
その欲求は飲むさかい
別れの時間をくれへんか?
明日でも構わへん....」
「馬鹿たれ!!!!
そんなもん我が首でよかろう」
ウシトラさんのお父さんが
前に出て来た
九尾は無表情だった