007 続!初心者の洞窟
「上手く討伐できたみいだね。奥に進もうか。」
「そうだな。アリスちゃんは参加するか?」
「うん。次からは私も戦うよ。」
よかったよ。流石に一人で戦うのは効率が悪いからなぁ。すぐにMP切れになってしまう。
それに戦闘回数と戦闘時間が増えれば、それだけ被弾回数も増えるからな。そういう意味でもアリスちゃんが攻撃に参加するのとしないのでは戦闘効率が違うというものだ。
ここの魔物なら大事になることはないだろう。なんと言っても、最弱の魔物筆頭スライムぐらいだからな。後は蝙蝠だけど……。
「きゃっ、ブラックバットによる不意打ちみたい。魔物に先行を取られると攻撃を受けてしまうので、用心しなきゃね。」
「あ、うん。その説明今する!?とりあえず、倒そう。」
不意打ちで攻撃を受けている最中にも説明を欠かさないガイドの鏡であるアリスちゃん。だが、説明中にも攻撃受けてるからね?先倒そうぜ。とりあえず、鑑定。
CN―Lv4/100 Race:ブラックバットLv3/30 Rank:1
HP 331/331 MP 383/383 SP 497/497
STR 32 VIT 33
INT 31 RES 37
AGI 42 DEX 31
あー、スライムと大きくは変わらないか。少しすばしっこくなって、耐久性が無くなった感じ。スライムよりも倒すのには時間がかからなさそうだけど、被弾が増えそう?
どちらにしても、攻撃しないことには倒せないからな。攻撃するか。
「“ライトボール”。」
「ブラックバットは素早いから攻撃が当たりにくいよ。……でも、ちゃんと当ててるね。」
「あ、うん。なんかごめん。」
どうやらガイドさんは己の職務を全うしようと思ったみたいだが、きちんと攻撃を当てたことで説明を放棄してしまったようだ。
「私も攻撃するね。私は水属性と闇属性の魔法が使えるよ。ブラックバットは闇属性に耐性があるから、水属性で攻撃するね。“ウォーターカッター”。」
実はアリスちゃんが使える魔法は知っていたのだけど、流石に言わないでおくよ。
しかし、ガイド役のアリスちゃんが攻撃を外すとは、予定では俺が攻撃を外したところで説明をして、アリスちゃんが攻撃するつもりだったのでは……?
調子狂ったのかな。
「……。こほん、このようにブラックバットは素早いから攻撃が当たりにくいよ。攻撃をするときは誰かに引き付けてもらい攻撃するといいよ。それに魔法による攻撃の方が当てやすいからおすすめだよ。」
「あっ、誤魔化した。」
「そんな事ないよ。イリアちゃんもしっかり攻撃してね。」
「は~い。」
美少女のジト目を頂きました。ありがとうございます。やっぱり、クソジジイがやるよりもアリスちゃんのような美少女にやってもらった方がいいね。赤い瞳がキュートだよ。
さて、そんなやり取りは置いておいて、ブラックバットをさっさと討伐してしまおう。
その後、特に苦戦することもなくブラックバットを無事に討伐することに成功した。ブラックバットが魔力の粒子に還元されるのを見つめていると、その後にはなんとドロップアイテムが残っていた。
蝙蝠の牙。売値は決して高くはなく、素材としても低級で品質の期待は出来ないだろうが、初めてのドロップアイテムである。やはり、この瞬間は嬉しいものだな。
「ドロップアイテムが落ちたんだね。ドロップアイテムは……。」
「あ、うん。その説明は知ってるからいいよ。」
「……。ドロップアイテムは魔物を倒した時に一定確率で出現するアイテムのことを言うんだよ。ドロップアイテムでしか入手できない素材もあるので、頑張って魔物を倒すのがいいと思うよ。」
ゴリ押した。この子ゴリ押したぞ。何がそうこの子を駆り立てているのだろうか。ガイド役の宿命を負わされるなんて、なんて不憫な。いや、好きでやっているならいいんだけどさ。
そもそもガイド役の宿命って何?どういうこと?
「うん。説明ありがとう。」
「イリアちゃんの役に立てたなら嬉しいよ。」
まぁ、説明してくれるのは悪いことじゃないし。でも、俺前世の記憶あるからな。アリスちゃんの説明って大体知っているんだよなぁ。
ま、いいか。結構、攻撃も受けてしまったしな。鑑定しておくか。
CNイリア=ローズベルLv1/100 Rank:2
Race:天使族Lv1/30 Job:村人Lv2/30
HP 186/261 MP 104/284 SP 337/337
STR 18 VIT 25
INT 25 RES 38
AGI 33 DEX 29
うわ、攻撃は回数としては二回くらいしか当たっていないのにこれか。職業のレベルが上がっているとはいえ、ブラックバットと戦うのはあまり得策じゃないな。
経験値量も特に大きな違いはないだろうし、スライムを倒すのに専念した方が安全性は高そうだなぁ。それとこのまま洞窟の奥まで進むのはやめた方がよさそうかな。大けがを負いかねない。
英雄だなんだと言いながらも、被弾をゼロにするには不可能に近いからな。とりあえず、武器と防具をしっかりと揃えてからもう一回来よう。
「今日はスライム狩りに専念しようか。出来るだけブラックバットと戦うのは避ける形で。」
「うん。分かった。」
こうして今日は日が暮れるまでスライム狩りに専念したのであった。
今日の成果。
スライムの討伐数、十八体。
ブラックバットの討伐数、三体。
ドロップアイテム。
スライムの魔石(下級)、五個。
ヒール草(下級)、一個。
蝙蝠の牙(下級)、一個。
総収入。
アイテムの売却額、50*5=250+100=350。半々で175。
支出は0。
……175の収入にしかならないとは。これで回復薬を使った日にはマイナスになりかねないな。一本50円が相場だから、4本の回復薬を使った場合はとなるけど。
過去の英雄が情けないと思うなよ。この身体ではステータスが足りないのだ。だから仕方ない。ステータスが上がった暁にはこんな洞窟は制覇してやるとも。
それよりも先立つものがないときついな。これなら薬草採集をしていたほうが金を稼げるではないか……。




