46 新たな食材?
誤字報告いつもありがとうございます。
「グレイよ… まだ81階層の魔物を確認してもいないのに何を言っておるのじゃ」
「仕方が無いだろう、せめて数時間で合流できる場所にいないとご主人の飯にありつけんではないか」
「それは… そうじゃのぅ」
「しかもご主人のバリアが無ければ俺1人では寝る事すらできんではないか!」
「おお、そういえば…」
おう、そうだった忘れてたよ。本来は見張りを立てて交代で休むんだっけ… 確かにこれだけ深い場所にいて1人で寝ろなんて無理だよね。
「ではまず全員で80階層に転移し、一度81階層を見るしかないじゃろうな。さすがにグレイ1人で見て来いとは言えんからの」
「そうだな。ミスリルの収集はとりあえず後回しにするか」
そんな訳でやってきました81階層。前回は80階層をクリアした時点で地上に戻ったのでここからは初見となる… 一体どんな魔物が潜んでいるのやら。
「俺としては獣や虫、爬虫類系であれば問題はない。金棒が使えるからな」
「まぁね。ゴーレム相手に金棒はちょっとね、壊れるだけだもんな」
そんな訳で移動を開始。到着後、早速81階層を覗く事に…
「ん! 2本足で硬そうな爪がありそうな魔物が歩いてるよ。なんとなく足が速そうな感じ?」
「おお! 2本足といっても足が速そうな魔物であればゴーレムではないだろう。アイシャよ、よくやった!」
「えへへ!」
すごいもんだ… アイシャの索敵は俺には聞こえないような足音まで拾い、2本足とか4本足とかまで分かるみたいなのだから。
「一応アレだな、4人で見に行ってみようか。俺達もこのフロアに出る魔物を知っておいた方が良いだろうしね」
「そうじゃの、それには賛成じゃ。せっかくじゃし82階層への階段を探すところまではやってから80階層に戻ろうかの」
という事で探索スタート! まずはアイシャが感知した足音の方に向かおう。
しかし2本足で足が速そうと言えばどんな魔物がいるんだろうな… ゲーム的な知識で考えるとレッドキャップとか言われるゴブリンの亜種とか? アレはゴブリン版のシーフとかそんな感じだったよね? でも硬そうな爪を持ってるかもとか言ってたし… うーん予想がつかないなぁ。
お、先行していたアイシャが魔物発見の合図を送ってきたね。足音を立てずに静かに戻ってくるアイシャ、それと入れ替えに前に出るグレイが大剣を構える。そして暗がりの向こうからカツカツと足音を出して魔物のシルエットが見えてくるが… あれは一体?
「むむ? あれはまさか、コカトリスではないか?」
「コカトリスだと? 石化すると言われるアレか?」
「恐らくな… 私も話で聞いた事しかないのじゃが、あの風貌はコカトリスで間違いないじゃろう」
「ふむ… 確かに石化は恐ろしい攻撃だが当たらなければいいのだろう? この天井の低い通路であれば飛べない鳥など物の数ではない」
あれがコカトリス? 俺の知ってるコカトリスは石化ガスとか吐いてきて、相手を石にしてしまう恐ろしい魔物だったはずだ。ゲームのように4人パーティとかでやっていれば1人石化されたとしてもフォローできるけどソロだとまずくない?
「よし、まずは小手調べだ。全員下がっていろ」
グレイがそう言い残してコカトリスに向かって猛ダッシュ! コカトリスの方もこっちに気づいて翼を広げながら威嚇をしているが… どうなる?
「おうりゃ!」
ガツン!
コカトリスの頭部に向かって振り下ろされたグレイの大剣… 思いっきり脳天にヒット! しかし頭部が相当硬いのか、斬れずに殴打されたかのように地面に突っ伏して倒れるコカトリス。
「むんっ!」
倒れたコカトリスの首元に追撃の剣戟! 今回は半分ほど斬れて、残りの部分を折った感じになる。
その一撃がとどめになったのか、次第にコカトリスはダンジョンへと吸収されていきドロップが残った。
「ふむ、ドロップは嘴と爪だな。これは何かに使えるのだろうか」
「どちらも薬の材料になると聞いた事があるのぅ。高級品のはずじゃ、残さず持ち帰ろう」
「しかし立派な爪だな… 確かにアイシャの言う通り硬そうな爪だったな」
「ボクは聞き間違えはしないよ!」
なんともあっさりとコカトリスが片付いてしまったな…
しかしこれはグレイだから簡単に倒せたのであって、俺ではとてもじゃないが無理だろうな。だって姿形は普通の鶏に酷似しているが、体高は俺よりも高く2メートルはありそうだったし尾羽があるはずの部分が尻尾のような蛇だったんだ! アレは見た目が超怖いね! 石化もあの蛇が担当するんだったっけ? よく知らないが。
「それでどうじゃ? グレイよ」
「うむ、コカトリス程度であれば問題はないな」
「そうか。では予定通り階段を探しつつコカトリス以外にも魔物がいるのかどうかを調べようか、無駄に硬そうでなければグレイ1人を残しても問題は無さそうじゃしの」
コカトリス程度ですか! ここは81階層だよ? この街を拠点にしている冒険者ですら辿り着く事の出来ない領域だというのに… さすがはオーガといったところかね。
その後もアイシャが斥候を担当し、グレイが前衛で後ろに俺が立ち、クローディアがマッピングをしながらの探索が続いた。
しかしどうやらこの階層に出る魔物はコカトリスのみのようで、違う魔物の姿は無かった。そしてコカトリスのドロップは嘴と爪だけではなく、なんと肉まであったのだ! ゴロンと結構な重量がありそうな肉塊… しかし見ただけで上物と分かってしまう脂のノリ… 旨そうに見てしまうね!
「ご主人よ、この肉はギルドに売らずに取っておいてはくれないか?」
「ん? 食いたいのか?」
「うむ…」
「それは構わないけど、誰か調理できたりするの? 俺はあまり得意じゃないんだけど」
「大丈夫だ、塩をふって焼けばどんな肉でも食える!」
いや、それはそうなんだろうけどね? ちょっと、アイシャまで頷くなよ!
「では一番大きい鞄をグレイに持たせようかの、こっちは主がいる以上鞄は必要無いからの」
「どうせなら2個ある鞄を全部くれ、狩り尽くしてくれる」
「ほどほどにの。しかし生肉がドロップするのであればアレじゃの、合流は頻繁にやった方が良いかもしれんな。腐ってしまってはもったいないしの」
「飯時の合流だけで大丈夫じゃないか? さすがに半日程度で腐ったりはしないだろう、ダンジョン産だからな」
「それもそうじゃの」
「ご主人の出すハンバーガーには明らかに劣るだろうが、出会う事すら難しいとされるコカトリスの肉は食っておきたいからな」
なるほど、食欲に支配されていたかグレイよ。




