アクシス
そこは、アンティーク調のカフェラウンジのような空間だった。
「おお…」
思わず感嘆の声を漏らす。
「お!おかえりーって新入生じゃん!」
「マージで?今年もいたの?」
「……うるさいんだけど。」
真ん中あたりで何人かの寮生がくつろいでいた。
「ただいまー。」
「そ、俺らの妹。」
「よろしくお願いします!」
なぜか背中をグイグイと兄達に押されながら挨拶をする。
「ほらほら、早く俺らの寮部屋に行くよ。」
「あらいい子。兄貴達とはえらい違いね。」
あはは…と苦笑いを浮かべることしかできない。
「の、前にーはい、部屋に行く前に、その紙を返してもらおうか。」
二人の前に立ちはだかった青年がニコォと笑う。
「「あっ」」
その言葉に二人は忘れてた、とでも言うように声を上げた。
「ごめんごめん。はい。助かったよ。」
「てことは、やっぱりその紙必要になったんだ?あいつら馬鹿にも程があるな。なんで寮長なんてやってんだか。」
ため息をつきながらその紙を受け取る青年。
「さて」
その人が私の方を向く。
「ようこそ、アクシスへ。僕が寮長のグラシアス・エラルドだ。他にも寮生何人かいるんだけど、なんせこの寮自由な人が多いから。そのうち会えると思うよ。」
その言葉を裏付けるかのように、さっきまでいた人達はおらず、じゃ、僕もこれでと颯爽と立ち去っていった。
「よし、寮長に紙も返せたし、俺らの部屋こっちー。」
雪月に手を引かれながらラウンジを後にする。
ドアを開けられ、中を見ると
「えっ?」
オスカの家が広がっていた。
「驚いた?」
そりゃ驚くだろうよ。
ドアを開けたら自宅、なんてピンク色のドアじゃないんだから。
「ど、どしたのこれ。」
震える声で雪月に聞く。
「ん?元々ちゃんと部屋があったんだけど、つなげちゃった?」
なんで疑問系なんだよ。
どう見ても寮の一室改造してつなげてんじゃねぇか。
ここにGATE作り出してどうするよ。
助けを求めて美月を見る。
「…まあ、便利だし。」
あのとき寮があるはずなのに自宅にいたわけが分かったよ。
兄達の節操のない行動に頭を抱えるしかない。
「あ、そうだ。」
もう一つ、兄達には聞きたいことがあった。
「双神てなに…?」
寮分けのときの言葉から察するに、おそらく兄達のことなんだろうけど…。
聞いた瞬間二人がビクッと体を揺らした。
「…雪月頼む。」
「は!?ちょっと!?」
「「……。」」
二人して沈黙するなんて、
そんなに聞いたらいけないことだったのだろうか…。
「〜っ分かった。言うよ。」
美月の方を恨めしそうに見ながら折れた。
「凛月がソウレイに入る前、俺ら、色々とやらかしちゃったんだわ。そのせいで双神なんてあだ名がついちゃったのー。」
やらかしたとは…。
「俺らの新入生試験、迷宮だったのよ。で、そのときに出口まで跳んで最短記録出したり、ランク戦のクエストもすぐ終わらせて、残りの生徒全員倒して俺ら以外測定不能にさせたり。授業サボるのは日常茶飯事だな。それと気に入らない人達ボコすのが日常だったり。あと…」
「待て待て、もういい。」
思った以上にやらかしてた。
あと何をやったんだ。聞くのが怖すぎる。
不良生徒の模範みたいなことしてるんじゃないよ。
「あれ、でもそれ結局それってソウレイに潜り込んだ犯罪ギルドの連中じゃなかった?ランク戦と試験に関しては知らないけど。」
誰かが空中からヒョコッと頭を出して私たちの会話を遮った。
「よ!」
「うわぁー!」
そこにいたのは講堂で私を襲ってきた人である、シエロ・フェーオンだった。




