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96 難しい事

誤字報告いつもありがとうございます。

 翌朝、朝食を済ませるとそのままダンジョンへと向かう。すでにこの行動もルーティン化してきてるよね… ああ、一応不在時に元宮廷魔術師団の人達が返答を持って訪れてしまった時のために、宿には15日前後で戻る事を伝え、来客があればその旨通達してもらうようお願いしておいた。

 まぁね、クローディアからとはいえ割と偉そうな提案だっただけに、言いたい事だけ言って行方をくらますかのような真似はどうかと思ったのだ。もう一つの懸念である勇者関係の人達も俺達が使っている宿に辿り着く可能性もあるが、まぁ優先順位は元宮廷魔術師団の方が高いからいいだろう。


「さて、今日のお供はどうする?」

「では午前中は私が主につこうか。グレイとアイシャでケルベロスの方を狩りつつ、午後の護衛を決めるがよい」

「ふむ… じゃあ午後からは俺がご主人につこう。そして今日の俺はコカトリスを狩るぞ」

「え? じゃあボクは?」

「アイシャは100階層でケルベロスを狩るが良いだろう。待ち時間に余裕があればオルトロスも狩っておけば、俺やクローディアとのレベル差もだいぶ減るだろう」

「なんじゃグレイ、コカトリスの肉は1人占めするかのような勢いじゃったがどうしたのじゃ?」

「いやなに、昨日はつい勢いで言ってしまったが、やはりギルドには貸しが多い方が良いと思ってな。あの肉数個で貸しが作れるとなれば、やっておいて損は無いだろう」

「ほぅ?」


 クローディアはニヤニヤしながらグレイを見ている。

 まぁぶっちゃけ俺もちょっと驚いているよ! だってグレイは戦闘以外ではあまり気を使わないタイプだったからね。まぁこれで勇者関係は好きなだけ殴れと言えば、こんな回りくどい事は考えなかったんだろうけど即戦闘はダメだと言ってあるからな… グレイも色々と考えているんだと少しほっこりした。


 そんな訳でアイシャだけ100階層に直行し、残り3人は80階層へと転移する。俺とクローディアは戻るようにボス部屋に向かうがグレイは81階層へと姿を消した。


「しかしグレイがの、戦闘を回避するよう動くとは… この数ヶ月で精神的に成長したと見えるな」

「ああ、ちょっと驚いたよ。でも在庫から出すと言わないあたりがグレイっぽいけどね」

「まぁの、自分が食べる分は減らしたくないのじゃろう。では、私達も昼までは狩りに専念じゃな」

「ああ。リポップ待ちの時間でアイアンゴーレムも少し倒しておきたい」

「任せるのじゃ」


 鉄も在庫は結構あるとは思うんだ… ただポイポイと収納しているせいでどれくらいあるのかは不明なんだ! じゃあ一度出して数えればいいじゃんて思うだろ? 面倒だ!

 最近鍛冶屋に用事を足しに行くと、なぜか支払いは鉄で良いと言われるんだ。こちらも物々交換で済むなら有難い事だから受けてはいるが、いざという時に在庫切れなんて切ないからな。



 クローディアが放水してから雷撃を使い、ゴーレム達をボコボコにしているのを眺めながら考える。

 元宮廷魔術師団が俺の下につく? ついたとすればどのように行動する? 元々魔境とか魔王とか絶対に関わらないと思っていたのに、むしろ俺達で倒した方が今後のために良いとかね…

 それで顔を潰しただの勇者サイドからクレームがきそうではあるんだが、魔王討伐が成功してしまえばその功績は多大なものになるだろうし、俺達の強さをアピールできる事にもなる。


 まぁその魔王と呼ばれている存在… 実は誰もその姿を見たことは無いと言われているが、魔境に潜む屈強な魔物達を従えている最強の魔物だという事だが… どれほどのものなのかが分からない。俺達でどうにかできる強さなのか、ケルベロスほどの強さであれば心配する事無く突撃できるんだけどなぁ。

 やはりそうなるとクローディアの言う通り、こちらも相当な人員が必要になってしまうな。

 大勢の人員がいるならば、まぁ食べるものは俺がハンバーガーを出せばいいけど他の… 装備とかその辺を用意するためのお金が必要になる。もちろん魔術師団の中には家族持ちもいるだろうから、それらを養うために支払う給金は無いとダメだ。

 金策するには倒した魔物から素材を回収し、輸送して換金しなければって事になるよな。つまり俺達と元魔術師団だけでは足りないという事になる。

 解体できる者、輸送のための馬車を操れる者、荷運びするための力自慢とかも集めなきゃいけない。


 元とはいえ宮廷魔術師団はどうしても、イメージ的に力自慢はいないだろう。とても魔物を運んだりはできそうにないんだよな… まぁ偏見ではあるんだけど。

 となると、結構大きめな組織を作らないといけなくなるのか? まぁ魔王を倒すとなればそれも仕方のない事かもしれないが…


「どうした主よ、不機嫌そうな顔をしておるぞ」

「お? そんな顔をしてた?」

「うむ。何か考えごとかの? まぁ想像はつくのじゃが」

「まぁ魔王の事をね… どうしたもんかと」

「確かに難しい事じゃの、魔境についての情報集めやいろんなことを考えねばいけん。じゃがそれも魔術師どもの返事を聞いてからでも遅くは無いと思うのじゃ、最悪私達4人でもどうにかなるかもしれんしのぅ」

「そうかもしれないけど、そうなるとどうしても負担が増えすぎるだろ。だけど少人数ならそれこそ貴族連中にたかられるんじゃないかと思ってね、権力を使ってさ」

「そうじゃのぅ… やはりある程度の組織でないと飲み込もうとしてくるじゃろうな。どこか大きな組織… 冒険者ギルドなんかと提携が出来れば言う事は無いんじゃが、少なくとも魔境の近くにあるナイトグリーン支部は勇者についとるじゃろう。

 素材を売るにも遠くへ輸送せねばいけんのぅ。主の収納があれば輸送そのものは楽かもしれぬが、移動に時間を取られるのはどうにかせんと」


 まぁなんだ、問題が多すぎだな! いきなり魔王をやっつけるぜ! とかなってもやはり組織立った行動をしないと後には続かない。冒険者ギルドのナイトグリーン支部がぶっちゃけ邪魔だよな!


「とにかくアレだな! ガラハド氏の返事を聞いてからだな! 仮にも魔術師団長だったんだ、そういった大人数の運用に詳しいかもしれないし」

「そうじゃの。とりあえずグレイの剣が出来るまで、素材集めをしようではないか。資金集めにもなるしの」


 結局考えるのを放棄し、ただひたすらゴーレムを狩るのだった。

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