24 初のダンジョン探索終了
誤字報告いつもありがとうございます。
まぁそんな訳で、ギルドで売り払う魔石を選別してから転移陣の場所へと移動する。
「もう少し俺達の実力が上がり、ご主人のパーティに手を出すとまずいくらいの印象を与える事ができれば収納を明かしても問題は無くなるだろう。それまでは鞄でごまかすしかないが」
「じゃあ地上に戻ったら大きめの鞄を4人分買う事にしよう。行きは鞄を収納していっても特に目立たないと思うし、帰りに今みたいに詰め込んでやれば一度の稼ぎは増えるんじゃない?」
「そうじゃのぅ。収納スキル持ちも結構な人数がいるとは思うが、その大体は大手商会や貴族共に押さえられているのが現状じゃ。主の力が知られれば貴族共も介入してくると思うが… それらを黙らせるにはレベル50は必要になるじゃろ」
「なるほど… じゃあ2日くらいゆっくり休んだらもっと奥まで行くって事?」
「うむ。アイシャもレベル以上に才能があるようじゃし、私とグレイがいれば容易いと思う。後は主の判断じゃの」
「そっか…」
まぁ41階層でのアタックは見ていても全然危険そうに見えなかったし、なんならあの階層でアイシャの訓練をしていたくらいだ… まぁあのレベルの魔物であればまだまだ余裕だという事は感じていた。
クローディアも1人で俺の護衛をしながらステッキの試運転に付き合ってくれたくらいだ、この2人であれば負けるところは想像できない。
「そうだな! じゃあ次はさらに進んで行くとしますかね」
「うむ。さすがはご主人、良い判断だ。俺も40階層では物足りないと思っていたからな、もっと奥に行けば効率よくレベルを上げられる魔物に出会う事もあるだろう」
「そうだね、効率は大事。だけど安全が一番大事だからその辺の見極めを間違えないように頼むよ?」
「任せてくれ」
グレイとクローディアも納得してくれたのでそろそろ帰還するとしよう。
ずっと静かなアイシャは何をしてるかというと… 2杯目のバニラシェイクを必死で吸い上げていたのだった。
魔石入りの鞄はグレイとアイシャが持ち、転移陣を通ってギルドへと向かう。小さなアイシャに鞄を持たせるのはちょっと… なんて思ったが、実は俺よりも力が強かったりする! さすがはレベルとステータスの世界、見た目で騙されてはいけないね。ちなみに魔法使いであるクローディアも、レベルの関係か俺よりも… まぁしょうがないね! だってレベルが低いんだもん!
そして気になる事もあったりする。そう、この街のギルドには初めて行くんだよね。
街に到着した時は、真っ直ぐ買い物をして宿だったからね。まぁ前回登録したギルドでは特に問題は起きなかったからアレだけど、この街はダンジョンがあるから冒険者の人数も多いんだとか… ああ、絡まれたりするのかな、なんせこっちは奴隷を3人連れてのひ弱な俺だから。
「む? まぁその辺は心配いらないと思うぞ。いくら奴隷とはいえオーガであるこの俺に文句を言ってくる人間はそうそういないからな」
「まぁの。主に出会う前じゃったらあり得たかもしれんが、今のグレイは筋骨隆々じゃからの」
「ああなるほど… 毎日見てるから変化の違いに鈍感だったけど、確かに出会った時の皆は痩せ細っていたもんな」
「そうだな、まさに骨と皮だけだったぞ。しかしご主人の物になってからは毎日の飯と適度な狩りで鈍った体を鍛え直せたからな、自慢の筋肉が戻ってきて嬉しいぞ」
「物とか言うなって… 俺はみんなを普通に仲間だと思っているし、この世界の事を全く知らないから助かってるんだから」
まったくね、もしも初めて出会った人が悪人だった場合は最悪の想定通り上手い事乗せられてハンバーガーを作るだけの道具にされていたかもしれないんだからな。この3人がたまたま奴隷で、たまたま彼らの主人が魔物に襲われて死んでいたからこうなっていたわけで… 運が良いんだか悪いんだかさっぱりだね。
でもまぁこの3人の個性を見るに、多分この出会いは運が良かったんだと思う。召喚されたこと自体は最悪なんだけど、一応釣り合いは取れてるのかなって最近思うんだよね。
ギルドに到着だ。さて、鞄に詰め込んだ魔石の買い取りをしてもらわないとな。
中に入ると、多くの冒険者達が併設されている食堂で飲食を楽しんでいる。これはアレか? 酔っ払いに絡まれるパターンか? グレイやクローディアはああ言っていたけど、酔っ払いが相手じゃいくらオーガといえども絡んで来る奴はいそうだよなぁ。
よし、そんな奴らは無視して一気に受付まで突撃してやろう! 酔っ払いの目に入らなければいいんだ!
そんな勢いで受付までやってくる。どうやら飲み食いに夢中になっていて、俺達の事なんて眼中に無かったようで安心だよ。まぁ帰りもあるけどな!
「魔石の買い取りを頼む、鞄2個分だ」
「あ、はい! あら、見ない顔ですね。この街には最近来たんですか?」
「ああ、着いてすぐにダンジョンに入ったからな」
「そうでしたか、冒険者ギルドリャンシャン支部へようこそ。あなたは奴隷のようですが、ご主人はどなたですか?」
あらら、受付をグレイに任せて後ろでこっそりしていようと思っていたのに… ご指名じゃ仕方がないか。
「俺だけど何か?」
「あ、いえいえ。初めてのようなのでギルド証の提示をお願いします」
「はいこれ」
そっかそっか、そういえば持ち込んだ素材で冒険者のランクに関するポイントがどうのこうのって言われてたっけ。買取り自体は別に冒険者じゃなくても可能らしいが、まぁいつまでも最低ランクっていうのもなんだしここは素直に加算してもらおう。
「では査定をしますので少しお待ちくださいね」
さすがはギルドの受付嬢。街の出入り口では衛兵に嫌な顔をされたのにこの受付の人は顔に出さなかったな… まぁ嫌な顔をされたってどうという事はないけど地味に傷つくんだよね、アレ。
「一つ聞きたい。ここのダンジョンの最高到達階層は何階なんだ?」
お、グレイが魔石の確認をしている受付嬢に話しかけているな。でもそうか、確かに最高到達階層? 気になるね。
「現在は52階層となっております。レベル40台の5人パーティだったんですが、52階層で不運の怪我による撤退という事です」
「ふむ、そうか」
聞けた答えに満足だったのか、うんうんと頷きながら受け止めるグレイ… しかし俺には分かっているぞ! 52階層なんて楽勝だとか思っているんだろう! クローディアも似たような雰囲気を醸し出しているから多分同様の事を…




