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24.落下

滝沢 侑也……主人公。神の種を宿してる。

仲野 千鶴子……主人公の幼馴染。人類代表の超人。

キリコ……警察庁特務係。班長。

チャコ……警察庁特務係。キリコの部下。影使い。

モニカ……精霊代表。雷の精霊。

林 さやか……滝沢の中学校の先輩。裏世界のことも知っている。

ハダリ……機巧種。裏世界の特級と呼ばれる二十人のうちの一人。

和久 妃美香……日本文化研究部、部長。兼、女子剣道部。

倉多 葉菜……日本文化研究部。

古橋 真由……日本文化研究部。

竹田……弓道部。男子生徒。

「なんだ、せっかく良い話をしているのに水を差しおって」

 ハダリはせっかくの感動秘話を遮られたことに怒っている。


「いや、すみません。でも、肝心の子作りのところから離れてませんか?」

 仲野のその質問ももっともではある。


「そう急かすな。順を追って説明するのに今の話も必要なのだ」

「すみません……」

 少し不服そうだが仲野は素直に謝った。


「そもそも機巧種というものが認められても、その定義が私にも分からない。私のように脳以外すべてこの特殊な素材にならないといけないのか、それともさやかのように少しでも適合すればいいのか──割合があるのかすら分からない。だから、まず種の増やし方時代が私にも分からないのだ。まず、一つの目の回答として種としての子作りについてはこうだ」

 なるほど、裏世界のことは分からないがハダリの種族を増やすことについて伝えたいことは分かった。


「次は恐らく方法についてだな?」

 ハダリの質問に仲野は頷く。


「私の受精卵は特殊な方法で保存してある。それに滝沢の種を植え付ける。それだけだ」

 なんかそういう言い方をされると嫌だな……

「でも、さっき俺のズボンを脱がして跨ろうとしてましたよね?」

 仲野達が到着する前のことを思い出して伝えたのだが、仲野もモニカも睨んでくる。なにもやましいことはしていないのだから睨まないでくれ。


「あぁ、それは雰囲気作りだな。不妊治療でやるように手で絞り出して特殊な容器に入れてもよかったのだが、形でも交わった方が雰囲気が出るだろ? 滝沢も初めての子供なのだから全部人工的に処理されても悲しいだろうと思って。あと、私も久し振りに雰囲気だけでも味わいたかったのだ」

 この部屋にいるハダリ以外の全員がドン引きしてるのだが、モニカも似たようなことやろうとしていたのだから同じ類だからな。

「まぁ、でも、この腹の中では大きくできないから培養装置に移さないといけないのだけどな」

 ハダリは研究者然として悪気は無く話してくれているのだろうが、聞いている方としては恥ずかしいというか微妙な空気になってきている。

「もし私としていたとしても、それは生身の肉体ではなく──大人のおもちゃや人形だと同じだろうから貞操を奪われたことにはならなかったはずだから安心したまえ」

 安心とかの話じゃなくて……大丈夫かな、この人。

 あと、恐らくこの部屋で一番純粋なチャコはそろそろ耐えきれないんじゃないか。


「──というわけで以上だ」


「ねぇ、キリコさん。ハダリさんは失格にならないのですか? 睡眠薬は危害を加えたことになりそうですけど」

『言いたいことは分かるが、神託書の名簿は変わってないからセーフなのだろう』

 未遂に終わったけど、モニカの雷撃の方が睡眠薬よりヤバそうだし判断基準が分からないな。


「私は君たちと馴れ合うつもりもないし、そろそろお暇するよ」

 ハダリはそう言って窓に近付く。

 そこから出ようと言うのか?

 ここ5階だけど裏世界の人には関係ないのだろう。


「では、また会おう」

 ハダリはそう言って窓を飛び越えた。


「あ、ちょっと待ちなさい。まだ話は終わってないわよ」

 何故か、仲野はハダリを追って飛び出してそのまま窓を越えていく。

 さっきので説明は済んだようにも思ったけど、何かあるのか?


「ちょっと! うちも候補者なのじゃ。うちにも話を聞かせるのじゃ」

 モニカも窓を越えていった。モニカってこの高さで落ちて大丈夫なのか?


「私達も追わないといけないわね。チャコさんは影の中へ。滝沢君は私の背中に乗って」

「えっ……でも……」

「緊急事態なの、つべこべ言わない」

「はい」

 さやか先輩の背中におんぶされる形で窓を乗り越えた。

 5階から落ちることなんて今まで無かったし、これからも無いだろうが、あまりの落下スピードに身体がすくんだ。もちろん、さやか先輩の足で衝撃は吸収されるのは分かるのだけど、万が一のことも頭を過り走馬灯も見えそうだった。


 身体能力が強化されている二人は運動場の方へ向かって行ったらしい。


「私も彼女達を追いかけないと」

 俺を背中から下ろして、さやか先輩も先行する二人を追いかけていってしまった。


「それで、モニカはここで何してるの?」

 先に落ちたモニカは追いかけずにまだそこに留まっていた。見た感じは怪我は無さそうだけど、見えないところで身体を痛めたか?


「うちは妖精だからな、高いところから落ちても花びらのようにヒラヒラできるから普通はダメージはないのじゃ。だが、久し振りにヒラヒラしたからか、ちょっと足と腰が……」

 おばあちゃんみたいなこと言ってる。でも、年齢と実際の身体の成長速度は違うんだよな。年齢に触れると怒られそうなので放っておく。


「じゃあ、俺も先に行くぞ」

「うちのことに構わず先に行け」

 モニカは戦争映画に出てきそうなセリフを言っているが、ここは現代日本だし、今はそんな危険な場面じゃない。

 地面に倒れて手を伸ばして戦場にいる兵士の真似をしているモニカを置いて俺は先に進むことにした。

 それにしても、こういう小ネタはモニカはどこから仕入れてくるのだろうか。

 こちらの世界で学ぶなら、もう少しタメになることを学んだ方がいいんじゃないか?

お読みいただきありがとうございます。

残り3話を予定しています。

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