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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
王路院編

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263/307

第262階 西の大帝国

 その国家に名前などなかった。

そして今も名前なんてない。誰かが呼んだ。

帝国と、大帝国と、西の大帝国と


 「まぁ、そんなところだ」


 帰路でプラ先輩は話してくれた。

アオナとしては知っている。

ラナンとしては知らない、そんな知識を。


 「その中枢にかなり近い組織よ、『漆宙』は。

だから無話(きみつ)情報なんてのも、沢山ありますわ」


 オーニソ先輩も優しく説明してくれる。

深く響く青さが、鈍色に光り輝く音を奏でながら、静寂を携えるこの地で。

彼女(フルール)にフロス&フロラ、それに『魔女五傑(マレヴォレント)』の四人は更に西の地に踏み込んでいったわ。


 「プラ先輩、何があるの?西のもっと西には」


 あとでこっそり行けばいいだけの話かもしれないけれど。

概要は聞いておきたいわね。


 「あ…?う、あー。滅ぼされ廃墟となった地が永遠に広がっている。

月と太陽に匹敵、もしくは凌駕せんとする科学力を誇った地の慣れの果て。

大昔に滅んだ大きな大きな国と古い文献には記されていた」


 いつにもまして真剣な表情で語るプラ先輩。

意外と歴史(このて)の話は好きなのかもしれないと。

少し勘ぐってしまう、私がいた。


 「プラは書物が大好きなのですわ。

大量に運び込んで、大量に積んで、いつも押しつぶされ…

語弊がありましたわね。大好きに囲まれておりますわ」


 恥ずかしそうな顔で睨みつけるプラ先輩に気付き、

オーニソ先輩は言葉を訂正している。

冗談が言い合えるほど親密で信頼もあると感じるわ。


 刹那。私の肩に善意の塊でしかない何かが触れる。

まるで時空と混じり合う時の流れの様な何か。

プラ先輩にオーニソ先輩、アマランサス先輩までもが微笑む。


「早かったな。まさか向こうから出向いてくるとは『時鯨(ときくじら)』」


 プラ先輩がそういうと大きな黒いイルカの様な生物が時空を割って

顔を覗かせる。


 「はじめまして。ラナンキュラスさん、私はユキと申します。

私達『時鯨』は、『黎宙』を全面サポートするパートナーです」


 「ご丁寧にありがとう。でも私は時海月(ときくらげ)達かしら」


 白く長い天女の羽衣の様な口腕を風の様に自由に靡かせながら、

耳元で小さく「私はテンです」と囁かれる。

そして時空の深淵から巨大な口腕が、私を()()()を認識して包み込む。


 「そうですね。まさかあの子も出て来るなんて」


 深い黒でアオナを優しく包もうとする彼はフユと名乗る。

本当に大きい。時海月。そして宇宙の闇の様に大きく広く深い。


 「時海月なんていい響きですわ、ラナン。珍しいと言えば珍しいですけれど

魔女五傑(マレヴォレント)』のフクジュソウもそういえば海月ですわ」


 黎宙本部(ヌーヴェル・リュヌ)の最上階、階級”花”のエース候補が座れる席で

オーニソ先輩は背筋を伸ばしてくつろいでいる。


 「フクジュか。そういえばそうだったな。

彼女の『時鯨』は魔力が鋭く凶悪な種だった」


 階級”実”のエースのプラ先輩はオーニソ先輩とアマランサス先輩の席よりも

ゆるやかで広々して寝そべられ、実際にプラ先輩は横になっている。

プラ先輩は言い終わると手で口を押さえて小さくあくびを堪えていた。


 「他にも海月がいるのね」


 ちなみに私の階級は、上から七番目の種なので席がないわ。

そのため来賓のお客様席に座る事が許されていた。

かなり豪華な席なのだけど、オーニソ先輩の軽い感じの許しによって。


 「確かに海月達も、力を貸してくれる事例はあります。

けれど種類が異なるので参考にはできません。

私とオーニソ様のアキぐらいには、性格も得意な事も出来る事も違いますから」


 ユキさんがヒレを小刻みに動かしながら答えている。

とにかく可愛い。

 短い、柔らかそう、触れてみたい。


 「ユキ、大丈夫だ。私達は分かっている」


 プラ先輩は立ち上がりユキさんのヒレをそっと両手で包み込む。


 「プラ!!いきなりなんですか!?」


 言葉とは裏腹に握らせたままにしている。


 「いや、『時鯨』の……。ユキの手は本当に癒されるな」


 そっと大事な何かをもっと大事にするように

プラ先輩はただただ優しく包み込む。


 「まぁ、いいですけど」


 ほのかに赤い頬を隠すようにそっぽを向くユキさん。

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