第280階 フォアローゼズと苺のケーキ
「おぉ!!ハツミ!」
目の前の彼女の名はマスカリア。
猫みたいに小柄でいつでも持ち上げられそう。
試しに抱え上げてみる。
「ハツミの手は変わらないなぁ。優しい手」
私はカレーをたくさん食したあと、
お父さんとお母さんに、いってきます。
と告げて【央界 スルグレ】の地に帰宅していた。
「ありがと。マテハが作ってくれたケーキ最高に美味しそう!」
マテハは天才と褒めて褒めて褒めまくれるほどに色んな事が出来る。
目の前の苺のケーキ作りもその一つ。
美味しそうなケーキに引き寄せられたみたい。
【ラボネデ】の地はマテハが治める地。
私、マスカリア、マテハに続いて、マユナ、イム、キキョウも到着する。
西の大帝国で剣を交えた魔女五傑のキキョウではないわ。
2度目の転生の際に出会った黒髪黒眼でスタイルの良いキキョウ=ムーン。
集然で他の4人と同様に生命誕生から創った娘。
ただし彼女はすでにこの世に息づいてはいない世界にて。
マテハはケーキを運んでいて、ケーキ職人の格好で行ったり来たりしている。
お皿にスプーンが並べられ、苺のジュースが注がれていく。
「ハツミ、マス姉、マユ、イム、キキョウ。
座っておいて。もう食べれられるから」
私が席に着いたらドミノのように4人が席に着いた。
私は嬉しくてつい笑顔になってしまったわ、可愛くて。
苺のケーキ達は綺麗な宝石の様に輝いていた。
「みんな!ひさしぶりだね!!元気してた?」
すぐ横のマスカリアが顔を近づけて来る。
「もちろんだぜぇ、ハツミがお出掛けしていて心細かったぁ〜!」
マユ、イム、キキョウに加えてマテハも現れて、うんうんと頷いていた。
すごく揃っていて可愛い過ぎるって思う。
マテハも帽子を置いてきていて、自分のケーキを置いて席に着く。
「あはは、今日はみんなで食べれて私は幸せだよ!!心の底からほんとだよ!」
これは本心。
伝えたくて伝わって欲しくて伝えたい。
私の気持ちの100%中の1000%
「「「「「ハツミ〜!」」」」」
言い終わると同時にマテハが手を軽く拍手して叩く。
マテハが何か言いたいみたい、ケーキの説明かしら。
私も含めてみんなで一斉にマテハの方に向いたのはちょっと可愛すぎて、抱きしめたい。
「待ってみんな!食べ始めようか?
だって私も含めてハツミとたくさんお話ししたいし」
「「「「「賛成!」」」」」
私も、一緒に答えて。
時間が空いていたのにもう溶け込めてる感あって幸せ感じちゃう。
クラレット、カランともいつか一緒に囲みたいかも。
「「「「「「いただきます!!」」」」」」
「ハツミは時々こうして戻って来れるんかい?」
小動物の頬のようにお口をもごもごさせた口を抑えながら話しかけてくるマスカリア。
ケーキは食べたいし、私とも喋りたいのね。
「連絡をくれたら共に過ごす時間を用意するわ、
大事な時間にしたいし」
頬をほんのり赤めながらマスカリアは
小さく頷く、もう仕草が可愛くって。
思わず抱き締めてしまった。
「あわわわわ!嬉しいけど!
何やら恥ずかしいぜ」
頬をすりすりして柔らかさを確かめてみた。
お餅みたいにぷにゅぷにゅしていて柔らかい。
私が頬を押し付けているとマスカリアも頬を押し返してきた。
通じ合ってる感じが幸せ過ぎて。
ケーキをお口に運んで幸せ増やして。
食べてるみんなに目配せするとこっちに向いてくれて。
「ハツミってさ、食べる姿...美しいよね。
見惚れる。少し離れてよく分かる」
いきなり何言ってくれてんのさ、マテハ。
全力で照れるぞ。
「あ、分かる!超共感した。ケーキが嬉しそうだもん」
おい、マユナまで何言ってんの。
全力で照れましたわ。
「ちょっと待って、本気で恥ずかしいんだけみんなの方が可愛いいでしょ?」
マユナは口に含めていた一口分を喉に通して、咳払いをする。
「あらためてというか、会っていなかった期間にハツミの事を考えていて。
綺麗事を述べるならみんな可愛いんだよね。
でもさ、あらためてハツミって可愛いって心の底から思うんだよ!」
マユナは言い切った。
マスカリアもマテハもイムもキキョウも頷いていく。
まるでドミノ倒しのようにリズム良く。
「恥ずかしいけれど、ありがと!」
やばい、顔めっちゃ赤い。
当然のように私はマス、マテ、マユ、イム、キキョウのことを可愛いと思ってた。
それを私に向けられるってことがこんなにも、心を揺さぶるなんて、強敵過ぎるわ。
私達の可愛い合戦は続いた。
瞳が可愛い、手の返し方が可愛い、ケーキを口に運ぶ仕草も可愛い、
今日選んできた服が可愛い、流れるような黒髪が可愛いって。
「ハツミ...行っちゃうんだな」
マスカリアが私の手を引いて、瞳をうるうると滲ませている。
マテハもマユナもキキョウもお皿を運んで片付けながらこちらを気にかけている。
イムは少し離れて不満げに頬を膨らませている。
「私に何かあるってことはないし、友達に会いに行くようなものだよ」
ちゃんと紹介する日も来るよ。クラとカランのこと
王路院の事は話題に出さなかった。
今、転生して何をしているかも聞かれなかった。
ラナンキュラスはお休みして。
今日はハツミであり、アオナは
大切な大切なマス、マテ、マユ、イム、キキョウと
苺のケーキを食べた思い出を作りましたとさ。




