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銀翼の天使達  作者: 蛍蛍
エイプリルフールネタ
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最終話   戦友(とも)よ

 零夏(れいか)とソフィーが共に旅立って早数ヶ月。

 帝国の各地を転々とする日々だが、自由天士の、とりわけ行動的な者達にとっては珍しいことではなく。

 彼らにとっては、しがらみのない一種気楽さすら覚える旅路であった。


「今日の依頼は楽だったな」


「ええ、運が良かったわ」


 手を繋いで宿へと戻る二人。安宿に一部屋だが、それはもう慣れている。

 自由天士の就寝は早い。明日に備え早々に就寝。

 虫の音も寝静まる頃に、それは始まった。


「―――ッ!!?」


 深夜、突然飛び起きる零夏。

 荒い呼吸、上下する胸を宥める。

 やまない呼気、収まらない冷や汗。


(な、なんだこれは……なにが起こった?)


「うぅん……れーか、どうしたの?」


「な、なんでもない」


「本当に? 顔、真っ青よ?」


 心配そうに顔を近付けてくるソフィーに対し、零夏は。


「くるな!」


 その手を咄嗟に払いのけた。


「れ、れーか!?」


「ご、めん。ちょっと気分が悪くて」


「うん……」


 結局、彼らはその晩一度も話さなかった。








 翌日、町を歩いていると正面からガイルがやってきた。


「まさか、お前の方からくるとはな―――!」


「よく言う、分かり切っていたことだろう」


 互いの心は解っていた。友であり、強敵たる男故に。

 ガイルは零夏を両手の人差し指で指す。


「レーカ! お前に言いたいことがある!」


「皆まで言うな、俺もだガイル!」


 咄嗟に叫び返していた。

 男達は、胸に秘めた気持ちを率直に伝える。


『愛している!』


 そう、相思相愛だった。

 抱擁する二人。

 彼らは気付いてしまったのだ。俺は男しか愛せないんだ、と。


「お、お父さん!? レーカもどうしたの!?」


「お前なんてしらん!」


「貧乳め、男のフリをしたって無駄だ!」


 ショックのあまりOTLのソフィー。

 しかし混沌は続く。


「そんな、俺とのことは遊びだったんですか!」


 ギイハルトの登場―――そう、まさに俺の戦友と知り合いが修羅場すぎる!

 だがガイルは大戦の英雄。その器は並ではなかった。


「落ち着けレーカ、ギイハルト。俺達は兄弟だ」


 一言。ただ一言にて、彼らの救いの道は成った。


「さあ、行こうじゃないか!」


「おう、ガイル!」


「行きましょう、隊長!」


 手を繋いで去る三人。

 ソフィーは呆然とそれを見送った。








 とぼとぼと夕日に染まる町を歩くソフィー。


「どうしてこんなことになったのかしら……」


 そこに現れる白髪の美女。


「実は私が黒幕でした!」


「お母さん!?」


 アナスタシアとソフィー、母娘の再開である!


