10年後(1)
とある部屋の1室。
何事かをぶつぶつ呟きながらパソコンのキーを叩く成年。
現在時刻は午前2時を過ぎている。
「ふーー。今日はこんなもんか。」
呟きながら彼は伸びをした。
(これで、まー課長に叱られなくてすむかな)
と、その時。
「消えそうにーー咲きそうなー〜〜〜♪」
かなりの大音量で、彼の携帯が鳴り響いた。
(おいおい)
心の中で苦笑しながら、彼は携帯に出た。
もしもし。
「もしもし〜〜。一弥ー?」
なんだよ、宮子?こんな時間にどうした?
「冷たいわねー。仮にも恋人からの電話なのに。」
あー、ごめんごめん。なんか最近ちょっと疲れててさー。
「疲れてるのはこっちも一緒よーー。それよりね?聴いてよ。なんか最近さ、変な男が私に着いてくんのよ。もー、気持ち悪いったらありゃーしないわ。」
そー。
「そう。じゃないわよ。あなた仮にも私の恋人でしょー?なんかさー、そいつ許せねーえとか、守ってやるとか言えないわけー?」
そう言われてもなー。宮子って強いじゃん。合気道2段持ってるし、柔道も初段だろー?俺が守らなくても大丈夫じゃん。
「そう言う問題じゃないでしょ?もういい。あなたには期待しないわ。じゃ、ゆっくり休んでね。」
「なんだよ。」
ぷつりと切れた電話に、一弥と呼ばれたこの成年は悪態をついて、携帯を机に置いた。
彼と宮子は大学時代の同級生だった。
ある日突然、宮子に想いを告げられ、困惑した一弥だったが、宮子の強い気持ちに動かされてつきあい始めた。
「さて、寝るか。明日も朝早いしな。」
そう呟いて、彼はベッドに潜り込んだのだった。
すみません。更新さぼりました(汗) これから少しずつがんばっていきます。