169 Dランクじゃなかったようだ
誤字報告いつもありがとうございます。
ドロップを回収できたのでいざ扉の奥へ!
「ご主人、階段があるぞ! よし、まだまだ行けるな」
「これで最低でもCランクダンジョンという事が確定したね、まぁ疲れるような戦闘でもなかったしこのまま進もうか」
「おう」
そんな訳で階段を降り、次なる目標は83階層だ! とても広い部屋のモンスターハウスで、地上空中と魔物が飛び交う危険な部屋だ。初めて入った時はグレイが1人で地上戦をやったんだっけな… 空中の魔物はクローディアが落としていたが。ああ、確か初手で放水&雷撃で魔物の数を減らしたんだったっけ? まぁ今回はどうなるかねぇ… 俺達の戦力の増えているし上がっているし、空中をクローディアが担当し、グレイとアイシャとシフで地上の魔物の掃討になるのかな。俺? 俺は応援かな? 各ステータスは上がっていても圧倒的なセンスの無さだからね! だから鈍器を持っているんだよ言わせんな恥ずかしい。
ま、まぁモンスターハウスについてはまだ先の事、まずはそこまで無事に辿り着かないとね。問題は無いだろうけど慢心はダメだしね!
ダンジョンは続くよどこまでも… 前のめりなグレイを抑えつつ、アイシャやシフと前衛を入れ替えつつ進んで行く。グレイはアイシャとシフの師匠でもあるからか、全部俺にやらせろとは言わなかった。クローディアも要所要所で魔法を使い倒してくれるので、階段探しが捗っていく。とはいえそこそこ広いマップだから、見つからない時は数日彷徨わなければいけないのが辛いね。
「普通であればそうじゃの、想定外の探索は水と食料を逼迫させるからの。アイテム袋を持っていて、大量に持ち込んでいなければ… 新規開拓は厳しいものじゃよ」
「俺は持っているがな! 大量のコカトリスの肉と魔道コンロを!」
「そのアイテム袋は主からの預かり物じゃろうが、大剣の予備を入れるためじゃという事を忘れるでない」
「もちろん分かっている、肉とコンロもご主人の許可をもらっているからな。だがこれが人数分あれば言う事ないんだがな」
「そうじゃの。そうしたいのは山々じゃが、輸送用という事も忘れるでない」
確かにアイテム袋を求める最大の理由はそれだ、だからもっと多くのアイテム袋が欲しいんだ! 複数あれば俺が荷物番をすることも減るだろう。ああ、別に荷物を預かる事は嫌って訳じゃないよ? ただ間違って削除してしまわないかと不安があるだけ。もうずっとゴミ箱を収納として使っているから慣れてはいるけどさ、万が一を考えるととても大事な物は入れたくないんだよね。
実際今は俺を含めた5人分の着替え、予備の装備、ギルドに卸していない魔石や素材の数々… まぁいっぱい収まっている訳だ。それらを扱う時も慎重に操作しているから大丈夫だと思いたいけど、不意にやらかすのが人間というものだ! 保険は大事!
「ご主人よ、ダンジョン内での考え事は止めてくれ。そろそろ行くぞ」
「お、おう」
やばいやばい、ここはグレイの言う通り考え事は安全な場所でやらなきゃな。よし行くぜ!
SIDE:闇ギルド、チームリーダーポール
「ギルマス、支度が整いました」
「そうかそうか、ではくれぐれも慎重に頼むよ?」
「はっ。しかしこれ程慎重に行動する必要などあるのでしょうか? 猶予は1年しかないというのに」
「1年しかないからだよ、一度失敗すれば無駄に時間がかかるだろう? 相手だって警戒するだろうし。他所から狙われていると思っていない今がチャンスなんだよ、そのチャンスをものにするには相応の準備も必要なのさ」
「了解しました」
「じゃあ指揮の方は頼むね?」
「お任せください」
「よし、ギルマスに挨拶は済んだから出るぞ」
「「「おうっ!」」」
今回の任務はとあるエルフの捕獲、もしくは殺害だ。最良の結果は捕獲という事だが、俺を含めたこのメンバーであれば容易い仕事だろう。この仕事のために俺が選んだ3人の精鋭達、腕は立つが人を殺したがりなヒチガイどもだ。だが制御さえできればこれ程の戦力はあるまい。
今回の仕事のために用意したのは定番の麻痺毒。これは致死性がないため、間違って捕獲対象を傷付けてもうっかり死んだりしないから安全のためだな。そして狭い範囲の限定ではあるが魔法を打ち消す魔道具、これも仕入れに結構な金がかかっているから大事に扱わないとな。だがこれで精神系の魔法は無効化できるし、前魔法省長官クローディアが得意だったと言われる蔦を使った拘束魔法も対策できる。まぁ対象のエルフが本当に前魔法省長官だったらの場合だがな。
まぁこの魔道具のために大枚をはたいたからか、ギルマスの機嫌があまりよろしくない。早急に任務を完了させて依頼主を探り、更なる大金をせしめてやらないと赤字になってしまう… それだけはなにがなんでも回避しないといけない、なぜなら… ギルマスに殺されてしまう。だからこそ失敗は許されないのだ。
「しかしポール、色々と準備はしたが本当に必要なのか?」
「ギルマスがそう言うのだからそうなんだろう。オーガをどうするかは現地で確認するが、獣人の小娘も一緒に拉致して問題無いだろうから無力化するための用意だと思えばいい」
「荷物が増えるとだるいんだよなぁ~、麻痺毒の入った瓶なんか割れそうだしよ」
「大事に扱えよ? お前の給金が吹き飛ぶ事になるぞ」
「分かってるって。まぁちょろい仕事だし、帰ってきたら散財しないとな!」
「おいおい、一応ターゲットはCランクダンジョンの踏破者だ、あまり舐めてかかるような事だけはするなよ?」
「もちろん分かっているさ。確かに俺達ではCランクダンジョンの踏破なんて出来やしない、だがそれは魔物が相手だからであって人間やエルフなどが相手であれば俺達に殺せない奴はいねぇよ。そもそも根本的な戦い方が違うからな、対人暗殺に特化した俺達に敵うやつなんか誰もいないさ」
「ああ、主人である人間は好きなようにしていいそうだぞ? 噂じゃ優男だって話だが、いつも後方にいて戦闘には参加してないらしい」
「フハハっ! じゃあそいつはじっくりといたぶってから殺してやるとするか。捕獲の仕事は対象を殺せなくてストレスが溜まるからな、派手にやらしてもらうぜ」
「よし、では出発だ! まずはリャンシャンに行き情報を集める」
「「「おうっ!」」」
さて、俺も今回の仕事料が入ったら何をするかね… まぁいつものように娼館で散財という事になるんだろうが、まぁそれでもいいか。




