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87 報告

誤字報告いつもありがとうございます。

「その隊長が子爵の次男でな、子爵家程度が家名を使ったところでギルドには問題は無いんだが、警戒はしておいた方が良いぞ」

「警戒って何をすればいいのだ? 殴っても良いのか?」


 おいおいグレイ、子爵っていうのは貴族の事だぞ? 殴ったらダメでしょうが。


「やるんなら決闘にしとけ、あれなら貴族であろうと殴り放題だぞ。しかもこの街から遠いナイトグリーン王国の貴族家だ、この国で決闘するとなっても兵は集められんから大丈夫だ」

「ふむ、そうか。今は何人で来とるのじゃ?」

「10人程度だったと思う、腕の方は良く分からんがな」


 あれ? クローディアまで参戦してきた?


「10人程度であれば私1人で足りそうじゃの、護衛にアイシャを侍らせておけば問題は無いじゃろう」

「なんだと? クローディアが出るまでもないぞ、前衛の俺が10人程度薙ぎ倒してくれるわ」

「いや待てって。なんで戦う事が前提になってんの?」

「む? だって貴族なのじゃろう? 貴族というのは何でも思い通りになると信じ込んでいるガキじゃからな… 恐らく力尽くでって事になると思うがの」

「うむ。しかもダンジョンに入るために兵を連れて来てるんだろう? だったらその兵を使って決闘をしてくるだろう、返り討ちになるとは知らずにな」

「えぇ~…」


 まぁ貴族とやらには良いイメージはないけどさ… 古い映画とか小説でも悪行の限りを尽くすかのような印象はある。偏見だと思うけど日本でも悪代官と越後屋の例もあるしな… 山吹色のお菓子が大好きなのだろう。


「それとな、移民とは違うんだろうが別の街から大量の魔術師が入り込んできている。受付を済ました人数だけでも80人ってところだが、まぁこちらはある程度の礼儀は知っている感じがあったから問題は少ないだろうが、一応気を付けておいてくれ。

 そうだ、今日はミスリルを買取りできるぞ! インゴット5個までだけどな!」

「そ、そう? じゃあ5個置いていくよ。こっちも報告があるんだけどいいかい?」

「お? 面倒な事か?」


 ギルドマスターの顔が嫌そうにしている… しかしこれは面倒事ではないよな?


「なんて言うか、リャンシャンのダンジョンクリアしちゃったんだよね。最下層は100階でボスはケルベロスだったよ」

「ほうそうか… え? クリア?」

「うん。No.21 Cランクダンジョンだと石碑に書いてあったよ」

「なんだとおおおおおおおおお!!!」

「うおっ!?」


 机を両手でバンと叩きながら立ち上がるギルドマスター、これは驚いている感じだな? まぁ最高到達点が60階層そこそこだったダンジョンが、俺達が到着して数ヶ月もしない内にクリアなんて聞かされればこうなるのも仕方ないかも?


「ちょっと待ってくれ。つまりなんだ? お前達のパーティはたった4人で100階層までクリアしたというのか?」

「そうだけど」

「ううむ… まぁたった4人とはいえすでに80階層のボスですら周回して素材集めができていたからな、まぁ分からんでもない事か。しかも石碑があったとなれば間違いは無さそうだな。

 それで? 当然石碑に触れてみたんだろう? 何があった?」

「ああ、全員で触れてみたら【剛力】というスキルを全員にもらえたよ」

「【剛力】だと? 近接戦闘をする者にとっては喉から手が出るほど欲しいスキルじゃないか! クソッ、こんな事なら俺も連れて行って欲しかったぜ」


 おいおい、さらっと自分の欲が漏れているぞ。


「今の言い方だと、石碑に触れられるのは初回限定なのか?」

「ああ、そのダンジョンを一番最初に踏破した者達だけが得られる名誉だ。過去にも数例あるが、どれもFランクダンジョンだからか、戦闘スキルじゃない場合がほとんどでな… まぁそういう事だ」


 ふむ? 戦闘スキルじゃないっていう事は、支援系とか生産系のスキルだったって事かな? まぁ無いよりは良いんだろうけどダンジョンに入るような人にとっては残念無念な結果だったんだろう。知らんけど。


「それでだな、90階層以降に出てくるオルトロスという魔物のドロップで毛皮があるんだけど、買い取るつもりはある?」

「む? いや、そういった物は実物を見てみないと何とも言えんぞ」

「品質そのものは極上だと言っていいレベルだね、まぁケルベロスの毛皮の方が上だけど。俺達が使う用の毛布はすでに注文してきたから、残りは売っても良いなって思ってるんだけど」

「ほぅ? 極上ときたか。まずは物を見せてくれ、話はそれからだ」


 まぁその通りだな。とりあえずオルトロスの毛皮を1枚出してみて、存分に検分させよう。


「うおっ!? なんだこの手触りは! 毎日手入れをしている馬の尻尾よりもふさふさじゃないか! これで毛布を… 良いかもしれないな」

「街にあった店で、毛布1枚作るのに毛皮2枚だと言われたよ。店の人も驚いていたね」

「ふむ。しかしこれはちょっと他のギルドと相談しないと値段は出せないな… 90階層以降に出る魔物というのも付加価値になる、平民の手が出せないレベルになるかもしれないな」

「まぁそれはね… さすがに物価についてあれこれ言う立場ではないから言わないけど」

「ともかく時間をくれ。ああ、この毛皮は預かってもいいか?」

「それは構わない。これで報告したい事は全部だ、戻っていいかい?」

「分かった。ミスリルはいつも通り受付にいる奴に言ってくれ」

「はいよ」


 ふぅ~、なんだかんだと時間がかかったからそろそろ昼飯時かな? アイシャがモジモジしているから多分そうなんだろうな。


「アイシャ、もうお昼か?」

「はいっ! お腹が空きました!」

「せっかくだし今日は太陽を浴びながら外で食べようか、グレイもクローディアも日光浴は大事だと思うよ?」

「私は別に、日光が苦手というわけではない。ただ何かを書いたり本を読んだりすることが多かったから、必然的に室内にいる事が多かっただけじゃ」

「俺はそうでもないぞ、戦場はダンジョンだけではなかったからな。奴隷に落とされてからは見世物になる事が多かったから、地下牢とかにいる事が多かったのは確かだが」

「じゃあのんびりしようぜ! なんなら街の外に出てもいいくらいだ、どうせこの辺に出る魔物なんて敵じゃないだろ?」

「当然じゃな。そんなもの、見つけ次第遠距離からマジカルビームの刑じゃ」


 勝手にインドア派と決めつけていたけどそうでもないらしい。まぁ完全にピクニック気分になってしまうが、ダンジョンばかりだったしたまにはいいんじゃないかな。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 こっちから仕掛けるかはさておき、歴然とした『差』を見せつけて黙らせるというのはアリかもですね。格下、しかも他国の人間と変わらん奴等に無条件に頭ごなしに命令される謂われ…
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