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英雄賛歌 ~元英雄が二度目の世界を再攻略する~  作者: 如月
第一章 英雄、転生する
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006 初心者の洞窟

「おはよう。」

「おはよ。今日は洞窟に行くんだよね。」

「洞窟?」

「ほら、村の近くにある洞窟だよ。あそこは弱い魔物の住処になっているから。イリアちゃんも知っているでしょ。まだ寝ぼけているの?」


 はい。今日も元気です。単純にものを知らない英雄さんなだけだ。

 それにしても、そんな都合のいいものが村の近くにあるとは、是非行かなければならない。今日の目標はとりあえず、レベル5くらいまで上げることだろうか。あと、どんな魔法を使えるかの確認も必要か。


「目は覚めてる。早く洞窟に行こう。」

「も~、分かったよ。じゃあ、行こうか。」

「ああ。」


 で、洞窟は本当に村のすぐそばにあった。歩いて五分もかかっていないだろうか?そんな近くに魔物の巣があってもいいのかと思うけど、逆に定期的に倒せばいいだけだから、村の側にあった方が都合がいいだとか。

 変に魔物の巣が遠くにあると異常の発見が遅くなり、魔物の大繁殖や大侵攻によりかえって村に被害が出やすいとのことだ。


「イリアちゃん、いつもの確認だよ。この洞窟は通称“初心者の洞窟”。村でも若いメンバーが処理を担当する洞窟だよ。主にスライムとか、ブラックバットとか人型じゃない魔物で、弱い魔物が出現するよ。ブラックバットは宙を飛んでいるから気を付けないとね。分かった?」

「大丈夫。」

「うん。なら早速入ろうか。」


 いよいよだな。懇切丁寧に説明されたことから、特に問題がないことが確定した。スライムは最弱格の魔物だし、飛んでいるとはいブラックバットも所詮は蝙蝠である。

 その程度の魔物しか出ないなら、村の子供でも討伐することが可能だろう。




「スライム発見だね。まずはイリアちゃんが戦ってみる?おばあちゃんから貰った聖剣で攻撃するといいと思うよ。」

「任せて。」


 スライムがいくら弱くても昨日二回も気を失ったからな、万全を期するためにもとりあえずの鑑定をしよう。


 CN―Lv4/100 Race:スライムLv3/30 Rank:1

 HP 455/455 MP 362/362 SP 314/314

 STR 25 VIT 41

 INT 46 RES 29

 AGI 34 DEX 37


 ……あれ、案外強いよな。俺よりもステータスが高いのではないだろうか?と、とりあえず聖剣で攻撃してみるか。

 スライムの動きは鈍いため、子供でも簡単に攻撃を当てることが出来る。


「わっ、攻撃が当たったね。でも、その聖剣って魔法を使うことで真価を発揮するみたい。次は魔法攻撃をしてみたらどうかな?」


 その前に鑑定だ。聖剣での通常攻撃ではどれだけのダメージが当たったのだろうか。


 CN―Lv4/100 Race:スライムLv3/30 Rank:1

 HP 426/455 MP 362/362 SP 314/314

 STR 25 VIT 41

 INT 46 RES 29

 AGI 34 DEX 37


 29ダメージか。一割にも満たないダメージ。スライム倒すのに十回以上も攻撃しないといけないのか?

 前世は初戦闘でもその半分以下の攻撃で倒せていた記憶があるのだが。この身体が弱いのか、それとも前世の身体が強かったのか。どうなんだろうな。

 次は魔法攻撃だったよな。使える魔法は光属性と無属性か。光属性の初級魔法には“ライトボール”の魔法があったはずだ。


「 “ライトボール”。」

「魔法が発動したね。魔法はMPを消費するから気を付けてね。でも、スライムも怯んでいるみたい。この調子で頑張って。」


 CN―Lv4/100 Race:スライムLv3/30 Rank:1

 HP 383/455 MP 362/362 SP 314/314

 STR 25 VIT 41

 INT 46 RES 29

 AGI 34 DEX 37


 おおっ、63ダメージか。聖剣で斬りつけるよりは確実に早いな。それでも八回攻撃しないといけないけど。こうなってくるとMP切れの心配が尽きないな。

 とりあえず、ガイドのアリスちゃんの声に従って魔法攻撃でもするか。それが効率いいしな。流石に何度も切りつけるのは効率悪いわ。


「“ライトボール”。」

「あっ、クリティカル攻撃が発生するなんてラッキーだね。偶に実力を超えた攻撃を発揮できる時があるけど、それを前提に考えるのはダメだよ。実力をしっかりつけて堅実に戦おうね。」


 ああ、偶にそんなものもあったな。明らかに通常の攻撃よりも相手に攻撃が当たっている感触。芯に当たっているというかな。冒険者の間ではまことしやかに神の祝福だの、贈り物だの言われていた。

 王都の施設で測定した結果、クリティカル攻撃は通常の1.5倍程度の威力が出ているらしい。それとは別に1.8倍近くの威力が出ることや、1.3倍程度の威力ということもあるようで、クリティカル攻撃には二種類存在するとのことだ。

 結局、クリティカルの発生する状況に関してはランダムだという結論が出たんだったな。


 そんな話は置いておいて、“ライトボール”を打つこと七回。ようやくスライムの討伐に成功したのだった。戦闘のテンポが悪くなるようなバランスだが、これに仲間が加われば戦闘にかかる時間もマシになるだろう。

 スライムが光の粒子になって宙へと消えていく。これは魔物が魔力により構成されており、元である魔素に還ったことによるものだとか。これも王都の偉い人情報である。

 偶に魔素に還らずにアイテムが残ることがあり、それを冒険者はドロップアイテムだと言ってありがたがるのだ。今回は残念ながらドロップアイテムはなかったようで、スライムがいた痕跡は欠片も残ってはいなかった。

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