↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

2 目覚めた。

暗い。

そこはひたすらに暗く、光など一欠片も無く、ただ闇が渦巻いていた。

俺は、闇の中を漂っていた。

一度意識を取り戻してからは、ずっとこの状況。

纏わりつく闇に身体は重く、指を満足に動かす事すら難しい。

(ああ、もう駄目なんだ……)

そんな絶望が身体を支配する。

身体だけじゃ無い、心も、魂までも闇に囚われ、全てを諦めそうになって……

そ(・)れ(・)は来た時と同じく、唐突に終わった。

(え……?は?え⁉︎)

視界の端から闇が崩れるように消え去っていく。

光がある。その事実に心が躍り、安堵して、気が抜けたのか、俺はまた意識を失った。


◆◇◆


頭に伝わる固い感触に、俺は目を覚ました。

軽く節々が痛む程度で、外傷は無い。服装はあの時の制服そのまんま。腕時計は、デジタル表示が真っ暗になっていた。少し土が付着しているものの、服装には特に問題は無い。


隣を見ると、黒い短髪のガタイの良い少年と、銀がかった黒の長髪が印象的な細身の少女。琥太郎と慧音だ。二人ともまだ眠っているが、特に外傷は見当たらない。幼馴染2人が無事だった事に、安堵する。


周囲はフカフカの落ち葉と苔が積み重なり、鬱蒼と木々が生い茂っている。

「マジかよ、どこの森だ?ここは……。そもそも、あの闇は一体……?」

場所を知るにも時間を知るにも、俺一人では知識が足りないし、探索など、したら必ず迷う。

後は、最(・)悪(・)の(・)可(・)能(・)性(・)も考慮した方が良いか?

(ま、有り得ないけどな、そんなの。)

……兎に角、こいつら(琥太郎と慧音)を起こさなければ何も始まらないだろう。

そう考えた俺は、早速こいつらを叩き起こしにかか……

…ろうとして。

「おい、貴様ら。そこで何をしている?」

唐突に背後から聞こえた声に、凍りついた。


慌てて振り返ると、そこには不気味な男が立っていた。

銀の長髪に、長身痩躯。不自然な程に白い肌を黒い外套に包み、真紅の目は鋭い眼光を放っている。

「もう一度問おう。貴様ら人間が、何をしている?」

「……俺たちは、気づいたらここで寝ていました。貴方がたに害意はありません。」

「貴様ら、自分が転移者(トリッパー)とでも?……そんな嘘を我が信じると思うか?」

「そのトリッパー?とやらが何かは判りませんが……、僕が今言ったことは真実です。嘘偽りはありません。」

男の眼光が急に鋭くなる。うわぁ、睨まれてる!めっちゃ睨まれてる‼︎怖っ!

「……そうか。どうやら真実のようだな。疑って済まなかった。…ただし、この森は我らの領域だ。変な行動は起こすなよ?」

あれ?意外とすんなり?

「……分かりました。大人しくしておきます。」

「感謝する。……そうだな、貴様にこれを授けておこう。きっと貴様の役に立つであろう。」

そう言って、彼は懐から林檎のような実を取り出し、俺に投げた。

「それを食え。貴様なら、その力もモノに出来るであろう。」

「は、はぁ……では、頂きます。」

「それでは、我はこれで失礼する……くれぐれも、変な行動は起こすな。」

そう言って、彼は消えた。

「消えた……。何だったんだ、今の……。」

突如現れたかと思えば、林檎を残していきなり消えた。

……自分の中で確率を増した最(・)悪(・)の(・)可(・)能(・)性(・)を無視するように、俺は2人を起こしにかかった。


◇◇◇


「本っっっトに済まん、刀鵺‼︎」

「ごめん、とーや……マジで、ごめん……!」

「ウンダイジョウブダヨー。チットモオコッテナイヨー。」

うん。こいつら、寝起き最悪だった。すっかり忘れてた。

でもさ?限度ってものがあるよね?まさか起こそうとしたら腹パン×2とか想像して無いわけでして?

「よし!今後の行動だったな⁉︎さあどうしようか?」

パンパンと、琥太郎が手を叩きながら言う。

こいつらの母さん、大変だっただろうな……。


「……話合いの前に、伝えておくことがある。」

そう前置いて、俺は先程の男について話す。

「……その、林檎?ってここにあんのか?」

「ああ、これだよ。……どうかした?」

「……とーや、試しにそれ、食べてみて?」

「俺も慧音に同意する。それを渡されたお前が、食ってみんのが一番だろ。」

「怖いな……。まあ、分かった。」

そう言って、俺はその実にかぶりついた。


◆◇◆


「ああ、これで全部が終わった」

「後は、彼を蘇生するだけ……」

「……っ‼︎魔力が、足りない⁉︎そんな……」

「そうだ。彼に私の力を注げば、きっと……」

「お願い。彼を、助けて。『知識(ダアト)』」


◆◇◆


「がぁ⁉︎……俺は、一体……?」

「とーや‼︎やっと起きた……。大丈夫?何があったの?」

「大丈夫だ……。何か、女の人の、記憶?みたいなのを見ていた。…あの実は、どうなった?」

「お前が一口齧った後、光の粒子みたいになって……お前の体に、吸い込まれていった。お前が気絶したのは、その直後だ。」

「そうか……。一体何だったんだ、あれ……」

「俺らにも、分からん。それでだ。お前が倒れた後、こんな手帳を見つけたんだが……」


琥太郎が差し出した、その手帳には。


「どーもここ、マジの異世界らしいよ……」


ここについての詳しい情報。

ステータス、魔法、スキルetc……の情報を見る度に、


(マジかよぉぉぉ‼︎当たっちまったじゃねえか、最(・)悪(・)の(・)可(・)能(・)性(・)‼︎)


やはりここは異世界だと思い知らされ、俺は涙を流した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。