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魔皇の魔法とハツミリア  作者: 道草 遊者
異世界ミリカンテア編
2/259

第1階 Reincarnation

 私は永遠に近い時の流れを感じながら、夢を見ていた。


 身体をゆっくりと起こしながら、


 「(またこの夢なのね。)」


 そんな気持ちの中で私はゆっくりと目を開いた。



 生まれてすぐに八歩歩いて


「生世死世完全成個」


 私の初まりを、起動を、歩む足で唱えた。

手がとても小さくて、集められずに唱えられないためだった。




 父と母から名付けられた名は私の名前はハツミリア・ルイデ。

娘としてとても愛されていることが、日常的にいつも心に響いている。


 世界の頂点にして、最も慈悲深いと評判の神族が運営・管理する魔法学園Gloryを退学させられた、可愛くて可憐な私。


 そんな私は、父の戦闘訓練に付いていく日々。

最近の私は特に戦闘に関して、とーっても自信を持っている。


理由はつい先日"神々の夢"とまで評され謳われている、父に一撃当て勝負で私は勝ったのだから。


 それはいつもの稽古の変わらない、いつもと同じ帰り道。


「ハツミの友人の世界へ手を伸ばそうとしている不穏な動きが感じられるんだ。」


 それを聞いて私1人で、ある異世界に行くと父に話すと、父は心配する表情を咄嗟に隠し


「どうしてもの時は力になる」


 とだけ一言添えて、私の羽伸ばしを快く許してくれた。


母は最後まで心配そうだった。


ただ


「俺とまともに戦えるから大丈夫だろう」


とにこやかに父が説得してくれた。


 私は自分の力を理解しているつもり。



 魔法学園Gloryではいじめがあった。

私がこれから会いに行く2人の友達への。


私が退学させられた理由はそこにあるわ。


 最初の標的は私だった。

私自身は私の魔法、集然で総ての嫌がらせを霧散させて、時空の力で握り潰し、真理を改変し捻り潰していたわ。

 小物の神々では何も私に通用せず、冷戦が続く。


そんなある日、朱雀の力を宿す女神の一柱、ハツミリフィが私に優しく話しかけてきた事から始まった嫌がらせ。

そのハツミリフィと仲が良かった玄武の力を宿す男神の一柱ハツミリムも一緒に。


 私は見える範囲、感じる範囲で、いじめっ子達の嫌がらせを集然で圧殺する様に塗り潰していく。

 そしてその日、ついに神々が扱う魔法、様法を使ったいじめに発展した。

呼び出されるハツミリフィ。

1人で。


 私は小物の神々に危害を加えない様に努力した。

努力して努力して努力した。

そうやって、繊細かつ、大胆に、練り上げられていった集然。


ーー光変化

 私は光。


 屋上で先輩の放った火の様法を握り潰しながら、許す心を忘れていた私。

もう限界だった。


 その実行犯の先輩に媚び、遊ぶかの様に嫌がらせをしてくる同級生も、星の彼方へ吹っ飛ばした事によって、学園に押しかけてきたその親をのしてしまったから。


 まぁ、いじめっ子達を、思い切り星の彼方まで、吹っ飛ばした直後は、怒り心頭過ぎたわ。


 親である神々が学園に押し掛けてきて言ってきた言葉の数々。


「親の顔が、見てみたいわぁ」

「親が悪いから、こうなったのよねぇ」

「親の育て方は、反面教師ねぇ」


 嫌味の数々を述べてきてもう私も止まらなかった。

担任の先生は止めたわ。

権力のある神々だったから、一家極刑もあると告げられた。


でも私は振り切った。


「私の両親はあなた達より、数億倍美形で、頭脳も、育て方も、優秀です!」


「侮辱だわ!」

「目上に対する態度がなってない!」


「大いなる裁きの炎よ、愚かなる愚神に罰を!!」


 顔を真っ赤にして、強力な炎の様法を私に向かって放ってくる。


ーー逆風変

炎の様法を風に変化させて操って空に溶かす。


ーー光変化

権力を有すに相応しい、神々の中でも、特筆する美形が目の前に。


ーー土変化

私は右の拳を硬くした。


ーー右直拳

右ストレート。



「ごふぁっ!!」


気を失い倒れる美形の親神。


「「!!!」」


叫び出す同級生。


(「本当に色んな音が聞こえたわ」)


