エピローグ
エッグプラントのその後。
エッグプラントでは、シルバー王国とプラチナ帝国からの代表者と会議の参加者たち、そしてスマルト将軍が集まって宴を開いていた。
混乱したコパー都市国家及びエッグプラントを立て直す後ろ盾としてこの2強国の支持を得るのは必要だからである。
エッグプラント会議の参加者たちは顔を引きつらせながら、代表者たちをもてなした。
その場にはSランク冒険者メイザリンやAランク冒険者パロットも招かれていた。
他国にまで名を売れた有名冒険者が宴にいることで箔がつく。
エッグプラントの財力を傾けるほど贅の限りを尽くした豪勢な宴席料理を用意し、外では花火が上がっているのが見える。
全て、シルバー王国、プラチナ帝国の代表者のために用意したものだ。
ところが、パロットは彼がいないことに気づいた。
なんたって彼が一番の功労者なのにだ。
パロットは、
「あの。一番の功労者と思われるグリーン殿はどちらに?この場にいないようですが」
そう尋ねる言葉にエリカが、ため息をつきながら、
「はあ、彼、やっぱり逃げたんだわ。私はちゃんと来るように言っておいたんだけど、出たくないと顔に書いてあったし・・・」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
平民軍団長カウスリップのその後。
妹の死を知って、エッグプラントを出奔したカウスリップは信じられない光景を目の当たりにし涙を流していた。
なんと死んだはずの妹マリーが生き返ったのである。
「兄さん。私よ。マリーよ。死んだはずなのに生き返っているみたいなの」
目の前にいる妖艶な色気を持った美女はたしかに妹マリーだ。
しかし外見はフリージア・ラズベリーなのである。
フリージア・ラズベリーと妹マリーとは似ても似つかない。
(妹はもっと地味、というか発展途上というか。体に凹凸がない)
しかし中身は間違いなく死んだ妹だ。
マリーが言うには、気付けばフリージア・ラズベリーの身体に入った状態で生き返っており、見知らぬ人ばかりで怖くなり兄である俺を探し続けたというのである。
しかしそんなことはどうでもいい。
きっと創造神様が奇跡を起こしてくださったのだ。
俺はそう考えることにした。
その後、俺は妹マリーの手をとり新天地へと旅立つことにしたのだ。
(作者に代わってエクレアからの一言メモ)◇◇◇◇◇◇◇◇◇
フリージア・ラズベリーはホーネットにより記憶を消され、人が変わったようにまったく新しい人生を送ることとされました。
本当は、フリージア・ラズベリーは記憶でなく魂を消されてしまい、その肉体にはカウスリップ殿の妹マリーの魂を入れたのです。
魂を消されたことで2度とわたくし創造神と会う可能性が潰えました。
もう一つ付け加えると、カウスリップ殿はご主人様に良い影響を与えてくれました。
そのお礼も込めて妹マリーを生き返らせたのです。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そして僕はというと・・・
ゆっくりと馬車に揺られながら、家路についていた。
すでにエッグプラントの都市が見えないぐらいの所まで離れている。
そうそう忘れるところだった。
僕はガーネットに、
「これ、ガーネットにと思って拾ったんだ」
そう言って拾っておいた大きめの赤い石をポケットから出してガーネットに渡した。
「嫌な奴の護衛をしてくれたお礼だよ」
ガーネットは赤い瞳をおおきく開き、
「これを、自分に、ですか?」
「うん、まあ、宝石じゃないんだんけど。以前、ガーネットは赤い石を集めるのが好きと聞いていたのでね」
それを聞いたガーネットの瞳からは一筋の涙が流れた。
「え?!泣くほど嫌だった。やっぱりルビーのほうが良かった!?」
「いえ、そうではありません。逆です。嬉しくて。嬉しくて泣いてしまったのです。心配をかけて申し訳ありません。ご主人様」
「でも、ようやく、自分の中のこだわりを消すことができそうですわ。ありがとうございますご主人様。頂いた石は永遠に大事にいたします」
そう言って嬉しそうに微笑むガーネットをみて僕は、
「喜んでもらえたなら何よりだけど」
とホッとする。
その様子を静かに眺めるホーネット。
ホーネットは知っていた。
その赤い石がガーネットにとって遠い昔の約束を叶えるものであることを。
ガーネットとガーネットの大事な人とをつなぐ大切な思い出の約束であることを。
「エッグプラントの方角から花火が上がっている。いまごろエッグプラントでは豪勢な料理がでているんだろうなあ」
「まあでも、僕には大勢の偉いさんがいるような場には居たくないし、パーティーに参加しなくてもいいや」
そんな僕のつぶやきを聞いたホーネットは、
「ご主人様の勇気と決断があればこそコパー都市国家が救われたといえましょう。そんなご主人様がいないのであればパーティーの意味なんかありませんわ」
そう言って残念そうな表情をする。ついでガーネットも
「そうですよ。あれだけご主人様が労を惜しまずコパー都市国家のために動いてらしたと言うのに」
でも、
「僕のやったことは君たちが知ってくれていればそれでいい。僕の家族が知ってくれればそれでいい」
「エリカさんの誘いはあったけど・・・・・本音を言えば、僕は貴族たちのいる場所に足を運びたくない。エッグプラントのパーティーなんか参加したくない」
そういった僕は寂しそうな表情をしていたのだろう。
「ええ、ええ、もちろんでございます。ご主人様のご苦労やその功績はわたくしどもが全て承知しております」
「そしてご主人様がこれまで貴族たちに傷つけられてきたことも重々承知しております。にも関わらず皆のために身を粉にするご主人様を一体誰が非難すると言うのでしょう」
「たとえ、あの者たちがご主人様を正しく評価しなくとも我々が全力をあげて輝かしきご主人様の功績を讃え、労わり、もてなしてご覧にいれますわ!!」
「・・・・・ありがとう」
僕は、短く感謝の言葉を伝えた。
ホーネットは元気良く、
「さあ、帰りましょう。ご主人様。きっとエクレア様やみなさまもご主人様のお帰りを待ちかねてますわ!」
僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です3~僕はギルドの依頼をがんばる!!もうクビとはいわせません~
終わり
第3作を最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
ここまで読んでくださった方へ、次のお知らせです。
このあと、まずはパンジーシリーズ
「無能と見捨てられた令嬢ですが、面白いからと関わった公爵に人生をひっくり返されました(旧題 面白いものしか眼中にない公爵〜)」
を投稿予定です。
パンジー・マリーゴールドを中心にしたお話で、本編とは少し違った角度から、この世界の人物や出来事を楽しんでいただける内容になっています。
短めのお話として読みやすくしつつ、その先のシリーズ本編第4作目へつながる要素も入っています。
そしてその後、シリーズ本編第4作目の連載を開始する予定です。
第4作目は第2作目の流れをくむお話で、主人公グリーンは登場せず、5人のメイドたちを中心に物語が進みます。
まずはパンジーシリーズを気軽に楽しんでいただいて、その流れで第4作目へ入っていただけたら嬉しいです。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。




