27.エピローグ?
滝沢 侑也……主人公。神の種を宿してる。
仲野 千鶴子……主人公の幼馴染。人類代表の超人。
キリコ……警察庁特務係。班長。
チャコ……警察庁特務係。キリコの部下。影使い。
モニカ……精霊代表。雷の精霊。
林 さやか……滝沢の中学校の先輩。裏世界のことも知っている。
ハダリ……機巧種。裏世界の特級と呼ばれる二十人のうちの一人。
和久 妃美香……日本文化研究部、部長。兼、女子剣道部。
倉多 葉菜……日本文化研究部。
古橋 真由……日本文化研究部。
竹田……弓道部。男子生徒。
文化祭の終わった直後の月曜日の昼休み。
俺と仲野はボランティア部の部室で昼飯を食べていた。モニカは弓道部の竹田君に誘われて弓道部のメンバーと食べている。あいつは本来の目的を既に忘れていそうな感じがする。
「ねぇ、さやか先輩が候補者になったのどう思ってるのよ?」
仲野がストレートに聞いてきた。
「いや、別になんとも思ってないけど……」
「嘘! あの日の夜、さやか先輩が候補者になったってキリコさんが告げた時、鼻の下が伸びてたもん」
「いくら月明かりがあっても見えないだろ!」
「私、超人だよ、忘れちゃった? 当然、目もいいんだよ」
そうか、身体能力って視力や聴力も上がってるのか。迂闊なことは言えないぞ。
「でも、それは見間違いだぞ」
これははっきり伝えておく。
「さやか先輩は俺のこと好きになれるか分からないって言ったんだ。あれはハダリさんへの恩みたいなので動いてるんだよ。それを聞いた俺が鼻の下を伸ばすわけないだろ」
「ふーん……ユウくん、先輩のこと好きだったからてっきり無条件で喜んで帰ってから家で小躍りでもしてたかと思っちゃった」
まったく仲野は俺のことどう見てるんだ。男子高校生は嬉しくても家で小躍りしないだろ。
「私も一緒にお昼ご飯いいかしら?」
さやか先輩が部室にやってきた。当然、部長なのだから問題はない。問題があるのなら今の仲野との会話を聞かれていた場合だ。
でも、何も言わないところを見ると問題は無さそうだ。
ハダリは権利を譲渡した後もさやか先輩の身体を調べるために一緒に暮らすことになった。ハダリがさやか先輩に作戦も授けるらしい。
俺は昨日、この一連の流れを振り返っていたのだが一つの可能性を考えていた。
ハダリは初めから自分の権利をさやかに譲るつもりだったのではないだろうか。この部屋から逃げるにしても、彼女なら色んなパターンを想定して、逃げる状況もシミュレーションした上で確実に逃げ切れる方法を用意しておく方が自然だと思ったのだ。
色々と話をしていくうちに、さやか先輩を焚き付けてあそこで後継者になると本人に言わせるのが目的だった。
こう考えると弓道部で風船のためにジャンプしたところから計算のうちだった。もしそういうアクシデントが無くても何か起こす。そして全てバレずに俺を押し倒せた場合はそれもプランとして実行する。
きっとそういうつもりだったのだろう。正解かは本人に確認したところで答えてはもらえないが、そんな気がするのだ。
「隣、座るね」
俺が昨日の想像を振り返るとさやか先輩が横に座ってきた。
座ってきたんだが──近い、近過ぎる。
さやか先輩の胸が当たる。柔らかい。
いや、そうじゃない。これは昼飯を食べれる体勢ではないくらいの近さなのだ。
あ、でも、この状況、終わらせたくないかも。
「先輩、近過ぎますよ!」
テーブルの向かいにいる仲野が身を乗り出さないとばかりに乗り出してくる。
「だってハダリ先生が『とにかく機会があればボディタッチしなさい。さやかに触られ続ければ滝沢なんてすぐに落ちるわよ』って言ってたから……」
あの人、さやか先輩になんて作戦を授けたんだ。昨日の俺の想像は間違っていたのかもしれない。
「そうだとしても、そんなに近かったら二人ともお昼ご飯食べれないでしょ」
「私が食べさせてあげるから、滝沢君も私に食べさせて?」
ハダリのせいでさやか先輩がおかしくなってないか?