 真面目な優等生は、神法に触れる事を気にしていたっけ。

 様法に詳しい生徒は、私に放った炎の様法の強大さに涙しながら魅入られていたわね。

 気弱な生徒はその炎の様法を打ち破った私に怯え震えながら。


 最も強い神が気絶していたから、残りの親神が、迅速に優族を呼び、取り囲んでくる。


 そんな状況を、母が感じとれないはずもなかった。


 母の手を引いて現れる父。

父は優族が押し掛ける事自体を危惧して、学園に現れた。


「俺の大切な娘が、何かしたのか?」

 

「「......。」」


 私の両親につながるラストネームであるルイデは父によって伏せられていたわ。

私も了承していた事。


 父を知らない神々はいなかった。

優族達も震えながら、自身の頭を床に強く押し付けながら平伏した。


 人類史で唯一、神々を滅ぼすまで、あと一手に詰め寄った、あの魔皇軍を退けたと調べがついている。


 神々の世界の武力の象徴、優族が怯え恐怖するのは父の有する武力によるものだと。


 父が権力者だと、聞いたことはない。

家も村の小さな一軒家だから。



 私の友人2人が父の元へやってくる。

ハツミリフィとハツミリム。


「ありがとうございます...…」

「ありがとうございます」


2人は、私と父に深く礼をする。


「ハツミ?怖くなかったか。あとは俺がこの学園と決着を付ける」


「怖くは、なかったわ。でもとっても怒ったわ」


「友人を思い、本気で怒るか。それはとても素敵な、良い事だな」


父はそうして微笑んでいた。


「キレの娘だもんね。しょうがないよね!」


と母も微笑んでいた。



 父の武勇伝の中に、母を苦しめた存在がいた。あらゆる力、あらゆる方法を用いて、容赦無く父は断罪したそうです。

 当時その話しを、聞いた私。

パパすご〜い、パパになる〜。と目を輝かせていたそう。

母がそう言っていた。


 気絶させた親神々は、高い地位を確立した偉い神々だったんだって。

知っていたからこそ、手は緩めなかった。


ただ心穏やかに、私はなんとかなるような自信に満ち溢れていた。




 これから私が向かう異世界では、私自身の強力な力を、どの程度還元していいのか分からなかったから、異世界相応の種族として生まれる事にしたわ。

そして私は上手く双子の妹として、生まれる事が出来た。


ーー転生


 アオナ・エカルラートの名を異世界の両親に頂いた私。

可愛い赤ちゃんとしての生活を、超長期休暇の一種みたいに満喫していた。

とても優しい姉が世話をしてくれるけど、とっても恥ずかしかったけどね!


 異世界の父と母は麗し過ぎて、美人薄命だったらしく、私が物心ついた時には、姉のアカナ・エカルラート1人に、育てて貰っていた。

本当に優しいお姉ちゃんって事だね!


