21.文化祭の終わり?
滝沢 侑也……主人公。神の種を宿してる。
仲野 千鶴子……主人公の幼馴染。人類代表の超人。
キリコ……警察庁特務係。班長。
チャコ……警察庁特務係。キリコの部下。影使い。
モニカ……精霊代表。雷の精霊。
林 さやか……滝沢の中学校の先輩。裏世界のことも知っている。
和久 妃美香……日本文化研究部、部長。兼、女子剣道部。
倉多 葉菜……日本文化研究部。
古橋 真由……日本文化研究部。
竹田……弓道部。男子生徒。
「遅ーい!」
5階に着いた俺の姿が見えるとすぐに倉多の声が飛んできた。
「いや、時間通り、っていうか時間よりも早いだろ」
「そういう問題じゃなくて女子を待たせないでよ」
「いやいや、俺もボランティア部の仕事だし、ここで受付するのも倉多の仕事だろ。文句言うなよな、まったく」
「だって早く回りたいんだもの」
俺のボランティア部の仕事が終わったら受付を変わるという約束だった。倉多も古橋も幼馴染で仲良しだし文化祭も思い出の一つにするために楽しんできて欲しい。
俺はさやか先輩と巡回ながらも雰囲気だけは楽しめたし、一人で受付するくらいなんともないのだ。
「タッキーも来てくれたし、楽しんでこようっと。何人来たかはこのカウンターで数えておいてね」
倉多は立ち上がり百均で売っている安っぽいカウンターを俺に渡して出かけようとした。
「い、いってらっしゃい」
あれ、古橋は行かないのか?
確かに引っ込み思案だし文化祭のような陽キャオーラが漂うイベントは苦手なのかもしれない。その気持ちは分からないでもないぞ。
「マユ、行かないの?」
「う、ううん。ハナちゃんが帰って来たら、た、滝沢君と、回る。そ、それまで、た、滝沢くんと、受付、してるね」
古橋は冗談も言えるんだな。俺が感心したのだが、倉多の顔が歪み俺を睨んでくる。なんでだよ。
「そんなつまらない冗談言ってないで、一緒に行くわよ」
倉多が古橋の怪我をしていない方の手を掴んで引っ張っていく。
「わ、私、そんなに、文化祭、楽しみにしてないんだよぉ……」
古橋は引きずられながら、そんなことをかすれた声で言っていたが、幼馴染のことも邪険にできず結局は大人しくついて行った。
一人残された俺は大人しく受付をしておく。
そう言えば文化祭を楽しみにしていたチャコは文化祭を回っているのだろうか?
どこにいるのか確認の連絡をLINEでしておく。
一人になった俺はさやか先輩との巡回を思い出していた。
初恋の人との文化祭──
♢
「お疲れ様でした」
文化祭が終わり各所の片付けもほぼ完了していた。
今日は土曜日で残った分は明日の日曜日にそれぞれ片付けることになっている。
さやか先輩は生徒会、仲野はクラスで担当になっている正門の飾り付け、モニカは弓道部、俺は日本文化研究部、それぞれの片付けを手伝った。
日本文化研究部は三人分の華と書を片付けて屏風を部屋の端に寄せるだけだったので大したことなかった。屏風を一階まで下ろして華や書と一緒に和久先輩の家のトラックに載せるとなると、相変わらず剣道部の方に行ってしまっている和久先輩もおらず仲野もクラス担当の方へ行ってしまっているので不可能だろ、と思っていたのでそうならなくて良かったと心から思った。
古橋も書を運ぶだけなら手伝ってくれたので思ったより早く終わってしまった。
日本文化研究部に、と言っても倉多と古橋の二人だけだが──打ち上げに行こうと誘われたが、さやか先輩の仕事も終わっていないようなので断った。
普通の女子と打ち上げ行く機会なんて、俺の高校生活でこの先あるのかと思ったが仕方ない。先輩を残して帰れないものな。
そう思いながらボランティア部の部室で待っていた。
仲野はクラスメイトと、モニカは弓道部と打ち上げに行くとボランティア部のグループLINEに連絡が入ってきた。
これでいい。
「お疲れ様」
生徒会の手伝いが終わったさやか先輩がボランティア部の部室へ帰ってきた。
「お疲れ様です」
「滝沢君は打ち上げ行かなくてよかったの?」
「日本文化研究部の二人に誘われたんですけど、さやか先輩だけ残して帰るのはやっぱり気が引けて──」
「そんなの気にせず仲野さんやモニカさんみたいに行ってくれてもよかったのに」
「そうもいかないですよ」
「じゃあ、二人きりで打ち上げしよう」
さやか先輩は冷蔵庫から飲み物を出してきた。こういう時に部室に冷蔵庫があるのは便利だな。
「烏龍茶しかないけど大丈夫? それとも下の自販機で何か買ってこよっか?」
「あ、いや、大丈夫ですよ。さっき片付けで1階と5階を往復してくたくたなので、また下まで行くのはちょっと……何なら今なら隣の和室使ったら寝ちゃいそうですよ」
「本当、よく頑張りました」
さやか先輩は優しく微笑んで紙コップに烏龍茶を注いでくれた。
「ありがとうございます」
先輩も自分の分を注いで席についた。
「改めてお疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
さやか先輩の出してきた紙コップに乾杯のように俺も紙コップを合わせる。
「喉も渇いていたみたいで一気に飲んじゃいました」
俺はさやか先輩から受け取った烏龍茶を飲み干してしまい苦笑いをするしかない。
「おかわりいる?」
「ありがとうございます。でも、自分で注ぎま──」
俺はそこまで言って机に突っ伏した。
お読みいただきありがとうございます。
度々変わって申し訳ありません。20〜25話程度を予定しております。
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