「どうして、死んだはずでしょ」


「あれは偽者よ」


「影武者は誰よ」


 アナスタシアは語った。ガイルと零夏の身に何が起こったかを。


「仲直りさせようと思って、ちょっと心を操作したのよ」


「お前のせいかバカ母。私が代わりに追い出されたわ」


 結果、この有様である。


「見てみなさい、町中の男達が同姓に欲情している……! なんて非常識な!」


 魔法が暴走した。


「自分でやったんだから戻してよ」


「いやん、娘が冷たいわぁ」


「…………。」


 再開した母を、ちょっとウザイと思うソフィー。

 ちょっぴり多感な十一歳の夜である。


「さあ、ハッピーエンドを目指す旅の始まりよ!」








「というわけで、海ね」


 白い砂浜、青い海。所謂ビーチである。


「どうして海に来たの、お母さん?」


「水着回よ」


 アナスタシアはセクシーなワンピース。ソフィーは大胆にも黒ビキニである。


「手っ取り早くアクセス数を増やすにはエロよ」


「うわぁ……」


 今更感が凄かった。


「マンガやアニメならともかく、小説で水着ってなにが楽しいの?」


 妙に地球文化に精通しているソフィーである。


「要望があれば作者がイラストにするかもしれないわよ?」


「人物絵は評判悪いから、最近あんまり描かないじゃない」


「それにこの小説のプロットには温泉回がマジで組み込まれているわ」


「戦争中よね、この世界?」


 作者もつまらないので次。








『GYAAAAAAA!!!』


 叫び声を上げ空を舞う漆黒の鎧。


「あれは!?」


「イレギュラーよ! 作者のモチベーション低下の犠牲となり、いなかったことにされた敵キャラクターだわ!」


 イレギュラーはラウンドベースへと取り付き、パイルバンカーを撃ち込む。

 マイクロ波を帯びた鉄杭はラウンドベースを粉砕し、一撃で撃破した。


「そんな、直径一〇キロメートルもあるラウンドベースを、一撃だなんて……!」


「イレギュラーのパイルバンカー射出速度は第一宇宙速度に達しているわ、もう登場しないから無駄設定だけれど!」


 単純なスペックで語れば最強の敵、真のラスボス!


「でも登場予定はないのよね!」


「そうよ! もう登場予定はないわ!」








「歴史を変えるために過去に来たけれど、ちょっと行き過ぎたわね」


「もう何でもアリね」


 二人は四〇〇年前のセルファークへと渡った。

 彼女達の後ろを見覚えのある黒髪の少女が通る。


「今って……」


「四〇〇年前のキョウコよ」


「人型機の開発された時期よね、四〇〇年前って」


「実は人型機を発明したのは過去にタイムスリップしたレーカ君なのよ。そこで若かりし頃のキョウコと出会い、彼女に惚れられるの」


 ツヴェー渓谷のデートで、キョウコは「開発の現場にふらりと現れ滞っていた開発を一気に進めた天才」が零夏が似ていると発言した。伏線というヤツである。


「ここでばらしていいの?」


「いいのよ、ボツになったから。設定に矛盾が生まれるの」


 世界や時間を渡れるのは情報だけ。この設定に反してしまうのである。


「とりあえずレーカ君とは別の地球出身者がセルファークにトリップして、人型機を開発したってことにしたわ」


「哀れね」


「所詮イベントの終わった使い捨てヒロインよ」


 二人は現代に戻った。








「ガイル! 協力して紅蓮をやっつけようぜ!」


「そうだなレーカ! ちなみに神の宝杖は破壊しておいたぜ!」


 知らぬ間に決戦が始まろうとしていた。


「そういえば俺が別人っぽかったのは気のせいだ!」


「そうか!」


「フィオがエロいことやっているように見えたかもだが、あれはズボンの解れを直してもらっていただけだ!」


「そうか! ならなんの問題もないな!」


「あと意味深に言い残した『カリバーン』っていうのも俺の妄想だ!」


「やっぱりな!」


「イリアちゃんはすっごく睡眠時間が長いタイプってだけだ! 一日一八時間は寝てる!」


「寝る子は育つ!」


 伏線がみるみる回収されていった。


「お母さん、どうするのこの状況?」


「とりあえず神の力を奪ってみたわ」


 アナスタシアが地面を指さすと、そこには亀甲縛りで身動きのとれない少女。唯一神セルファークである。


「その神の力をどうするの?」


「一発逆転の方法を使うわ」


 ソフィーはアナスタシアをジト目で見やる。


「夢オチ、とかじゃないでしょうね」


「そんなベタなことはしないわよ」


 アナスタシアは零夏とガイルの前に現れ、プラカードを掲げる。












































『エイプリルフール』






「なんだ四月馬鹿か」


「びっくりしたなぁもう」


 皆でゼェーレスト村に戻り、幸せに暮らすのであった。



あとがき


 銀翼の天使達はこれにて終了です。長らくの間、応援ありがとうございました。

 蛍先生の次回作にご期待下さい。



〉解析魔法でイリアがいなかったのには何かしら訳があるのですか?

 演出上の都合です。結果的に矛盾のある描写となってしまっているのは作者のミスです。

 レーカが艦橋しか解析していなかったから、ということにしておいて下さい。



〉何かまた面倒な事になってきましたね。どうなる?

 しばらくはどうもなりませんね。旅編なので、横道に逸れます。


 (この最終回はエイプリルフールネタです。)

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