今度、会ったら変な作戦を授けないようにって伝えないといけない。
「とにかく、ここは学校なんです。校内でそんな破廉恥なことしないでください!」
仲野の主張はもっともだったが、これより際どいことを俺はハダリにされそうになったのを忘れない。
それにしてもボランティア部もこうなることを予見されていたみたいで、神託書とは別の力も働いているんだろうなという妄想を俺はしてしまう。
候補者三人もいるんだし、これ以上変な事件が起きる前に誰か結ばれた方がいいのかもしれないが──俺がいくら性欲旺盛な男子高校生だとしても、世界の左右するかもしれない子作りなんて簡単にできないよ……
♢
朝から曇空だった天気は放課後には雨が降り始めていた。
放課後、モニカは相変わらず弓道部に行っていた。もうモニカは候補者じゃなくてもいいのではないだろうか。
弓道部といえば竹田君とクラスで話すようになってから武道系運動部の繋がりなのか、同じクラスの剣道部の森山君にも話し掛けらるようになった。いや、話しかけられるというか剣道部への勧誘だな。日本文化研究部繋がりで和久先輩とも知り合いなら、みたいな感じで誘われる。
ボランティア部もあるし断ってるのだが、屏風を運んだ時や五階から飛び降りた後に走った時に運動不足を感じたから身体は動かした方がいいんだろうと思うこともあり、兼部が可能ならとか心が揺らいでたりもする。
仲野はハダリに脳や身体を調べたいとさやか先輩の家に呼び出されていた。念の為にチャコも同行している。
俺も行こうかと言ったら、
「私もさやか先輩も裸になって検査するみたいだけど来る?」
と仲野に言われて断った。同世代の女子の裸にはもちろん興味あるのだけど、なんか違うんだよなぁ……検査してるところの裸を見るのは言葉にしにくい違いがある。
そんなわけで俺は今日は久し振りに一人で放課後を過ごしている。
文化祭の準備期間中はボランティア部や日本文化研究部の誰かと常に行動をしていたから、本当に久し振りだ。
チャコはさやかの家で夕飯を食べてきそうだし、モニカはよく分からないが今日は夕飯も一人だ。雨足も強くなってきたし、適当にコンビニで弁当を買って家で電子レンジで温めて食べることにした。
家に着いた時には雨足はさらに強くなっていた。
モニカが来た日のことを思い出すな──そんなことを思いながら自転車から降り玄関に向かった。
「にゃ、にゃあ」
玄関の軒下に一匹の白い猫がいた。雨に濡れてはいるが綺麗な毛並みで、少しサイズが合ってない大きめの首輪をしている。近所で見かけないが、きっとどこかの家の飼い猫だろう。
雨足が落ち着くまで雨宿りする分には問題ないし、この猫の好きなタイミングで帰ってくれればいい。
そう思い玄関の鍵を開けて家に入る。
「にゃ、にゃあ」
すると、鳴き声を上げながら俺について白猫も家の中に入ってきてしまった。
部屋の中に入ると厄介だな。でも、追い出すのもちょっと可哀想かも、どうしたものか──
ボンッ。
先に靴を脱いで部屋に向かおうとする俺の背後で音が鳴った。
白い煙も巻き起こってる。
火事? 爆弾?
今日に限ってチャコもモニカもいない。新たな種族の襲来なら困ったことになるかも。
しかし、煙が落ち着いた先に現れたのは意外な人物だった。
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃあ……」
一糸纏わぬ──いや、首輪だけを着けて生まれたままの姿で現れたのは日本文化研究部の古橋真由だった。
こんな形で先ほど望んだ同世代の女子の裸を見るとは思わなかった。
いや、確かに裸に首輪だけの姿はエッチなんだけど、これも違うというか。
これは新たな波乱の幕開けにしか思えず俺は頭を抱え込んだ。
お読みいただきありがとうございます。
これにて完結です。
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