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英雄賛歌 ~前世の力で今世は楽しみます~  作者: 如月
第一章 英雄、転生する
18/25

018 森の奥

「さて、今日は初心者の洞窟も攻略し終わったことだし、森の奥に入って行こう。」

「うん。森の浅いところは魔物も少ないけれど、奥に行けば強くなるから気を付けないとね。」


 中層に入ると天を茂る木々の葉が太陽の光を遮るが、それでも所どころ木漏れ日が地面を照らし、先を見通せないまでの暗さにはなっていない。

 若干暗くなったものの視界の確保に苦労するようなほどではないし、足場の悪さも前世の経験もあり、特に問題になりそうにもない。


「それでどんな魔物が出てくる感じなんだ?」

「これまで出会っていない魔物は簡単に言うと猪と蜂だよ。一度駆け出したら止まらないラッシュボアと数匹で群れているキラービー。後はスライムとブラックバットだね。」

「へぇ、あんまり強さは変わらない?」

「えへへ、実はそうなんだ。初心者の洞窟の中層くらいのレベルの魔物しか出ないから、特に心配はいらないと思うよ。」


 猪と蜂って、魔物を野生動物で言うなんて。まぁ、魔物も野生動物からの進化とか何とかって王都の偉い人が言ってたし、見た目は丸っきりそれだから間違えではないけれど、なんだか気が抜けるな。

 まぁ、中層のレベルしかないのなら、そうなってしまっても仕方ないか。それにイメージしやすいのは確かだろうし。


「そうなんだ。なら安心だね。」

「うん。」


 そこからは予想通り特に苦労することはなかった。薬草取りをしながら森の中を練り歩き、何の変哲もない会話もしていた。

 これも魔物を一体も見かけないというのが影響しているのだろう。体感では30分程度は立っているだろうが、一度も戦闘になる気配がしない。このまま今日は魔物との戦闘もないかもしれないな。


「あ、猪。」

「こちらに気が付いていないみたいだね。」


 CN―Lv8/100 Race:ラッシュボアLv7/30 Rank:1

 HP 823/823 MP 664/664 SP 411/411

 STR 54 VIT 43

 INT 29 RES 27

 AGI 49 DEX 36


 Skill

  突進


 あ、確かに初心者の洞窟の中層くらいのレベルだな。タイマンでも勝てそうなくらいの能力値しかない。魔法主体とはいえ、最低のステータスでもトントンの最高ステータスでは3倍近いのか。これは負けませんわ。うん。

 流石にレベルが3倍くらいあればこうもなってしまうか。


「“ライトカッター”。」


 CN―Lv8/100 Race:ラッシュボアLv7/30 Rank:1

 HP 568/823 MP 664/664 SP 411/411

 STR 54 VIT 43

 INT 29 RES 27

 AGI 49 DEX 36


 Skill

  突進


 あ、250ダメージ?これ、アリスちゃんとスラちゃんの攻撃で終わってしまうな。それに突進してきても別の魔法があるから、それを打ち込めば到達する前に絶対に勝てるだろうな。

 えぇ?逆に可愛そうになってきた。心なしかラッシュボアの瞳に涙が溜まっているような気がしてくる。


「“ダークアロー”。」

「ぷるぷる。」


 あ、案の定だね。これで終わりかぁ。呆気ないものだったな。そして、ドロップはナシ。渋すぎ。大したお金にもならないし、経験値にもならないな。


「なんだか、気が抜けるな。」

「もう。ダメだよ。何が起きるか分からないんだから。」

「えぇ、でも、これだよ?」


 何も残らない地面を指すと、ただ風が吹き木々をざわざわと揺らすだけで、それ以上の何もない。

 ふっ、俺は強くなり過ぎたのかもしれないな。


「う~ん。薬草取らないと、売るものないよ?」

「まぁ、それはそう。じゃ、魔物は無視して薬草採取だけして帰ろうか。」

「うん。」


 こうして今日の探索は特に何もなく終わったのだ。さぁ、村に帰ろう。


「ぐおおおおおおお!!」


 とはならないのだよね。知ってた。鳥が、虫が慌てたように大きな声から離れようとざわめきたつ。それと同時に木々もまた風に不気味に揺られて、森全体の雰囲気が怪しいものになる。

 さて、これはどうしたものか。前世の俺ならそのまま声の方に一目散で進むのだけれど、今の俺は弱いし、何よりもアリスちゃんがいる。アリスちゃんの方が強いとはいえ、戦場に連れて行きたくはない。

 死んでしまってはそこで終わりだからな。俺だけなら切り札もあるし、何とかなるかもしれないが、分からない。


「急いで戻ろう。」

「え?いいの?」


 あ、あれ?アリスちゃん?君って意外と好戦的だよね。それともイリアさんならそうしていたってことかな?えぇ?よく今まで死ななかったな。

 森全体がざわつくくらいだから、手に負えるかも分からないのに突っ込む気はないよ。流石にね。


「う、うん。危ないからね。戦うにしても一度戻って準備してからだよ。」

「そっか。そうだよね。」

「じゃあ、帰ろうか。」


 こうして事件の匂いがする現場から一時退却して、村へと帰還するのだった。


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