77 自由行動
誤字報告いつもありがとうございます。
あれから8日が経った、ダンジョン入りしてから15日目だね。8日もかけたのに実はまだ95階層なんだよね… まぁマッピングしながらだからという事もあるけど、90階層以降ワンフロアが随分と広がっているんだよ! もう気のせいなんかじゃなく、明らかに広がっているんだ。
まぁ? オルトロスのような機動力のある魔物が跋扈するフロアだから、それ用に誂えてあるのかもしれない。
「あったぞ、階段だ」
「ようやくか… ちょうど良いし休憩にしようか」
「うむ」
96階層へと降りる階段が見つかったが、腹の減り具合から察するにそろそろ昼が近いだろう。96階層の途中で休むより多少早くても魔物の出ない場所の方が気も休まるだろう。
「主よ、毛皮の方はどのくらい集まったのじゃ?」
「そうだな… 大体12~3枚ってところかな」
「ふむぅ、ドロップが渋いのぅ」
「本当だよね… ぶっちゃけ討伐数ってだけなら100や200じゃないもんな… それでもそこそこ集まったとは思うが」
「それだけ希少だという事だろう。だが安心しろご主人、俺がいくらでも狩ってやる」
「ボクも! ボクも狩るよ!」
「ああ、頼りにしてるよ」
どうもグレイとアイシャにとってはオルトロスは相性がいいらしく、コカトリスの時よりも喜んで飛び出していくんだよ。おかげでクローディアに出番が回ってこなく、クローディアの方が何やら不機嫌オーラを発しているくらいだ… どこかで発散させてやらないといけないかもな。
「よし、時間が中途半端だし今日はここで泊まりにしようか。昼食後から夕食までの時間は自由行動にするから狩りでも休むでも好きにすると良いよ」
「む? 本当か? では俺は狩りだな」
「ふむ、そういう事なら私も狩りに出ようかの。魔法を使う暇が無くて魔力が溢れそうじゃからの」
「一応言っておくが無理のないようにな? 怪我とかは極力しないように」
「ご主人様はどうするの?」
「俺か? 俺はちょっとのんびりしようかなと思ってる。だから俺の事は気にせず狩りに出て良いんだぞ」
グレイとクローディアがすごい勢いで昼食を食べ始める… ダンジョン探索するには夕食までの数時間というのはあまりに中途半端だから、少しでも多く時間を作ろうとしているのだろう。まぁ微々たるものだと思うんだけどね。
「では夕食の頃には戻ってくる。アイテム袋はクローディアが持つと良い、エルフだと荷物を運ぶには非力だからな」
「ほぅ? 少々癪に障る言い方じゃが確かに間違ってはおらん、私が預かっておこう」
「ご主人、鞄を一つ俺に持たせてくれ」
「あいよ、壊さないようにな」
「うむ、では行ってくる」
「主よ、私も出る」
言い終わると同時に2人は走っていった。しっかしそこまで戦いたいかねぇ… まぁ2人共戦闘狂だから仕方のない事なのかもしれない。
そして…
「アイシャは行かないのか?」
「ボク? ボクはご主人様の護衛をする!」
「ん? 休むにしてもバリアで囲むから大丈夫だぞ?」
「一緒にいるの!」
「お、おうそうか。じゃあ軽く昼寝でもして、起きた時間次第でその辺見て回るか。2人が狩り残したオルトロスがいるかもしれないしな」
「はいっ!」
ダンジョン内でここまでのんびりする事は今までなかったが、まぁたまにはこんな日があっても良いだろう。勢いでここまで来ちゃったけど俺個人としてはそろそろ休みが欲しかったから…
こうして俺は昼食を取るために作った陣地にて、昼寝を敢行するのだった。
SIDE:ゴーマンレッド王国、国王
「おい、近頃異世界人捜索の報告が来ていないのだがどうなっておる! 魔術師団長はどうしたのだ!」
「はっ、確かに最近登城しておられないようですね… 私も近頃姿を見かけておりません」
「全くいつまで時間をかけるつもりなのだ! 大至急来るよう通達しろ! これは王命だ!」
「はっ!」
どいつもこいつも使えぬ者ばかり、少しはこの儂の役に立とうという者はおらんか! 隣国に調査に出ていた者の話では、魔境への支援をどんどん強化していて攻め込むには今が好機との報告も来ている。
しかしだ、簡単に攻め込むというても我が国には戦力が足りぬ… それを期待していたというのに全く異世界人め、どれほど金と時間をかけたと思っておるか!
まぁいい。とりあえず現状の戦力でどうにかできないか各師団長の話を聞かねばいかぬ… 騎士団長も呼ばなくてはな。
ワインを飲みながらどう侵攻すべきか考える。あまりにも盛大に攻め込んでしまうと隣国だけではなく、それ以外の周辺国からも非難が殺到するだろう。出来ればさり気なく侵攻し、アキナイブルーの連中を悪者に仕立て上げた話をでっちあげて他国の干渉を封じないとな… まぁその辺の事は騎士団長にでもやらせればいいだろう。
「陛下! 大変でございます!」
「なんじゃうるさいな、死刑にするぞ!」
「も、申し訳ありません。ですが大変なのです!」
「何が大変だというのだ」
「それが魔術師団の詰め所へ向かいましたところ… 詰所には誰もおりませんでした!」
「それがどうした、魔術師団には異世界人捜索の人を任せておるから誰もおらんでもおかしなことではないだろう」
「いえ、それが詰所の中は埃が溜まっており、魔術師団に支給していた各種装備だけではなく備品まで無くなっていたのです。まるで引っ越しをした後のような」
「なんだと!? 師団長はどうした!」
「先ほど師団長の自宅に人を走らせております、その者が戻ってくれば詳細が分かるでしょう」
「何たることだ! あれだけ目をかけてやったというのに装備品や備品を売り払ったというのか? 見つけ次第儂の前に引きずり出すのだ!」
「はっ!」
何たる事… そこそこの給金を出してやってるというのに国の備品に手を付けるとは、何たる無作法者めが! 言い訳次第では家族もろとも処刑してやろう。
ふむ、どうせ処刑するのであれば平民のゴミ共に祭りを提供してやろうかの… 公開処刑、それも火あぶりにでもすれば民衆は喜んで見物にくるだろう。
ガハハ! 何ならこの儂自ら首を斬り落としても良いかもしれんな、ゴミ共も儂の力に慄くだろう。
よし、儂の秘蔵の宝剣でも出しておくか。きっと良い余興になるだろう。




