いや、助けろよ。
ーオスカの自宅にて
「なんか、明日試験あるらしいんだけど」
「あ〜、あれか。新入生試験。」
「今年何すんだろうな。」
チガウ、ソウジャナイ。
「体質の事忘れてません?」
「「あ。」」
あ、じゃないのよ、ねぇ。
魔力が強すぎて天候にまで影響を及ぼすって言ったの誰よ。
君らだよ。
私が新入生試験で問題起こしたらどうすんのさ。
すぎる力は毒だよ?
「え、どうする?」
「どうするも何もないだろう。」
なになに。
美月ならいい案出してくれそうな気がする。
「なるようになれ。知らん。」
…。
美月に期待したのがバカだったよ。
「いや〜、でもみつの言うことも一理ある。」
はあ?どこが。
「りっちゃんはどう考えても無理。俺たちのときでさえ目立ったんだから、その妹ともなれば尚更だし。もういっそこと目立っちゃえば?」
…薄情なツインズめ。
「…分かった。私の体質的なものだし、仕方がない。異常気象が起きたらよろしく。」
こうなったら丸投げだ、このやろう。
だがしかし、問題はもう一つある。
「魔法どうしよう。」
「「あ。」」
「そっちのがやべーじゃん。」
「…忘れてた。」
記憶が戻ったとはいえ、魔法を使っていない期間がなにぶん長すぎた。
つまり、魔法の勉強ができてないわけで。
魔素の感じ方とか、魔素を魔力に変換するとかはわかる。
簡単な魔法は使えるが、到底同学年には及ばない。
威力だけなら優に飛び越えるが。
ここはゼノだ。オスカじゃない。魔法が当たり前の世界だ。
ある程度の魔法なら呼吸をするかのごとく使える。
魔法学校はある程度をさらに洗練させるための場所だ。
オスカにいた私とじゃそもそものアドバンテージがない。
いくら最高級の燃料を持っていようとも、それを形にできる術がなければただの宝の持ち腐れだ。
「やばい。」
「「知ってる。」」
「…よし。」
唐突に美月がつぶやいた。
「俺らが魔法に関してはある程度まで教えられる。凛月と一緒にオスカにはいたが、魔法を教えてくれる人はいたからな。」
神様、美月様、お兄様最高。
「ただ、」
ん?
「俺らの得意魔法が時間と空間ってのを考えろ。」
時間魔法と空間魔法は魔力の消費が激しいくせして、使い勝手が悪い。だから使う人があまりいないし、そもそも習得しようと思う人が少ないだろう。燃費悪いし。
だが、兄達は消費が激しいと言われている魔法をバンバン使う。
しかも使い勝手がいいように二人してアレンジする始末だ。
世間では天才と呼ばれるに相応しいだろう。
さて、ここで問題です。
そんな希少な魔法を誰がこの二人に教えたのかってことだ。
兄達はオスカにも魔法を教えてくれる人はいると言った。
だが、ゼノの人間は相当なことがない限り、オスカには来ない。
オスカはゼノに比べて、魔素が極端に少ない。
魔法を使い慣れた人にとっては、不便だろう。
そのオスカで魔法を教えることができる人。
しかも燃費の悪い希少な空間と時間。
「…まさかとは思うけど、その魔法を教えてくれた人って、人じゃなかったりする?」
「「正解。」」
嘘でしょ。