009 レオンの実力?
「次は俺も戦闘に加わるからな。」
「レオンは前衛だよな。」
「そうだ。イリアが魔法も扱うオールラウンダーだとは驚いたが、どちらも扱えるのは羨ましいな。俺は魔法の才能は全くないからな。」
レオンは属性魔法の才能は全くもっておらず、それ故に身体能力に魔力の特性が寄っている。剣術の才能もさることながら、強靭な肉体強度を誇っているのだ。
「ダンドールだからな。」
「……ふっ、そうだな。【剣聖】の名を拝命しているのだから、魔法を扱えなくても仕方ないな。剣技そのものが魔法と言えるしな。」
「ああ、確かに。明らかに剣術の域を超えているように見えるよな。」
かつての【剣聖】ダンドールもまた属性魔法に関しての才能がなく、代わりに肉体強度と圧倒的な剣術の才能を持っていた。あらゆる剣術を極めた先に魔王の討伐を成し遂げたのだ。
今では【剣聖】の技術を子孫代々分析し、継承してダンドール家は数多の術理としてその技あを再現している。
「どこかで【剣聖】の剣術を見たことがあるのか?」
「いや……路地裏で見ても全く分からなかったからな。」
「……確かに一度見せていたな。」
当然、イリアが見たのは当初のダンドールの剣術であり、魔王討伐前であっても一般的な剣術を超越しているのだから、イリアとしても剣術の域を超えていると表現するしかなかった。
そのダンドールは寿命で亡くなるまで結局剣の道に邁進して、その術理の高みに引き上げたのだから、これほど【剣聖】の名に相応しい男もいないだろう。
「今日はもっと見せてくれるんだろ?」
「ははは、存分に見せよう。」
「楽しみにしている。」
二人はどこか嬉しそうに獰猛な笑みを浮かべながら、山を進みだす。
「がるる!!」
「出たな。」
イリア一行が山を進んでいると前方よりロックウルフの群れが見えた。数は例の通りに6匹。唸り声をあげながらイリア一行を見据えて臨戦態勢を取っている。
それに対してレオンが我先にと剣を引き抜く。引き抜くと言っても、聖剣召喚による聖剣の呼び出しである。光の粒子がレオンの手に待っていき、剣の形へと変化していく。
「では、レオンが前衛で、アリスちゃんとスラちゃんは魔法で牽制。私は援護する。」
「分かった。」
「うん。任せて。」
レオンの戦闘意欲に引っ張られるようにイリアも聖剣をその手に召喚する。召喚する聖剣は当然、祝福の聖剣“エレメシア”。光の粒子は豪華なツタや葉の装飾をされた剣を形成した。
その後、イリアの簡単な指示により、一行は戦闘へと移行した。
「“ライトシャワー”。」
「“ダークブラスト”。」
「“ぷるぷる”。」
「“がうっ”。」
「“がるる”。」
最初に行動したのは魔法組。全体魔法を三人で打ち放っていく。光の矢が天から注ぎ、闇の衝撃波が前方へと飛んでいく。その攻撃に合わせるように後方にいたロックウルフの2匹が魔法を撃ち返す。
魔法組による攻撃はロックウルフへとぶつかり、確かなダメージを与える。そして、ロックウルフから放たれた攻撃もイリアに命中するが、大したダメージにはならない。
「がるるる!!」
「雷竜・牙。」
「きゃうん!!」
「嵐虎・連牙。」
魔法組の魔法が敵にぶつかる中、レオンとロックウルフは接近しており、一早くロックウルフが飛び掛かる。
そこに、レオンが上段構えからの振り下ろしをお見舞いする。風を切る音と共に剣はロックウルフへとぶつかり、1匹のロックウルフが光の粒子となり宙へと消えていく。
さらにレオンの攻撃は終わっていない。続々と接近するロックウルフに対して、一撃の雷竜から連撃の嵐虎に攻撃を接続して、後続のロックウルフに攻撃を当てていく。
「流石だな。」
「これくらいはな。」
「必殺技みたいなのを見てみたいな。」
「ははは、ロックウルフに使う意味はないが、お望みなら見せようか。」
瞬く間に1匹まで減ってしまったロックウルフにレオンが目を向けると、びくりと尻尾が下がるが戦意の籠った目を向け返す。
だが、気迫だけで近づける差ではない。レオンとロックウルフがお互いを狙って接近してい行く。
「ぐるる。」
「雷竜・咆哮。」
――――――ズドンッ!!一撃の威力を重視する雷竜の攻撃により、凄まじい轟音と共に衝撃波が辺りに伝染して、直撃したロックウルフはそのまま宙へと消えて行った。
これ程の威力であれば、魔法攻撃を与えていなかった場合でもロックウルフを倒すことができただろうことは、想像に難くない。
「楽勝だな。」
「だな。もう少し手ごたえが欲しいものだが、贅沢かな。」
「ここでは難しいだろうな。」
この山のレベルではこの4人のステータス的に適性を軽く超えてしまっている。そればかりか、戦闘技術という面でもイリアとレオンの二人は別格であり、負けるわけがないのであった。
こうして、レオンの臨時パーティーによる戦闘は終了したのだった。