 「バブー!!」とか言いながらの赤ちゃんライフは想像以上に楽しく本当に満喫していた。

エンジョイ!って叫びたかったよ。


 何が起こるか分からない異世界生活にワクワクウキウキが毎日止まらなかった。


ーー感性保管

 普段以上に別次元の別世界に発動直前の魔法などを待機させて少しでも早く今回の敵さんを瞬殺出来るように備えていた。


 人を創り出すとか、世界を複数創造するとか、滅ぼすとかの大掛かりな魔法だと、通常1秒前後必要な発動迄の時間が気掛かり。

 時間というものが刻まれてしまっては、父と同等の相手だと全く通用しない。


 姉のアカナは、私の友人のハツミリフィと契約を結び、異世界ミリカンテアに生まれ落ちた国家の一つ、和泉の国の女王となっていた。

誰からも好感を持たれている私の姉は、国の皆にとっても慕われていた。



 私が最近寝返りを打てるようになったばかりの時期に、来訪者が4人も現れた。

その4人の穏やかでは無い雰囲気に、とてもまともなお客様ではないように感じられた。


今回は特に和平的に解決して欲しいなぁと思っていたし、せめて私が10歳になってからと

祈っていたけれど、平行線を跨がない話し合いに


「服従するでありす」


 と1人が言って、アカナの右目に指を突き刺し、目玉を床に叩きつけた。


 朱雀との契約で痛みは軽減され、不死鳥の力を持つハツミリフィの力なら時期に再生するかなと思っていた。

けど血は止まらないし、凄く悲痛な顔で耐えているのが分かる。


アカナの目はぱっちりしていて可愛かったんだよ。


 アカナの目玉をもぎ取ったラブラビアというその女は、真紅に染まる社交界のドレスに身を包み、スカイブルーの様に透き通る青の髪を棚引かせながら、まるで死んでいるかの様に白い肌で全身を包み込んでいた。


 ほっそりとしたラブラビアのその細い腕からは想像もつかない速さと力で


「使えないでありすねー」


 と言いながら醜悪な笑みを浮かべ、アカナの左足を捻って捥いだ。

アカナは苦痛に涙しながら、バランスを崩し倒れ込んだ。


 私はラブラビアが何者か分かってしまった。

いや、人間であるという思考を捨てるべきだったわね。

私は指を2ミリ程度動かし、名も無き魔法、集然を使用した。


ーー痛激減

ーー止血治

ーー幻惑快

ーー次元移


 私が秘密裏に発動させた、痛み激減と止血の力を契約している神によるものと感じたのか、ラブラビアのお仲間様達も不審な表情を見せない。

 更に幻惑でここで起こった現実が表現される様にしてあるわ。

 これ以上アカナ自身に影響が無いようにする為にアカナのいる世界を一段上げて。


 アカナはリアルに傷付く自分のアバターを見ている様な心地になっているわね。

さぞかし嫌な夢を見ている気分になっていると感じる、寝覚めはとても良くないだろうけど。


 自分が死ぬ夢は運気が急上昇するらしいと母の読んでいた夢占いの本に記載があった。


見たく無い映像を見させられている気分になると感じている、ただそれは今だけはぜひ乗り越えて欲しい。


8歳ぐらいの若い少女にこんな事をお願いするのは酷だけど。


 それに私がこの世界に影響を与え過ぎると神々が気付く。

邪魔を防ぐのは簡単なのだろうけど実に面倒極まりない。


 「私がどうなろうとも、アオナを、人質なんて考えられません!」


 と傷付いたアカナが叫ぶ。


 その後にラブラビアは、冷ややかに微笑む。


「素晴らしいでありす!人間の姉妹愛と言う奴でありすか!実に愚かで無能な行いでありす!まとめて殺して差し上げるでありす!」


「まぁ待ちなよ、ラブラビア」


 女性の声をした、小柄なエルフのイケメンがラブラビアに話しかける。


「クウウ、何でありすか? まずその首根から、捻って差し上げるでありすか?」


 ラブラビアは醜悪な、薄気味悪い笑みを浮かべていた。


「メイユール様は、殺すなと、今日は仰られたでしょう?」


 クウウと呼ばれたイケメンも不敵に嘲笑う。


「えぇそうでありすね...」


 ラブラビアの表情が暗くなる。


「メイユール様の御言葉に反すると、言いたいのかな...?」


クウウの表情は気持ち悪いぐらいに穏やかだった。


「とんでもございませんわー!!!

いつもいつも無力なワタクシ達にこのミリカンテアをお任せ下さいましたのですよ?

それ故にいつもより張り切ってしまいましたでありす。何を本気に取っているのかしらねぇ」


 ラブラビアの勝ち誇った様な醜悪な笑みが咲き誇る。


「ボク達はメイユール様への忠誠心だけで、この場を共にしているようなものだからね。

さぁ!競争しようか!この場所を中心に!この地を平定するのは誰か、このミリカンテアの端から」


 クウウは無邪気な犬の様な、表情を浮かべていた。


「良いでありすね」


そう言い残し、頷いた二人も含めて、四人はこの場を後にした。

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