第17話 コレットの事件簿
「あ~、ちょっとぉ、いいですかぁ~」
私は気だるそうに言う。
「この中にぃ、犯人がいます~」
眉間に指をあてて、少し間を置く。
「ん~、ハティさん、あなたはぁ昨日お昼過ぎからぁ、別行動をとっていましたねぇ」
私の言葉にハティさんが頷く。
「何時ごろ、この宿に戻りましたかぁ~?」
「はい。午後11時頃だったと記憶しております」
「そうですか~」
何でこんな話し方になったか。
それはもう照れくさいのと恥ずかしいのとで、まともに話せないからだ。
だって、目の前のお姉ちゃんとハティさんがメチャクチャにやにやしている。
そして、心の声で「きゃわいいいい~」と連呼している。
そう、今の私はフリルとリボンがいっぱいついたホワイトロリータの格好。
朝、目が覚めるとすでにこの格好だった。
(ヤバいよヤバいよ、僕はキュン死してしまうよ)
(ああ、いいわぁ、その照れ隠しのだみ声っぽいのもいいわぁ)
……いや、もう、この人たちが犯人なのはわかっているんだけれど。
「私は昨晩、先生と9時過ぎには就寝していましたぁ~、部屋に鍵をかけていたのでぇ、入ることはできませんでしたよねぇ」
魔人、アガートラームの逸話にはどんな厳重な警備でも侵入できるというものがあった。
もちろん暗殺がらみ。
でも、今回はそこまでしていない。
なによりも、いくらロリ……もとい、蕾愛好者であっても寝ている私を着替えさせるという暴挙はしないでしょう。
だって、根は超真面目な紳士なんだということは「視え」ているもの。
「はい。私は別の部屋をとってそちらに」
「アリバイはぁあるわけですねぇ~」
私は眉間に指を置き、少し間をとる。
「ん~、そうなるとぉ、これは密室での犯行となりますねぇ~」
ちらりとお姉ちゃんを見る。
にまにまと笑いをかみ殺して口を動かしている。
「つまりはぁ、『共犯者がいる』ということですぅ~」
ごくりとふたりは唾をのんだ。
「寝ている私に服を着替えさせることのできる人はぁ一人しかいません~」
私はそこで深呼吸をした。
「つまり、犯人はあなたたち二人だ!」
…
……
「「はい。すみません、私たちがやりました」」
ふたりが揃って両手を差し出す。
手錠をかけられる動作。
「……お金の無駄遣いと思わないんですか?節約しないと」
私の言葉に二人が声をそろえて言う。
『必要経費だ』
……なに、この姉弟の連帯感。
「コレット、服屋さんで『可愛い』って欲しそうに見ていたじゃないか」
とハティさんが言う。
「そうよ。コレットだっておしゃれしたい年頃でしょ?それにとっても似合うと思ったの」
とお姉ちゃん。
何というか、嬉しいんだけれど、どうしていいかわからない。
「もしかして違うのが良かったのかい?」
「気に入らなかった?」
心配そうに二人が私を見る。
「ううん、とっても可愛くてうれしいんだけれど……」
なんだろう、目の前の二人の心は綺麗な色をしている。
「よかったぁ」
そう言ってお姉ちゃんとハティさんがハイタッチ。
私はこのふたりにちゃんとお礼を言ってない。
だから、勘違いだったら恥ずかしいんだけれど……思い切って言ってみた。
「ありがとう。お姉ちゃん、お兄ちゃん」
ふたりは固まった。
そして、数秒後、仲良く鼻血を吹いて卒倒した。
まさかの聖騎士長と魔人の殺人(キュン死)事件。
あ~、…コレットぉ……オルレアでしたぁ~




