33 ギルドマスター
誤字報告いつもありがとうございます。
「それで? その殴られた奴は誰だい? 3000万ゴールドもかかるような怪我をしたんだろ?」
「うるせぇ! そこのオーガの顔を見るのも怖いからってチームハウスで休んでいるんだよ、治療だって教会で治癒魔法をかけてもらったんだから3000万くらいするのは当たり前だろが!」
うーん、こいつはアレか? 声の大きさでゴリ押しするタイプだな… 大体20階層で狩っていない俺達がそんな事ができる訳がないっていうのに、説明したって聞き分けたりはしないだろう。
「主よ、ここはズバっと力尽くで良いんじゃなかろうか。こんな奴に何を言ったって時間の無駄じゃと思うがの」
「そうなんだよなぁ… まぁ面倒だけど言葉で攻めれる限界までやってみるよ、関係無さそうな冒険者も結構いるみたいだから」
「ほぅ、では黙って控えておくかの。動いて良いならすぐに言ってくれ」
「その時は頼むよ」
そして俺は文句を言ってきた青い髪の男と赤い髪の男に向き直す。
「しかしだな、あんたの言う大怪我って本当の事なのか? 証人がいるっていうけど、まずその怪我人を出して来れば証拠として使えるんじゃないか?」
「ああ? なんだてめぇ、俺達が嘘を吐いてるというのか?」
「だって嘘だろ。そもそも俺達は20階層で狩りなんかしちゃいない、その証拠に俺達が集めてきた魔石を見たらわかるだろ? ねぇ受付さん」
「そうですね… 持ち込まれた魔石はどれも40階層以降の… あ、50階層のボスの素材もありますね!」
「そう、20階層程度の魔石なんてどうでもいいんだよね」
「うるせぇ! 俺達がそうだと言えばそうなんだよ! 怪我人はすでに教会で治したって言ってんだろ、お前は黙って金を払ってりゃいいんだよ! もちろん足りない分はそこにいる奴隷達で賄うつもりだけどな!」
ああ、もしかしてそれが目的だったのか? まぁグレイは見ただけで強そうだってわかるしクローディアは耳が大きいからエルフだってのも一目瞭然、アイシャに至っては狐人族そのものが希少らしいことを聞いたしな… まぁだからといって譲る気はないけどな。こちとら大学でいろいろと揉まれてきたんだ、こんなバカな連中に弁で負けるわけにはいかないぜ!
「じゃあアレだな、その教会に行って確かめてこようじゃないか。本当に3000万ゴールドもする治療をしたのかどうかをね。もしあんたらの言う事が本当なら、教会の人が証言してくれるぞ?」
「それは良い考えですね! 私達冒険者ギルドも教会とはあまり付き合いはありませんが、確認を取ることくらいなら出来ますよ!」
「なるほど、ではお願いしても?」
「はいっ」
「いや待て待て待て! ギルドは関わるなって言っただろうが! 俺達が仕切るってよ! 余計な真似をしてんじゃねーぞ!」
「何を言ってるんですか? 良い機会じゃないですか、あなたの言い分が間違いないって証明するためのチャンスですよ?」
「うるせぇ!」
おっと、事前にギルドに手回しを… というか、なんという杜撰さ… よくこんな作戦で動く気になったもんだな、それとも今まではこれで上手くいっていたのか? まぁ数の暴力に屈する事は良くあるからな。
「もう我慢ならねぇ、こうなりゃ本気でやってやんよ! 後悔しても知らないからな!」
「なんだうるさいな、それで何を後悔するんだ?」
「うぇっ!? ギルドマスター… 隣町に行っていたんじゃ?」
「ああ、馬鹿が盛大に犯罪をしでかしそうだって連絡がくりゃ大急ぎで戻ってくるに決まってんだろ! よしお前ら、一から順番に説明しろ」
おおう、突然現れたマッチョゴリラ… いやいや、筋肉質のおっさんがここのギルドマスターなのか? 話し合いが似合うタイプではなさそうだけど大丈夫なのか?
「主よ、いやぁなかなかに弁が立つではないか。確かにあれだけ言われれば、もう場を壊して逃げるしかないからの」
「いやぁアレはあいつらが馬鹿すぎると思うけどね… ところでギルドマスターって信用できると思う?」
「まぁ大丈夫じゃろ、筋肉だけでは務まらんと思うしな… 多分じゃが」
「おいおい…」
こうして突然始まった茶番劇は終息していくのだが、さっきの青と赤の髪の奴らが作っているグループ… まぁ良く聞くクランとかいう感じなのかな? まぁその連中は冒険者の中でも札付きの半グレで、人数も結構いるとの事だ。一部の冒険者が緊急依頼としてそいつらの捕獲に向かい、俺はというと…
「ほぅ… この辺じゃ見ない髪の色だな、どこから来たんだ?」
「東京だけど、知ってるかい?」
「むむ? 聞いた事のない名だな… 詳しく聞けるか?」
「いや、悪いけどここで話す気はないよ」
そう、冒険者ギルドの奥の部屋にてギルドマスターとご対面をしているのだ。
「まぁそれはさておき、今ギルド員の者が教会に確認に向かっている。だがまぁそれによって確定的な証拠が取れるかと言えばそうはならない」
「ふむふむ」
「こういった場合は現場にいた冒険者達の証言を取る事となるもんだが、証言する者が全員あいつらのクラン構成員だったんだ。なので証言としての効果は薄いと言わざるを得ん…」
「つまりどうしろと?」
「うむ、こういったお互いの意見が嚙み合わない場合の多くは… 有体に言えば決闘という事で決着する事が多い」
「決闘? でもそのやり方だと力さえあれば何でもやり放題になるんじゃ?」
「まぁな… 古くから行われていた伝統のようなものだが、未だに貴族などがやっているせいで全く廃れていかないんだ」
なんてこったい、つまり決闘の事も最初から考えにあったのかもしれないな。
なんて考えていると、後ろに立っていたグレイが俺の肩に手を置く。
「ご主人よ、決闘であれば受けても良いと思うぞ」
「いや、受ける受けないではなく強制的にそうなるんだよ」
な、なんだってー? ギルドマスターの言い方だとすでに決闘する事は決まっていると?
「しかもな、相手方… お前さんにいちゃもんをつけてきたクラン『フーリガンズ』対お前さんという形になっているんだ。つまり… およそ30人対4人という事になるな」
「おいおい、やりたい放題にも程があるんじゃない?」
マジか!? その決闘をしようとする方もどうかと思うけど、そのやり方を黙認する法も大概だな。
「ご主人、別にあの程度の奴らであれば30人いようが問題は無いと思うぞ」
「そうじゃぞ主よ、我ら3人がいればあのゴミ虫を蹴散らす程度大した仕事ではないと思うがの」
「まじで?」




