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英雄賛歌 ~元英雄が二度目の世界を再攻略する~  作者: 如月
第二章 英雄、冒険する
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008 達成報告

「お疲れ様です。」

「常設依頼を熟してきました。ギルドカードと薬草です。あと、魔物素材をいくつか。」

「ご確認いたしますね。」


 あのグレーターラッドの群れを倒した後、特に何事もなく街に戻ってくることができた。まだ戦闘をすることは出来たが、群れに遭う可能性はそう高くなく、また帰る時間が遅くなるため切り上げてきた。

 群れが出たことは思わぬ収穫になったけれど、もう一回同じ日に戦うのは嫌だな。意外と群れていると大きいから怖いんだよな。


「……確認いたしました。グレーターラッドが二十一体、薬草が三十二本、鼠の牙が下級一個、中級一個、下級の魔石が四個ですね。クエストの報酬が4250とアイテムの売却額が500の総額4750となります。分け方はどういたしますか?」

「半額ずつでお願いします。ギルドカードに入金お願いします。」

「私もギルドカードにお願いします。」

「承りました。」


 一日2375の稼ぎか。五日働けば11875で一週間の宿泊費は11100。……775の儲け。これでは何もできないではないか。やはり早急にランク上げをする必要がある。

 もしくはギルドの宿泊所だともっと安く済む。ただし、ご飯が付いてこないし、雑魚寝部屋であったり、個室でも浴室が付いていないため浴場を利用しないとならないとかの問題はある。

 あるが、頑張れば7000程度まで抑えられる、かもしれない。逆にその他もろもろの利用料で高くなる可能性も否定できないのも確かであるが。


「ご確認お願い致します。」

「はい、大丈夫です。」

「では、お疲れ様でした。」


 きちんと入金がなされているのを確認して、受付から離れる。+2375の文字は嬉しいものだが、利用額の欄を見るとやるせない気持ちになる。これ、本当に払えるのか……?


「ちょっとギルドボード見て行っていい?」

「大丈夫だよ。」

「受けたいクエストあったら言ってね。出来ればお金が稼げそうなのだと助かるけれど。」


 とりあえず、先立つものが必要だ。もうずっとこんなこと思っている気がするけれど、実際にそうなのだから仕方ない。まずは稼げる仕事を確立する。

 その後でやりたいことに手を出す。そうでないと生活が成り立たないからな。




 ギルドボードの作りは簡素なものであった。木の枠に所狭しと依頼書が張ってあるだけのものだ。依頼を受けている最中の依頼書に関しては、魔法陣の発行がなく、ギルドカードをかざしても反応しないようになっている。

 この時間ともなると発行してない依頼書が大多数を占めており、大体七割程度は依頼が受注済みとのことだった。残りの三割は難易度が高かったり、報酬がよくなかったりで受け得られていないものだ。


「これとかアリスちゃん受けられるかもね。」

「ポーション作成。調薬スキル持ちの募集だね。特殊技能が必要なだけあって、日当は高いね。」

「ね。く~、調薬スキルを持っていたらなぁ。」


 日当6500。今日の稼ぎの三倍近くを一日で稼げるのだ。それもノルマを達成すれば早期退勤可能かつ、ノルマ以上を熟した場合に達成報酬に日当が加算されるという。物凄く上手い仕事だ。代わりにノルマが熟せない場合、減給されるとも記載がある。

 俺が調薬スキルを持っていればそれを二日やるだけで宿泊費一週間分を稼げるのだから、どれほど素晴らしいことか。


「あ、これは?」

「うん?ポイズンスネークの捕獲?生け捕り、か。」

「期限がなくて、先着順三匹までだって。」


 一匹確保すればなんと18000を支給するとか。値段だけ見ると受けたくなるけれど、毒を持つ魔物かつ、生け捕り条件となると難易度が途端に上がる。

 そもそも、生け捕り出来る道具もないし、専門知識もないから基本的に達成できるものではない。どこに生息しているかの探索から始めないといけないため、日当換算すると今の稼ぎよりも悪くなる可能性さえある。

 でも、社会的な意義は強かったりするからな。毒が医療活用される。麻酔にするための道具となるようだ。一匹からとれる毒の量が決まっているから、定期的に仕事が出るとのこと。そのため、貢献ポイントに色が付くという利点もある。


「難しいな。」

「あ、これなんてイリアちゃん好きそう。」

「ん?守護者の修練所の探索?ダンジョンを点検して異常がないか確認するか。たしかに面白そう。」


 ダンジョン内で得たアイテムは拾った者の所有物とする。って一文がいいな。並行してクエストを進行できるわけだろ。一階当たり見て回るだけで1200。異常を報告した場合は規模によってさらに報酬を渡すとのこと。

 ただし、虚偽報告が発覚した場合、罰金及び一定期間の服役が命じられる。とのこと。虚偽報告によりスタンピート、魔物の大氾濫が起きたらまずいからだな。

 まぁ、普通に真面目に熟せば問題ない部類の仕事だな。


「あと、これか。守護者の修練所の魔物討伐。常設依頼であるから、これと組み合わせて受ける感じか。」

「うん。そんな感じだね。受ける?」

「あ~、ランク制限とかないのか?一応、制限事項に記載はないな。守護者の修練所に関して知らないな。」


 責任が重い仕事に関しては多くの場合、ランク制限がかけられているものだが、点検作業に関しては特にランク制限をかけられてはいないようだ。そこは不幸中の幸いではあるが、そもそものダンジョンについて知らないため、判断がつかない。


「守護者の修練所は十階層構成と塔型ダンジョンで、基本的に人型の魔物が出るみたいだね。武器を用いる魔物が出るから、その対処方法を学べるということから守護者の修練をする場所と名付けられたみたい。」

「そうなんだ……。詳しいね。意外と時間はかからないのかな?」

「攻略は平均六時間程度と言われているみたい。点検をするとなると一日では到底回り切れないって言われているね。」


 あ、相変わらず妙に詳しいな。恐るべしチュートリアルさん。いつも助かっております。

 しかし、十階層構成の塔型か。塔の魔物のレベルがどの程度上がるかにもよるけれど、初回で点検を受けて攻略するのはリスクだな。もし点検できないと言った場合に、どうすることも出来なくなるため、ここは下見をする必要があるだろう。


「う~ん。一回下見で行ってみるのもいいかもしれないけど、どう?多分、そこまでお金になることはない気がするけど。」

「私はイリアちゃんについていくよ。」

「分かった。一回下見に行ってみようか。魔物討伐の常設依頼だけ受けておけばいいかな。」

「うん。明日はダンジョン攻略だね。」


 さてと、明日の仕事も決まったことだし、今日はもう帰って寝よう。活動時間はそう長くはなかったけれど、最後はグレーターラッドの群れに襲われたり、そもそも歩き続けていることもあって、疲れた。

 本当ならお酒でも飲んで騒ぎたいところだけれど、お金が、お金がないのです。


 今日の成果

 収入

  クエスト報酬“2375”

 支出

  通行料“100“

 利益・損益

  2375-100=“2275“

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